「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2025」（2025年8月25日～９月５日／有明コロシアム及び有明テニスの森公園）は９月５日、U16、U18の男女シングルスと車いす決勝が行われた。
■車いすテニス
車いすテニスは、男子女子混合シングルス８名によって争われた。２グループに分けてラウンドロビンを行い、各グループの上位２名が決勝トーナメントに進む。
年代別のカテゴリーがないため、決勝戦では今年18歳になる矢野蒼大（現在17歳）と13歳の井上博文という年齢差がある対戦となった。この２人はラウンドロビンでも対戦しており、その時は井上が接戦の末に勝利したが、決勝戦では矢野がリベンジを果たし、6-1、2-6、6-4で念願の全国初優勝を果たした。
矢野はラウンドロビンの敗戦から、まだチェアワークに慣れていない井上がチェアのスピードがあまり速くない点に気付き、左右にしっかりと振る戦術を実行。武器であるフォアハンドは本人としては「今日は全然ダメだった」ようだが、十分に威力は出ており、第１セットを6-1で圧倒する。
この後に親指を負傷したことで調子を崩して第２セットを失うものの、ファイナルセットでは接戦になりながらも取り切り、ジュニアの最終学年で頂点に立った。「優勝というタイトルが１番の目標だったので、やっと達成できたという気持ちです」と、緊張で調子が上がらない中でも優勝できたことに安堵した様子。
今後は「（大人の）メンズのランキングを上げて、パラリンピック出場を目指しています。日本の車いすテニスは層が厚いので、もっと頑張って上がっていきたいです」と、新たな目標を明確にしていた。
準優勝となった井上は、車いすテニスを昨年11月に始めたばかり。ただし健常者として４歳からテニスをしており、約4年間は本格的にテニスに取り組んでいた。だからこそ、13歳で威力はまだないが、色々なショットが打ててポイントの組み立て方も考えることができる。
決勝戦で敗れた後に「もっとできることはあった。今はめちゃめちゃ悔しいです。来年頑張ります」と語った井上。まだ13歳である上に基礎ができているだけに、今後が楽しみな存在である。
取材：赤松恵珠子、写真：保坂明美（Tennis.jp）、赤松恵珠子
