10月29日(日) 三菱 全日本テニス選手権
男子シングルス決勝が行われ、20歳になったばかりの高橋悠介(三菱電機)が2014年チャンピオンの江原弘泰(日清紡HD)を0-6,6-4,7-5で破り初優勝を飾った。
高橋は高校時代、腰の故障明けだったが、インターハイで優勝。続く全日本ジュニア18歳以下決勝では全身ケイレンに襲われながらも優勝している。
3週間前の楽天ジャパンオープンでは、まだ19歳。主催者推薦で出場、厳しい予選を勝ち上がり、初のツアー本戦でハリソン(米国)に4-6,6-4,4-6で敗れたが、最後まで攻めの姿勢で戦い抜いた。
派手さはないが、内に秘めたファィテング・スピリットが大きなプレーヤーだ。
一方の江原は2008年からは10年連続出場。2014年には今大活躍の杉田祐一を7-6(7),6-4で破り優勝している26歳。
今年は苦しみながらも単複共に決勝に進出している。
準々決勝では第1シードの伊藤竜馬を「対戦したかった」と言ってストレートで破り、準決勝ではジュニア時代からのライバル関口周一を第1セット2-5から挽回して勝っている。
年下だが格上の高橋との対戦も「楽しみ」とプレッシャーを楽しんでいるようだった。
両者の戦う姿勢、メンタルの戦いも見えた全日本決勝にふさわしい試合だった。
全日本は メンタルの戦い
<<男子シングルス決勝>>
〇高橋悠介 0-6 6-4 7-5 ●江原弘泰
高橋は今年、フューチャーズ3大会に優勝、楽天ジャパンオープンでは予選突破。
高橋ATPデーター グランドスラム大会予選出場ギリギリの244位。
江原は、「全日本を楽しむ」ことをテーマに、走力とショットの緩急、テニスのうまさで戦っている。
第1セットは江原が6-0で取った。
高橋は決勝進出まで1セットも落とさず勝ち上がってきていたのだが、自分のサーブさえキープできずに落とす。
第2セット
江原がラブでキープ、ここまで7ゲーム連取だ。
第2ゲームでやっと自分のサーブをキープする高橋、1-1。
ここでニューボールになったのも気分を変えるきっかけになったのだろうか?
江原の第3ゲーム、
高橋が先にダウン・ザ・ラインをきめ30-40、続くポイントもフォアクロスを決めて先にブレーク、
サーブをキープし3-1とする。
やっと高橋らしいプレーがでてきて第2セットを取り返す。
ファイナル・セット
高橋本来のプレーができはじめ、2ブレークで3-0とする。
ここで江原がインジャリータイムを取ると流れが変わる。
高橋は「(この間に優勝を)意識してしまった」と言う。
この隙をつき、江原はスマッシュ、サービス・エースなどリスクの高いプレーで攻め、なんと4ゲーム連取、4-3だ。
キープが続き、江原がラブキープ、5-4とし、プレッシャーをかける。
高橋も勇気を持って攻め15でキープ、両者一歩も引かない。5-5。
5-5、30-30から江原ダブルフォルト、30-40のピンチ。
ナイスサーブでデュース。
江原もゲームポイントが2回あったが、デュースが続く。
「目の前のポイントが取りたくて、取りたくてしようがなくて、変に力んでしまった。
この状況で力まないと言うのは無理だったので、気持ちでねじ込むようにプレーしていた。」と高橋。
4度目のデュース、10回目のラリー、高橋がネットで決め、このゲーム、3度目のブレーク・ポイント。
江原、勇気を持ち、フォアの回り込みでダウン・ザ・ラインを狙ったが、ワイド、高橋がブレークに成功する。
6-5、高橋サービング・フォ・ザ・マッチ、
21回のラリー戦は江原に。0-30、簡単には決まらない。
高橋、鋭角の修造サーブを決め15-30。
ここでTへサービス・エース、30-30と追いつく。
高橋、やや逆をついたフォアのクロスで、40-30とマッチポイント、
7回目のショット、高橋はフォアのクロスを放ちネットにつく、追う江原はパッシング・ショットを試みようとするがバランスが保てなくコートに倒れた。
高橋悠介が優勝の重圧に打ち勝った。
「何回も苦しい場面があったが、なんとか踏ん張って打ち勝てた。
名誉ある全日本に優勝できて嬉しい。誇りに思いたい。」
20歳の優勝は1989年17歳で優勝した谷沢英彦、昨年の綿貫陽介(18歳)、1996年の鈴木貴男(20歳)に次ぐ4番目の年少優勝者になった。
1997年10月17日生まれ、20歳
神奈川県藤沢市出身
湘南工科大附属高卒
プロ転向2016年1月
身長/体重170cm/67kg
右利き(両手バックハンド)
主な成績:
2011,12年全国中学生選手権優勝、
2013年全日本ジュニア16歳以下優勝、
2014年インターハイ優勝、
2014年全日本ジュニア18以下優勝
高橋ATPデーター
高橋ITFデーター
〇2]高橋悠介 06 64 75 ●5]江原弘泰
<<準決勝>>
〇5]江原弘泰 76(4) 62 ●3]関口周一
〇2]高橋悠介 64 63 ●上杉海斗
<<準々決勝>>
〇5]江原弘泰 64 64 ●1]伊藤竜馬
〇3]関口周一 62 64 ●羽澤慎治
〇上杉海斗 46 61 63 ●10]吉備雄也
〇2]高橋悠介 61 62 ●12]望月勇希
男子シングルス・ドロー
単複決勝進出の江原弘泰見事ダブルス優勝
「体は限界だったが、体にむち打って、いいプレーができた」と江原。
「全日本は一番好きな選手と組んで優勝したかった。それがきたのでうれしい」と4年ぶり2度目の優勝の片山
記事:塚越亘/塚越景子 写真:鯉沼宣之/伊藤功巳/TennisJapan