全豪オープンは25日、錦織圭(22歳)が、男子ツアー「4強」の一角であるアンディ・マリー(24歳、英国)に挑戦する。
舞台はグランドスラムの準々決勝、会場はセンターコートであるロッド・レーバーアリーナの第3試合と、最高の環境での対決だ。過去の対戦成績はマリーの1勝。昨年秋のATP1000上海の準決勝で戦った時には6-3、6-0というスコアで錦織は敗れている。
だが、その後の錦織の成長もあり、今大会での勢いもある。確かにマリーは強敵で、リターンの精度とバックハンドの威力と自在性は現時点では最高と言ってもいい。しかし、錦織のストローク力なら十分に対抗は可能。また、マリーは自分から打たされる状況で弱みを見せることもあるため、錦織も自分から攻めるだけでなく、緩急をつけたテニスでマリーに的を絞らせないように戦いたいところ。
また、マリーは基本的に固い守備力をベースに自分のテニスを組み立てているタイプ。錦織が試合の中で、マリーの守備力を打破する手段を見つけ、相手を崩すシーンを数多く作れれば、マリーのテニスの根幹を狂わせることもできるだろう。攻守の切り替えとバランスが鍵になる。錦織はその点では天才的なところがあるだけに期待したい。とにかく、負けても何も失う物はない、という気持ちを持って前向きにコートに立てば、あとは何が起きるか分からない。
もうひとつの準々決勝は第1シードのノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)と、第5シードのダビド・フェレール(29歳、スペイン)。共に超絶の守備力を誇る両者の過去の対戦は、ジョコビッチから6勝5敗と拮抗している。直近の対戦は昨年末のツアー最終戦で、フェレールが勝っている。この時のジョコビッチの状態は最悪に近い状況だったとはいえ、それ以前も勝ったり負けたりで、常に接戦を戦って来た。フェレールのランキングは5位。つまり、「4強」に次ぐ存在。連覇を狙うジョコビッチにとって、「4強」以外では最も手強い相手だ。好試合を期待したい。
女子はペトラ・クビトバ(21歳、チェコ)がサラ・エラニ(24歳、イタリア)と、マリア・シャラポワ(24歳、ロシア)がエカレリーナ・マカロワ(23歳、ロシア)との対戦となる。エラニはストーサーが早期敗退したゾーンを勝ち抜いて来たラッキーガール。クビトバは幸運だけで倒せる相手ではないが、こういう何かを持っている選手というのは時に大仕事をすることもある。軽視は禁物だろう。
マカロワは故障で動きに精彩を欠いていたとはいえ、あのセリーナ・ウィリアムズ(30歳、米国)を下して来た自信は武器になる。シャラポワにといえども、油断していると危ない。
勝てばベスト4進出というのを、プレッシャーに感じるか、チャンスと捉えるか。そんな部分も勝負の鍵を握るのが準々決勝の醍醐味だ。注目したい。