10月5日(日)楽天ジャパンオープン最終日。
錦織圭がカナダのラオニッチを7-6(7-5),4-6,6-4のフルセットで下し優勝した。
先週のマレーシアオープンに引き続いての2週連続優勝の偉業。今年4大会目、通算7回目のツアー優勝だ。

勝利が決まると錦織はコートに大の字になる。その後チャンコーチ、ダンテコーチ、中尾トレーナなどチームと抱き合い涙を見せた。
「またひとつ壁を破れた、自分に勝てた!」と。

USオープン準優勝という大記録を作ったが、錦織の中には決勝まであれだけ良いプレーができていたのに最後に力が出し切れなかったという悔しさが残っていたと思う。
マレーシアオープンで優勝、期待を背負ってジャパンオープンでも満身創痍で勝ち続け決勝に進出してきた。

でも「(体は準々決勝から)限界を超えていた。」
そこを錦織は「最後の力をふりしぼって頑張りたい。」と前日言った通り自分の限界に賭け戦い抜いたのだ。

対戦相手は身長2メートル(196cm)の長身からの弾丸サーブの持ち主のラオニッチ
先のUSオープンでは朝の2時半まで、4時間半にわたる死闘の末に錦織が4-6,7-6(4),6-7(6),7-5,6-4で勝利。
しかし6月ウィンブルドンでは負けている。
対戦成績は錦織の3勝1敗
だがいつも大接戦をしている錦織がライバルと意識している1歳年下のプレーヤーだ。

ラオニッチは体調万全で調子が良い、
時速240キロ級のサーブでまだ1セットも落としていない。
対する錦織はクアラルンプールで4試合、東京で5試合目、ダブルスも含むとこの12日間で10試合、体に痛みを感じている。

勝負の世界、勝ち負けはやってみないとわからない。
「ラオニッチの良いサーブはあきらめろ、
1、2回チャンスはくる、
それを攻めていけ」
チャンコーチからの試合前のアドバイス。

その言葉通り、第1セットではタイブレーク最後のポイントに賭けた。

その状況はこうだ:
お互いにミニ・ブレークは2つあり錦織が6-5と先にセットポイントを掴む、
ラオニッチのサーブからは5-6だ。

ラオニッチはサービス・エース級のサーブを錦織のバック深くへ放つ、
それに飛びつく錦織、手だけでなく、指までも、体も気持ちも、そのボールに向って伸ばす、
片手でやっととらえたボールは角度がつきネットを越えていく、
ラオニッチは前に出てバックのスライでストレートに返す、
それを錦織は綺麗にクロスパスを決めた!

それが第1セットを決めたワンチャンスのショットだった。
美しい!!!!!
このシーンはいつまでも自分の心の中に残るだろう。
今までみた沢山の名勝負の一つとして。

第2セットは3-3からの第7ゲーム、15-15の場面。

錦織はサービス・エースを決めたか!と思われたポイントは「フォルト!」のコール。
そのコールに対して錦織がチャレンジする、
スローモーションは「イン」の判定。

主審はレットとし、ファースト・サーブのやり直しを錦織にコールする。
「おい主審、これは明らかにサービス・エースだろうが!
ラオニッチはミスヒットしているではないか!」

ポイントのやり直しになる。
ちょっとおかしい判定と錦織は主審の顔をみて無言の抗議をしている。
マッケンローなら放送できない言葉をはいて永遠に抗議する場面だ。

錦織は集中を欠き結局このサービスゲームを3度のデュースの末に落とす。

第2セットはラオニッチが取る。
流れはラオニッチに。
「おい主審、お前のせいだぞ!」
と抗議したいところだが、錦織はそんな心配は無用だった。
(すいません審判さん、大変さはわかるのですが、つい・・つい・・)

ファイナル・セットは
「4-3くらいから、頭がどっかにいっちゃって」
と無我夢中、勝負師としての本能で1ポイント1ポイント、目の前のポイントに集中、プレー続ける。

錦織がラブでサーブをキープし5-4。

ラオニッチ4-5のサーブで錦織はギアーを上げる。
錦織は攻め、短くなったボールをついてネットに出る、ボレーを決めた!0-15。
Tへきたリターンを返し、最後はバックでストレートに決める、オンライン!0-30だ!
ラオニッチの15回目のショット、フォアのストレートはロング、0-40とチャンピオンシップ・ポイント!

