いくつかのシードダウンは起きたものの、初日に登場した上位勢は概ね安泰。不調や故障が伝えられていたラファエル・ナダル(25歳、スペイン)やロジャー・フェデラー(31歳、スイス)も、初戦ということでいつも以上に気を引き締めてきたのか、それぞれ対戦相手を数段上回るテニスを見せて快勝し、2回戦にコマを進めた。


特にこのところのナダルは、バックハンドの攻撃力不足から、ほとんどすべての対戦相手に苦戦を強いられ始めていたが、この日はクズネツォフ(24歳、米国)相手に攻撃的なバックハンドを貫いて、早い展開からポイントを積み重ねるテニスを披露。サービスも攻撃的で、6-4 6-1 6-1とストレート勝ちの展開で9本のエースを記録した。
女子では良くも悪くも注目されていたキム・クライシュテルス(28歳、ベルギー)が、相手のケルエル(19歳、ポルトガル)の思い切りのいいプレーに対して序盤こそ手こずったものの、第1セットを7-5で取って以降は試合の流れを掌握。相手の攻撃が決まっても、単発に抑えきるベテランらしい試合運びでしっかりと第2セットを6-1で勝ち切った。キャロライン・ウォズニアッキ(21歳、デンマーク)やビクトリア・アザレンカ(22歳、ベラルーシ)などの上位勢は、さすがに貫禄の違いを見せつける形で1回戦を突破し、順調な仕上がりぶりをアピールしていた。
一方で、日本女子にとっては残念な一日となった。第1試合に登場したクルム伊達公子(41歳、写真)は、緩急をつけてボールをつないできたエレニ・ダニリドゥ(29歳)相手に、43本ものアンフォーストエラー(凡ミス)を重ねてしまい、半ば自滅する形でストレートで3-6 2-6で敗れ、森田あゆみ(21歳)は、第32シードのペトラ・チェコフスカ(26歳、チェコ)を相手に、序盤こそ互角以上の打ち合いを見せて一度は試合のペースをつかみかけたが、試合途中に体調が崩れ、6-3 1-6 5-7のフルセットでの逆転負けを喫してしまった。
また、30度以上となった猛暑が影響したのか、ベテラン勢には厳しい一日となったようで、男子ではイワン・リュビチッチ(32歳、クロアチア)やニコライ・ダビデンコ(30歳、ロシア)、ヤルコ・ニエミネ(30歳、フィンランド 、途中棄権)などが敗れた一方で、グリゴール・ディミトロフ(20歳、ブルガリア)やドナルド・ヤング(22歳、米国)などの若手が、フルセットの激戦を制して2回戦に進出を果たしている。
女子では第28シードのヤニナ・ウィックマイヤーが、ガリナ・ウォスコボエワ(●歳、カザフスタン)に敗れ、第24シードのーシー・サファロバ(23歳、チェコ)が、アメリカが次代のエースとして期待するクリスティーナ・マクヘール(19歳、米国)に敗れているのだが、現時点では番狂わせと呼べるほどの実力差がある関係とは言えず、それぞれ準備段階でのほんの少しの差が勝敗を分けたと考えた方が適当だろう。今季の女子は近年稀に見るレベルで拮抗しているため、2日目以降も目が離せない展開となりそうだ。
写真提供:テニスジャパン、クルム伊達公子、クリックで拡大