いよいよ大会も終盤。24日に男女の準々決勝がスタートする。ラファエル・ナダル(25歳、スペイン)はトマーシュ・ベルディハ(26歳、チェコ)と、ロジャー・フェデラー(30歳、スイス)はフアンマルティン・デルポトロ(23歳、アルゼンチン)と対決し、女子はキャロライン・ウォズニアッキ(21歳、デンマーク)がキム・クライシュテルス(28歳、ベルギー)、ビクトリア・アザレンカ(22歳、ベラルーシ)はアグニエシュカ・ラドワンスカ(22歳、ポーランド)と戦う。どのカードも見逃せないが、やはり男子は2009年全米決勝の再現となるフェデラー対デルポトロ、女子はクライシュテルスとウォズニアッキのカードに注目したい。
フェデラーとデルポトロは過去9度の対戦があり、フェデラーの7勝2敗。最後の対戦は昨年夏のシンシナティで、この時にはフェデラーが勝っているが、前述した2009年全米ではデルポトロが勝って優勝している。デルポトロは昨年末のデビスカップ(国別対抗戦)決勝でスペインのナダルとフェレールに2敗したものの、その内容は近年では最高の出来で、この全豪にもそのままの勢いを維持しているように見える。
一方のフェデラーは前哨戦のATP250では背中の痛みを訴えて準決勝を辞退していた。彼が大会を途中で辞退するのは極めて珍しく、状態も心配されたが、あくまでも大事を取ってのことだったようで、全豪では好調ぶりを見せつけている。
両者ともにフォアハンドの攻撃が生命線。しかし、フェデラーは打点に関係なく、どこからでも攻撃に転じる器用さを持っているが、デルポトロのフォアの場合、高い打点からのそれは脅威だが、低い打点からだとフェデラーの守備力を崩せるほどのボールは持っていない。また、バックハンドも球種においてフェデラーに分があり、ネットプレーもフェデラーの方が上。過去の対戦成績もそうした差からのものだろう。
とはいえ、フェデラーの気持ちが受身に回ってしまえば、デルポトロが嵩に懸かって攻めて来るだろうし、それを大きな受けとめて打ち破るのはフェデラーでも困難を極めるはず。フェデラーは終始先手を取って攻め続けたいところだ。鍵となるのはサービスの精度。お互いにセットに1つ来るか来ないかというチャンスを物にできた方がそのセットを取る形になるだろう。緊張感の高い熱戦が期待できる。
女子は第1シードのウォズニアッキが、前年覇者のクライシュテルスと対決する。ランキングやシード順ではウォズニアッキの方が上とはいえ、この関係における挑戦者はウォズニアッキ。過去の対戦ではクライシュテルスの2勝。それも全米と最終戦という大きな舞台での対戦であり、また、このオフのエキジビションマッチでのクライシュテルスの復帰戦でも、ウォズニアッキは負けている。
ウォズニアッキの強さはその圧倒的な守備力にあるのだが、クライシュテルスはそれに付き合わず、ポイントをショートカットして攻めていく力を持っている。二人の相性の悪さもそこに起因するのだが、問題はクライシュテルスが4回戦で左足首を傷めているという点。本人はバックサイドの守備で少し影響がある程度と話していたが、フットワークが武器でもある彼女にとっては大きな戦力ダウン。クライシュテルスからすると、ポイントを早めに奪いに行く戦術を取らざるをえない場面が増えるだろうが、ほんの半歩の遅れでミスを強いられるのがこのレベルでのテニス。状況はイーブンか、むしろクライシュテルスに不利な要素も多い。
男女ともにほんの小さな違いが勝敗に直結するレベルになってきている。見る側としても、緊張感を持って彼らの戦いぶりを見つめたい準々決勝になった。