錦織のフォアはネット、15-40、2度目のマッチポイント、
7回目のショット、ラオニッチのフォアはネット

錦織勝った!!!!!!!!
信じられない!

錦織はラオニッチと握手を終えるとコートに大の字に寝転んだ。

「辛い中、限界を乗り越えて戦えたのも皆のおかげ。
今日はでき過ぎ。
ありがとう!」
満員の観客に礼を言う錦織圭だった。

<決勝>
〇4)錦織圭 7-6(5) 4-6 6-4 ●3)M.Raonic(CAN)

大会データー:楽天ジャパンオープン
ATPカテゴリー:$1,400,000 ATPTour500 JapanOpen
賞金総額:約1億円6千万円
優勝賞金:2千5百万円
32ドロー、ハード・コート
会場:有明コロシアム
期間:9/29-10/05,2014

オーダー・オブ・プレー
ライブ・スコア

<準決勝>
〇4)錦織圭 46 60 76(2) ●B.Becker(GER)
〇3)M.Raonic(CAN) 61 64 ●G.Simon(FRA)

<準々決勝>
〇B.Becker(GER) 46 61 64 ●J.Sock(USA)
〇4)錦織圭 64 62 ●J.Chardy(FRA)
〇3)M.Raonic(CAN) 76(8) 63 ●D.Istomin(UZB)
〇G.Simon(FRA) 76(4) 61 ●S.Johnson(USA)

<2回戦>
B.Becker(GER) 63 63 ●伊藤竜馬
〇J.Sock(USA) 63 16 75 ●A.Golubev(KAZ)
〇4)錦織圭 64 76(4) ●D.Young(USA)
〇J.Chardy(FRA) 64 64 ●7)K.Anderson(RSA)

〇D.Istomin(UZB) 64 76(5) ●Q)M.Przysiezny(POL)
〇3)M.Raonic(CAN) 64 63 ●J.Melzer(AUT)
〇GSimon(FRA) 46 76(1) 63 ●G.Muller(LUX)
〇SJohnson(USA) 46 63 64 ●Granollers(ESP)

<1回戦>
〇4)錦織圭 63 64 ●I.DODIG(CRO)
〇伊藤竜馬 75 62 ●1)S.Wawrinka(SUI)
D.Young(USA) 64 62 ●添田豪
D.Istomin(UZB) 76(2) 67(5) 75 ●ダニエル太郎
S.Johnson(USA) 76(4) 62 ●Q)守屋宏紀
本戦ドローPDF版
本戦ドローNET版
予選ドロー

<ダブルス準々決勝>
〇3)Granollers/Lopez(ESP) w/o ●錦織圭/内山靖崇

<1回戦>
〇錦織圭/内山靖崇 62 64 ●Fyrstenberg(POL)/Huey(PHI)
〇Bopanna/Paes(IND)61 76(7)●伊藤竜馬/添田豪
ダブルスドロー

この決勝戦後、錦織は10月6日には上海に飛んだ。
上海マスターズ、錦織は第7シードで登場する。
1回戦はなく2回戦は7日(火)か8日(水)になる。
ソック(米)トミック(豪)の勝者と対戦だ。上海マスターズ本戦ドロー
その後は1週間空き、
10月20日からバレンシア
27日からはパリ・マスターズとほぼ毎週連戦が続き、2014年のツアーが終了する。
今年のツアー成績(レース)でトップ8入りすると錦織の夢の一つ、
11月9日からはATPファイナルだ!

錦織圭ブログ
錦織圭 データー 1989年12月29日生まれ 24歳

(記事 塚越 亘 写真 鯉沼宣之 伊藤功巳 TennisJapan テニスジャパン