『大正製薬 リポビタン 第47回全国選抜高校テニス大会』が博多の森テニス競技場で開催され、3月26日(水)には男女シングルス準決勝と決勝が行われた。

男子は準決勝で富澤直人(代々木)が川西飛生(湘南工科大附)、内田真翔(柳川)が義基耀(四日市工)から勝利を挙げて決勝に進出した。

夏のような日差しが照り付ける中、準決勝を終えて少し休憩した富澤と内田による決勝戦がセンターコートでスタート。代々木高校は団体戦に出場していないため、昨年同様に個人戦のみの参戦となった富澤は「昨年のこの大会で6回戦負けだったので、本当にこの1年はここで絶対に勝つぞという思いで練習してきました」と気合十分で臨んだ。

内田がエースを務める柳川高校は、団体戦で決勝に進出。福岡の学校だけに会場で応援してくれる人数も多い。応援は力になるが、プレッシャーに感じてしまう場合もある。個人戦では初めての全国決勝となる内田には、気持ちの持って行き方が難しかったのかもしれない。先にブレークに成功するが、流れをつかむには至らなかった。

内田真翔(柳川)

富澤がどうにか踏ん張ってブレークバックし、大事な場面でポイントをしっかりと取り第1セットを奪った。その勢いのまま第2セットで3-0までリードするが、勝ちを意識して弱気になってしまう。

逆に気持ちを切り替えられた内田に5-5に追いつかれる。ここで、「自分のテニスをしよう」と、カウンターから一気に攻める得意なプレーを心掛けてマッチポイントを握ると、「あと1本、決めるぞ」と声に出して自分を鼓舞し、そのポイントで優勝を決めた。

富澤直人(代々木)

富澤は昨年末に行われた、全豪オープンジュニアのワイルドカードを賭けた大会で見事に勝ち抜き、今年の大会に出場して1回戦に勝利している。2回戦では優勝した選手と対戦し敗退したものの、世界レベルを体感することができた。

その経験から、「一定のペースで戦っていても通用しないということがわかったので、緩急、浅い深いなど色々なボールを使えるように3カ月ぐらい練習してきました。力勝負では勝てないので、工夫してテニスをしていきたいと思います」と、自分のプレーを磨いている。

今大会で優勝したことで、今度はUSオープンジュニアの予選ワイルドカードを獲得した。「まずは本戦に入って1個勝つことが目標です」と目指すところは明確だ。USオープンまでの間に、さらに上達し目標を叶えてほしい。

【3月26日(水)の試合結果】

■男子個人戦 準決勝
富澤直人(代々木) 7-6(5)、6-1  川西飛生(湘南工科大附)
内田真翔(柳川) 7-6(4)、6-4 義基耀(四日市工)

■男子個人戦 決勝
富澤直人(代々木) 6−4、7-5 内田真翔(柳川)

取材・写真/赤松恵珠子