有明テニスの森公園で行われている「木下グループジャパンオープン2023」(10月16日(月)〜22日(日))は、20日、シングルス準々決勝4試合とダブルス準決勝、車いすテニスのシングルス、ダブルス決勝が行われた。

コロシアムのナイトマッチ2試合目には、昨日、第1シードのT・フリッツ(アメリカ)を倒した望月慎太郎(IMG Academy)が登場し、41位のA・ポピリン(オーストラリア)と対戦した。

前日は激闘の興奮も冷めやらず、「まったく寝付けなかった」という望月は、序盤こそ緊張してブレークスタートとなったが、テニスはフリッツ戦での好調さを見せ、即座にブレークバックを果たす。常にネットを意識した前へのプレーは、ポピリンに時間を与えず、順調なサービスキープを繰り返す。6-5で迎えた第12ゲームでは4本連続ポイントでブレークを果たし、7-5でセットを先取した。

第2セットはサービスの調子が上がってきたポピリンにエースを量産され2-6でセットを落とすが、「第3セットは切り替えて入れた」という望月が、再び互角の戦いを見せる。

準決勝へ進出した望月慎太郎 写真:鯉沼宣之

「ブレークチャンスがありながら取れなかったゲームもあった。自分は(サービスゲームを)キープし続け、とにかく耐えるしか道はなかった」

望月の「耐える」は決して粘り強いストロークだけではない。とにかく相手コートへ返し続けるリターン、ラインを捉えるアプローチショット、ネットへ駆け寄った後の柔らかいボレーや、叩き込むスマッシュ。これらを駆使して相手にプレッシャーをかけていくことが、後の突破口へとつながる。

5-5の第11ゲームでは、3本ブレークポイントを握られるピンチもあった。だか、それを切り抜け6-5とすると、ポピリンにもミスが出始め、マッチポイントが訪れた。

ボディサーブにラケット面を合わせてコートにねじ込む望月、ポピリンは、それを望月のフォア側へと展開する。クロスへ返球した望月のショットをポピリンがコースを変えてダウンザラインへ放つと、ボールがラインを割り、望月のベスト4進出が決まった。

錦織圭以来の快挙を後押しした観客たちを背に「意外と人がいるなぁと思った」と笑いをとりつつ「めちゃめちゃ力になりました!」と感謝を伝える。

2試合連続フルセットのタフマッチを制した望月は、弾道の低いスピードボールを放つ世界50位のA・カラツェフと準決勝で対戦する。

「今日はちゃんと寝たいですね」
興奮と、疲労の中にも表情は充実感にあふれていた。

21日(土)は、B・シェルトン(アメリカ)vs M・ギロン(アメリカ)、望月慎太郎vs A・カラツェフ、ダブルスの準決勝1試合がコロシアムにて行われる。

10月21日(土)のオーダー・オブ・プレー

WOWOW生放送

日本人プレーヤー成績
【準々決勝】
○望月慎太郎 7-5,2-6,7-5 ● A・ポピリン(41位、オーストラリア)
【2回戦】
○望月慎太郎 0-6,6-4,7-6(2) ●T・フリッツ(10位、アメリカ)[1]
【1回戦】
日本人選手1回戦】
○望月慎太郎 6-4,7-6(5) ●TM・エチェベリ(31位、アルゼンチン)
⚫︎ダニエル太郎 6-3,4-6,6-7(2) ○B・シェルトン(19位、アメリカ)
⚫︎綿貫陽介 6-7(6),3-6 ○C・ルード(8位、ノルウェー)[2]
⚫︎島袋将 4-6,6-3,3-6 ○C・ガリン(94位、チリ)[Q]
⚫︎西岡良仁 6-7(14),6-4,1-6 ○M・ギロン(79位、アメリカ)[Q]

日本人男子トップ500 ATPランキング
(2023/10/16 付け)
44位 西岡良仁(ミキハウス)
73位 綿貫陽介(フリー)
97位 ダニエル太郎(エイブル)
143位 島袋将(有沢製作所)
215位 望月慎太郎(IMG アカデミー)
261位 清水悠太(三菱電機)
271位 内田海智(富士薬品)
334位 内山靖崇(積水化学工業)
354位 錦織圭(ユニクロ)
258位 野口莉央(明治安田生命)
361位 中川直樹(橋本総業)
467位 高橋悠介(三菱電機)
500位 守屋宏紀(安藤証券)
全日本人 男子ATPランキング(2023/10/16)

取材/保坂明美 写真/鯉沼宣之、伊藤功巳