コート上では一際勝ち気な表情で、相手のハードヒットをさらにハードに打ち返す。

『久留米市ユー・エス・イーカップ 国際女子テニス2023』で決勝へ進出した中国のマ・イェシンは、第4シードのカブレラ・リネッテ(AUS)をフルセットで下し、決勝進出を決めた。

中国・広州に拠点を置くマは、トーナメントデスクで「明日のマの試合は何試合目ですか?」流暢な日本語を操り、コミュニケーションをとる。日本に住んだことがあるの?と問えば「いえ、全然ないです!」と言う。

11歳の頃に見たアニメ「犬夜叉」がきっかけで日本のアニメが好きになり、13歳で日本語を学び始めた。日本の大会へはよく訪れており、コロナ以前の最後の大会は横浜の慶應チャレンジャーだそうだ。

「日本語っていいな」と思ったというマは、コロナ期は、拠点の広州で練習を重ねた。ツアーにも思うように出られず、ランキングを上げることはできなかったが、ようやくツアー生活に戻ってくることができた。

ジェン・サイサイや、ザリーナ・ディアスら、実力者とともにテニスを高めてきたマは、準決勝を除けば、すべてストレートで勝ち上がっている。コートの中に入った時の思い切りの良いストロークは爽快だ。また、相手の状況を見て繰り出すドロップショットやボレーも巧みで、観戦に訪れた観客からはどよめきと拍手が沸く。

思い切りの良いストロークを武器に決勝へ進んだマ・イェシン

W60クラス初めての決勝で戦う相手は、第1シードのベクタス・エミーナ(USA)。長身から繰り出す速いサーブと、フラット系のストロークが持ち味の選手だ。

マは、「どんな相手であろうと、お互い最高のパフォーマンスで戦いたい。それで優勝ができたらうれしい」と語り、「でも明日は今日と違う自分だから」と冷静さも忘れない。

同クラス初優勝をかけた決勝は、11:00より新宝満川地区テニスコートにて行われる。

第1シードで決勝へ進出したベクタス・エミーナ

なお。ダブルス決勝はギブソン・タリア/ワン・ヤファン(オーストラリア/中国)が、波形純理/光崎楓奈(フリー/フリー)を6−3、6−3で倒し、優勝を収めた。

優勝したギブソン・タリア/ワン・ヤファン(左)と、準優勝の光崎楓奈/波形純理(右)

■女子シングルス準決勝
○エミーナ・ベクタス(アメリカ)[1] 6-3 6-4 ●加治遥(島津製作所)[3]
○マ・イエシェン(中国)6-1 6-7(5) 6-4 ●リゼット・カブレラ(オーストラリア)[4]

■ダブルス決勝
○タリア・ギブソン/ワン・ヤファン(オーストラリア/中国)6-3 6-3 ●光崎楓奈/波形純理(フリー/フリー)

大会久留米ユー・エス・イーカップ国際女子テニス2023HP

取材・写真/保坂明美