8月17日〜28日にかけ、有明テニスの森公園および、有明コロシアムにおいて開催されている『ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2023』。27日にはU14男女決勝と、U16準決勝が行われた。

U14男子の決勝は、第2シードの川口孝大と、第8シードの柳宏優が対戦。ファースト、セカンドセットともにブレークを先行したのは川口だが、柳が粘り強いプレーで巻き返し、6-2、6-3で優勝を飾った。

今年の6月から石井弘樹氏主宰の「ISHIIテニスアカデミー」を拠点とする柳は、最近粘り強さだけではなく、攻撃力を少しずつ身につけてきているという。「世界で戦うために絶対に必要になる」との思いが、彼を貪欲にさせている。準々決勝では第1シードの櫻井義浩をファイナルタイブレークで下して勝ち上がってきた。

「初めての全国優勝なのでとてもうれしい。タフなドローだったけど、諦めず、粘り強いプレーをすることができました」と充実感を滲ませた。

柳宏優

川口孝大

U14女子、第1シードの渡辺葵依と、第3シードの石井心菜の決勝は、3時間10分にも及ぶ熱戦となった。

立ち上がりは緊張で固さが見られた石井を渡辺が積極的に攻めて6-3で先行する。しかし「もっと前に出て攻撃していこうと思った」という石井が気持ちを切り替えてセット奪い返してイーブンに戻す。

渡辺は「ファイナルセットでは、もう一度自分の得意な攻撃を思い出し、相手のロブをライジングで打ったり、前に入って展開するようにした」と冷静な判断をし、石井は「ネットに出ることを一番考えた。失敗してもその気持ちが積極的なプレーにつながる」と考えた2人の対決は互いに引かない打ち合いとなった。

ブレークとキープが行き交う攻防を繰り広げ、渡辺から5−4となった石井のサービスゲーム。15-15で石井のショットがネットを叩き、自陣に落ちる。フォアのミスも出て迎えた渡辺のマッチポイントは、死闘の幕を引くかのようなバックハンドのクロスのエースだった。

「去年ベスト16という悔しい結果に終わり、攻める展開と守る展開の区別をはっきりすること、高い打点で相手のボールをしっかり捉える練習をしてきました。絶対に優勝したいと思っていたので、勝ててうれしい」

そう語る渡辺の現在の目標は、グランドスラムジュニア出場だ。これからはITFジュニアへ積極的に参戦する予定だ。

渡辺葵依

石井心菜

なお、U16の男子シングルスは、第1シード松村怜と、第2シード田畑遼が、同女子シングルスは第2シード野口紗枝と第4シード山本晄が決勝へ進出した。

8月28日(月)のオーダーオブプレー

■8月27日に行われた対戦の結果■

○U14 男子シングルス F
柳 宏優[8] 6-2 6-3 川口 孝大[2]

○U14 男子ダブルス F
川口 孝大/橋本 大輔 [2] 6-3 6-4 中富 奏太/小林 良輔[1]

○U14 女子シングルス F
渡辺 葵依[1] 6-3 5-7 6-4 石井 心菜[3]

○U14 女子ダブルス F
渡辺 葵依/藤山 羽優[4] 5-7 6-1[15-13] 加藤 楓菜/宮崎 凪咲

○U16 男子シングルス SF
松村 怜[1] 6-3 4-6 6-2 高橋 光[10]
田畑 遼[2] 6-4 6-0 逸﨑 獅王[3]

○U16 男子ダブルス SF
岡橋 優希/鈴木 琉斗[5] 6-7(2) 6-4 [10-8] 秋本 将輝/義基 耀[1]
内田 真翔/永嶋 煌 [8] 7-6(7) 2-6 [10-4] 西山 蒼司/高橋 央太郎

○U16 女子シングルス SF
野口 紗枝[2] 2-6 6-1 6-4 上村睦実[16]
山本 晄[4] 4-6 6-0 6-1 川崎このは

○U16 女子ダブルス SF
石島 侑寿/野口 紗枝 [2] 6-4 6-4 早坂 来麗愛/鈴木 梨愛
有馬 璃音/稲見 美咲 6-3 1-6 [14-12] 坂井 心優/立花 舞乃 [3]

取材・写真/保坂明美