男子ツアーTEB BNPパリバ・イスタンブール・オープン(ATP250)で初めてツアー優勝を果たしたダニエル太郎
日本男子としては、1992年 韓国オープン 松岡修造、2008年 デルレイビーチ・オープン 錦織圭、2017年 アンタルヤ・オープン(トルコ)杉田祐一に続く4人目の快挙。

彼は実はこの大会ではなく、昨年8強になったポルトガルエ・ストリルATP大会の予選をプレーするつもりだった。それがイスタンブールの本戦に入れる事になったので、急遽移動しての出場そして優勝だったのだ。

3月、インディアンウエルズで予選を突破、2回戦ではジョコビッチを破ったダニエル太郎、その強さには家族の存在も大きいという。
素晴らしい勝利を収めたジョコビッチ戦のあと、家族について教えてくれた。

ダニエル太郎と家族


ーー両親と共に始めたテニス
「両親のおかげでテニスを始め、お父さんの「やるからには、最高のチャンスを与えたい」と言う情熱が僕と妹にプロのテニスの道を開いてくれた。それは本当に僕にとってありがたいなと思っています。
そういうお父さんは多いと思うんですけど、厳しくて怖くて、そういうプレッシャーをかけてくるようなお父さんじゃなくて、(良いことも悪いことも)楽しめば、本当に良い人生を歩めるんじゃないかっていうチャンスを与えてくれた人だからありがたいです。

今でも12歳以下のジュニア関東大会予選で全日本の出場を決めた時と、インディアンウェルズで予選を突破した時の嬉しさと変わらない、“嬉しさ”です。ATPマスターズ1000の本戦に入ったからすごいんだとか、そういうのは無いから。
親はいつも12歳以下の大会での成績でも、プロの大会の成績でも、同じように誇りに思ってくれてるのかなって思うから、それは本当に嬉しい。
でも、お母さんには小さい頃よく怒られてましたね。勉強とかで(笑)」

ーーポジティブに考えるように
「2月、アカプルコの予選決勝で負けた時は本当にがっかりしました。
それがラッキールーザーで入れて、良い試合が出来て少し気持ち的に明るくなったけど、一番はたぶんそのあとの練習が良かったんだと思う。
お父さんと2日ぐらいあそこで練習して、もう本当に1回戦で負けてもいいからもっとポジティブに考えられればいいなと思ってインディアンウェルズ行った。結果はいつか出るから、絶対信じようって。」

ーーアドバイスを聞く
「お父さんだったり、今サポートしてもらっている高田コーチだったり、カリフォルニアでよく僕が一緒に練習する友達のコーチがいるんですけど、その人と電話で話したりして、(みんなだいたい同じ事ばっかり言ってくるんですけど(笑))、でもそういうシンプルなことを取り入れることってなかなか難しい。でもなぜかその時はできました」

ーー優勝が狙えるチャレンジャーではなく、ATPツアー予選を優先
「ランキングが保てる限り。もちろん下がり始めたらチャレンジャーにも出ないといけないけど、別にチャレンジャーをもう完全に無視するわけじゃなくて、出来ればそうやっていきたい。その時その時で考えていこうと思います」

ーーツアースケジュールの方針を変えた理由
「中国とか南米のチャレンジャーは今年は行きたくないと思ってこっちに来たんですけど(笑)。テニスのためだけじゃなくて、メンタル的にもこっちの方がぜんぜん楽だから。それもあってアメリカの大会にチャレンジしています」

ーーツアーは予選を突破すれば本戦で強い選手と対戦出来る。そういうチャンスが欲しい
「やっぱりこういう大会(インディアンウェルズ )だと予選突破したらフェデラーとやるかもしれない、ジョコビッチとやるかもしれないっていうのもあるし、それでもしドローが良かったら1回戦勝ててポイントをたくさんもらえるというのもあるので、もちろんそれもあります」

ーートライしている事の結果
「(ジョコビッチに勝ったり)そういう結果が出せるのが当たり前になりたいですけど、これからどういう感じになっていくのかわからないし、まだ時間がかかると思うんですけど、でもだんだん試合に勝ち始めたっていうのは本当に良いサインだと思います」

トレーニング方法の改善や、出場大会、ツアースケジュールの方針を変更したりと常に試行錯誤し挑戦していると話す。
練習拠点も昨秋、14歳の時から約10年間トレーニングを続けてきたスペイン・バレンシアのテニスアカデミーTenisVal(現 Lozano-Altur Academy)から離れ、日本のNTC(ナショナル・トレーニングセンター)に練習とトレーニングの拠点を移した。アメリカでのツアーではフロリダ・ブラデントンにあるIMGアカデミーでも練習すると言う。

自分の言葉を飾らずに、終始“普段通り”にインタビューに答えるダニエル。彼の強さはこの自然体な性格にもあるのかもしれない。

ダニエル太郎 データー

ダニエル太郎

父はアメリカ人のポール・ダニエルさん。母は日本人の泰江(やすえ)さん。 父が入っていた武蔵野村ローンテニスクラブ(埼玉県加須市)でテニスを始める。 小6、12歳まで…

優勝したイスタンブール・オープン データー

https://tennis.jp/tournament/teb-bnpパリバ・イスタンブール・オープン

記事:塚越亘/Kyoko Oga/塚越景子 写真:佐藤ひろし/TennisJapan