8月17日〜28日にかけ、有明テニスの森公園および、有明コロシアムにおいて開催されている『ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2023』。22日にはU18男女シングルス&ダブルスの決勝と、U12男女ダブルスの決勝が行われた。
男子決勝は第1シードの富田悠太と、第2シードの大岐優斗との対戦。第1セットをブレークで先行した大岐は、2度のブレークで6−3と先行する。第2セットは富田に先にブレークを許した大岐だが、「ニューボールになったので、回転を多めにかけて深くコントロールした」と、ショットの威力ですぐにブレークバック。5−4となった富田のサービスゲームをブレークして優勝を果たした。
大岐優斗(左)富田悠太(右)
「素直にうれしい」と語る大岐は、この夏で自分の試合の仕方が大きく進化したという。
「インターハイの3回戦ぐらいから状態が上がってきました。それまで大事なポイントで引いてしまっていたのですが、自分から攻めるように変えたことで、違う形でポイントが取れるようになってきました」と、持ち味であるサーブとフォアでの攻撃が、ポイントにつながるようになってきたという。ウォームアップの方法もコーチの助言で「心拍数を上げることと、素振りをしながらしっかり動くようにした」ことで、試合序盤から動きが良くなったという。
この1ヶ月で飛躍し、インターハイに続いて2冠を獲得した大岐が目指すのは、プロへの道だ。高校での目標を達成し、新たなステージを目指す。
U18女子決勝は、中島莉良と、小山ほのりのノーシード同士の対戦となった。
第1セットはお互い譲らない展開となるが、5-5から小山が2ゲーム連取し7-5でリード。第2セットは勢いを加速させた小山が試合の主導権を握ると、6ゲーム連取で優勝まで駆け抜けた。
「全国大会で1回戦しか勝ったことがなかった自分が優勝できるなんて信じられない」と、喜びを表す小山だが、この大会の直前に遠征した札幌のITFでの経験と、杉山愛日本代表監督との対話が自分のテニスに大きな影響をもたらしたと言う。
「頼れるコーチもいない中、札幌で生活して練習するのは結構大変で、全日本も控えてたので、一度帰ろうと思いました」
3週の予定を2週で切り上げ、その帰る日に札幌に着いたのが杉山愛さんだった。
「まず、私のこの選択を『間違っていない』と言っていただきました。そういうとき、自分はどんなことを考えたか、どう過ごしたかという経験をお話ししてくれました」
そして飛躍のきっかけとなった最大の言葉は「自分のことを受け止めて、その日にできる最大限のことをしよう」だった。
持ち前の身体能力、172cmという身長を生かしたサービス、長い手足を最大限に使ったショットは、拠点であるラボキッズジュニアでの蓄積だ。それらが一つの言葉の後押しによって噛み合い始め、「その日にできる最大限のこと」を貫いた結果が優勝というギフトだった。
小山は「プロになるための第1歩として大きく踏み出せました。大会を開催してくださったことに感謝をすると同時に、将来強くなって『この大会は大きな意味があった』ということを証明できるようになりたい」と力強く語った。
小山ほのり(左)中島莉良(右)
■8月22日決勝の結果■
○U18 男子シングルス F
大岐 優斗 [2] 6-3 6-4 富田 悠太 [1]
○U18 男子ダブルス F
本山 知苑/水野 惺矢 6-2 6-4 坂本 日色/山本 夏生 [4]
○U18 女子シングルス F
小山 ほのり 7-5 6-0 中島 莉良
○U18 女子ダブルス F
中島 莉良/岸本 聖奈 [4] 6-1 6-2 岡村 凜那/隈元 にこ
○U12 男子ダブルス F
三木 慶至/木暮 勇斗 [7] 6-4 6-3 佐藤 謙信/玉木 翔大 [3]
○U12 女子ダブルス F
大村 和花子/奥山 し渚 6-3 6-2 安川 結亜/札場 木葉
※U12シングルス決勝は8月23日に実施
取材・写真/保坂明美