10月16日(月)〜22日(日)まで有明テニスの森公園で行われている「木下グループジャパンオープン2023」。17日(火)にはシングルス1回戦9試合とダブルス1回戦1試合が行われた。

9試合のうち、4試合が日本人の試合となったこの日、センターコートの第3試合にダニエル太郎(エイブル)が登場した。対戦相手は今年全豪ベスト8、全米ベスト4という成績を収め、ランキングを19位まで上昇させたB・シェルトン(アメリカ)。

予選から上がったダニエルが、「今なら言えるけど、予選からで良かった」と、コートやボールに合った戦いぶりで、6−3と第1セットを獲得する。ダブルフォールトや、ストロークのミスを量産したシェルトンだったが、トイレットブレークを挟んだ第2セットからは、持ち味のサービスを武器にキープを重ねる。終盤でミスが出たダニエルが、このセットを落としてファイナルセットへ。

「サーブが思ったより生きてなかったし、ボールは滑るのですが跳ねないので、後ろに下がっていれば、リターンは返せた」というダニエルは、粘り強くラリー戦でポイントを重ねる。一方のシェルトンは、サービス、ストロークの精度を上げ、ダニエルの粘りにも応戦した。

「ウインブルドンで対戦したときは、サーブを返しておけば何とかなるという印象だったけど、今日は意外とこういう長いラリーもできるんだと思った。第1セットのようなミスを期待してしまったところがある」(ダニエル)

もつれこんだこの試合は、タイブレークまで及び、7-2でシェルトンに軍配が上がる。トータルポイントはシェルトン93、ダニエル92と、わずか1ポイント。僅差の戦いだった。

「悔しいです。いいプレーはできたと思うけど、勝ちたかったという思いは強い。長い目で見たらいい試合だったと思うけど、結果が出ないと苦しいは苦しいに変わりはなく、今はミックスした状態です」と心境を語った。

30代になった現状を「急いではいない。なんだかんだ最終的に必ず自分はベストを尽くすことはわかっている。やるだけやってどこに辿り着くのかは自分が答えることではないし、続けていって見つけることかもしれない」と独特の言い回しで表現した。今後はオーストラリア、愛媛のチャレンジャーに出場予定だ。

その他、日本人選手は島袋将(有沢製作所)が予選上がりのC・ガリン(チリ)に4-6,6-3,3-6で、綿貫陽介(フリー)は第2シードのC・ルード(ノルウェー)に6-7(6),3-6で惜敗した。

■島袋将のコメント

「すごく悔しい気持ちが強い。今回自信があったので。ファイナルセットの1ブレークは、40-0からブレークされ、1本を取りきれない自分の甘さや、実力のなさを感じた。逆に元17位という素晴らしい選手にここまでいいプレーができるようになったことを自信としていきたい。(今年は)プレースタイルとしては通用することがわかったし、まだ課題はあるものの、チームのみんながプッシュし、ポジティブな言葉をかけ続けてくれている。精神的な部分で自信や手応えを感じている」

元世界17位のガリンとの接戦は「自信になる」という島袋 写真/鯉沼宣之

■綿貫陽介のコメント

「出だし少し緊張感があってサーブの確率も上がらず、気持ち的に落ち着かない部分が大きかった。ファーストセットは上手くいかないことが結構多かったので、そのストレスが最終的に少し疲労としてセカンドセットの頭に出てきてしまい、そのまま勢いを持っていかれてしまった。その部分の反省がすごい大きい。(ルードは)ランキングは上の選手だけど、同じツアーに出ている選手として勝っていきたい相手であり、そういう場所にいきたいと思っている。なので上の選手と競れたことで嬉しいとか、満足はできていない。久しぶりの日本での大会で、勝てる可能性が高いと思ってコートに入っていた」

トップ50と行った高いランキングの世界を見てきたコーチを今後迎えたいという綿貫。 写真/鯉沼宣之

18日(水)は、H・フルカチュ(ポーランド)がコロシアムの第1試合に登場する。日本人のダブルスは木下グループアリーナにて3試合、車いすテニスの1回戦は5番コートで行われる予定だ。

10月18日(水)のオーダー・オブ・プレー

WOWOW生放送

日本人選手1回戦】
○望月慎太郎 6-4,7-6(5) ⚫︎TM・エチェベリ(31位、アルゼンチン)
⚫︎ダニエル太郎 6-3,4-6,6-7(2) ○B・シェルトン(19位、アメリカ)
⚫︎綿貫陽介 6-7(6),3-6 ○C・ルード(8位、ノルウェー)[2]
⚫︎島袋将 4-6,6-3,3-6 ○C・ガリン(94位、チリ)[Q]
⚫︎西岡良仁 6-7(14),6-4,1-6 ○M・ギロン(79位、アメリカ)[Q]

日本人男子トップ500 ATPランキング
(2023/10/16 付け)
44位 西岡良仁(ミキハウス)
73位 綿貫陽介(フリー)
97位 ダニエル太郎(エイブル)
143位 島袋将(有沢製作所)
215位 望月慎太郎(IMG アカデミー)
261位 清水悠太(三菱電機)
271位 内田海智(富士薬品)
334位 内山靖崇(積水化学工業)
354位 錦織圭(ユニクロ)
258位 野口莉央(明治安田生命)
361位 中川直樹(橋本総業)
467位 高橋悠介(三菱電機)
500位 守屋宏紀(安藤証券)
全日本人 男子ATPランキング(2023/10/16)

取材/保坂明美 写真/鯉沼宣之、伊藤功巳