11月17日(日)から22日(金)まで、有明テニスの森公園・有明コロシアムにて開催されている45歳以上の世界一を決める国別対抗団体戦、『ITFマスターズ 世界チーム選手権 in 東京 2024 supported by SENKO』は、22日、最終日を迎えた。男子日本チームは決勝でスペインと戦い、0-2で敗退して準優勝となった。

第1試合のS2寺地貴弘(45歳/元世界219位)は、スペインのフランシスコ ハビエル・マルチネス バエナに2-6 4-6で敗れた。

引退後は3セットマッチを一度も行っていない寺地にとって、ここまでの4試合は体に大きな負担をもたらした。

誰かに聞かれれば「大丈夫です」と答える寺地だったが、持病の腰痛は悪化の一途を辿っていた。それに加えてフランス戦で腹筋を痛めており、満身創痍の状態だった。チームにもそれを隠し、「コートに立てば、動けてくるかも」という一縷の思いで試合に臨むが、序盤でぎっくり腰のような「抜けるような感覚」が訪れ、サービスもまともには打てなくなった。

しかしその中でも、「どうにかしてチャンスが訪れないかと工夫した」といい、第1セットは相手にフォアを打たせ、そこからの展開を狙った。そして第2セットはその真逆の作戦を試みることで、追い上げを見せるが、「1-1でゲームポイントがあったのにそこを逃し、ブレークされたのが結果的には大きかった」と、最後は振り切られた。                                                                                                                                                                                                                           

寺地貴弘は万全でない中でもできる最大限の努力をした。写真:SPORTS SUNRISE.COM

後がない状況になったなか、日本のS1本村剛一(50歳/元世界134位)は、世界大会優勝経験も豊富で、O45最強と言われるロベルト・メネンデス・フェレと対戦した。

「この大会出場にあたっては、ロベルトを倒すことが大きな目標でした。その彼と最高の舞台で戦えるということで、これまでのような変な緊張感はなく、自分らしいプレーができた」と、ストローク力で上回り、第1セットを6-4で先取する。

相手の集中力が上がった第2セットは、一気に1-5と突き放されるも、相手の片手バックハンドの高い打点にボールを集めることでミスを誘い、4ゲーム連取で5-5に追いつく。しかしサービスゲームの安定感で振り切られ、5-7でセットオールとなった。

ファイナルセットは本村が4-0とリードするが、O45 ITFランキング1位のメネンデス・フェレが、怒涛の追い上げでその数字を証明する。バック側は回り込み、サービスからの展開で攻勢する。それでもお互い譲らずタイブレークへ突入した。

「大事なポイントで精度の高いボールを打ってくる」。タイブレークでも本村が先にリードをするも、あと1ポイントが届かず、6-8で決勝は幕を閉じた。

最後まで死力を尽くして戦った本村剛一 写真:SPORTS SUNRISE.COM

試合を終え、寺地は、「普段はテニススクールの中にいて、そこで生活する中で、お客さんに試合を見てもらうこと、自分の子供たちにも見せることができたのはよかったです。45歳になって国の代表として戦うことはイメージも持っていなかったですが、誰でも出られるものではない。これだけ戦えて、楽しいし、しんどかったですが、朝起きて試合があるという緊張感、刺激的な数日間を過ごすことができたので本当に満足しています」と、“最初で最後”という挑戦に達成感に溢れた表情を見せた。

本村は「初めて出場して、日本の強さを見せることができたと思う。まだわかりませんが、次オファーがあれば出てみたいという気持ちはありますし、毎試合久しぶりにプレッシャーの中で、なんとかしようという気持ちでプレーできたことは、新鮮であり、忘れていたことを思い出させてくれました。最後に負けて終わるのは一番悔しいけど、やれることはやれたと思う」と、今後の可能性も示唆した。

2人とも元ATPランカーであり、日本を代表した選手であり、現在はコーチでもあり父親でもある。彼らが決勝も含め、3セットマッチを5試合戦った姿は、挑戦することに年齢は関係ないということを全身全霊で証明したといえる。

■福田勝志コメント

「レジェンドの3人と日本代表として一緒に行動させていただき、試合だけでなく、普段の行動やルーティンも含め、試合に向けて気持ちを高めたり、調整していく姿が勉強になりました。技術的な部分も高く、勝つためにどうすればいいということを常に考えてプレーしているし、勝ちたいという気迫が出ていた試合だったと思います。自分は全日本の一般に出場することが一番の目標ではあるのですが、マスターズの世界に触れ、外国人の選手とプレーや、交流する機会が、さらに自分を成長させてくれると感じましたので、この世界に挑戦することも今後の目標としていきたいと思います」

■有本尚紀コメント(チームキャプテン)

「優勝できなかったのは残念ですが、寺地、本村両選手には、本当に感謝しかありません。すごい戦いを勝ち抜いてくれました。今回世界の選手たちに日本は強いんだということを見せることができたと思うし、去年優勝したフランスにも勝ち、周りもみんな応援してくれました。日本代表として胸を張って帰りたいと思います。自分は6年前、この素晴らしい大会があるのを知って、ぜひ日本でも開催してほしいとお願いしました。たくさんの国の方が訪れ、交流し、相手を称え合う素晴らしい大会です。日本の皆さんにももっと知っていただき、今後も応援していただければと思います」チームキャプテン・有本尚紀

アジア初開催で準優勝となった日本男子チーム 写真:SPORTS SUNRISE.COM

大会は団体戦を終え、23日より個人戦がスタートする。

□日本男子準決勝結果□
日本vs ドイツ(11/22有明テニスの森ショーコ
ート)
MS2
⚫︎寺地貴弘 2-6 4-6 フランシスコ・ハビエル・マルティネス・バエナ
MS1
⚫︎本村剛一 6-4 5-7 6-7(6) ○ロベルト・メネンデス・フェレ
MD 
 有本尚紀/福田勝志 勝敗が決まったため行われずフランシスコ・ハビエル・マルティネス・バエナ/ペドロ・ニエト・オレリャーナ

大会HP
https://itfmasters.tournamentsoftware.com/sport/tournament.aspx?id=B6AEB83E-0666-448C-974E-C283C77B2A11

日本男子ドロー
https://itfmasters.tournamentsoftware.com/sport/drawsheet.aspx?id=B6AEB83E-0666-448C-974E-C283C77B2A11&draw=7

日本女子ドロー
https://itfmasters.tournamentsoftware.com/sport/draw.aspx?id=B6AEB83E-0666-448C-974E-C283C77B2A11&draw=24

写真:SPORTS SUNRISE.COM