25日、全豪オープンの準々決勝でペトラ・クビトバ(21歳、チェコ)と対戦したサラ・エラニ(24歳、イタリア)、マリア・シャラポワ(24歳、ロシア)と対戦したエカレリーナ・マカロワ(23歳、ロシア)はそれぞれ今大会での波乱の中心にいた選手で、エラニは優勝候補とも言われた地元のサマンサ・ストーサー(27歳、オーストラリア)がまさかの1回戦負けを喫し、ぽっかりと空いたドローの穴のゾーンから勝ち上がってきたラッキーガールであり、マカロワは最強の女王と言われるセリーナ・ウィリアムズ(30歳、米国)を倒して来た選手。クビトバとシャラポワは実績でも実力でも彼女たちよりは上の選手だが、こういう対戦は意外に嫌なものだろう。


しかし、クビトバは6-4 6-4、シャラポワは6-2 6-3のそれぞれストレートで相手を一蹴し、4強入りを決めた。これ以上の波乱は許さない。真の強豪というのは、彼女たちのような独特の存在感を放つようになって初めてそう呼ばれるのだろう。
だが、強豪の世界においての「新人」であるクビトバは、やや苦しんでの戦いだった。相手のエラニはイタリア選手らしく高いテクニックと戦術眼を持つ選手で、クレー育ちらしい駆け引きの中での粘り強さを持っている。スコアはストレートでの楽勝だが、試合時間は2時間を超え、クビトバはエラニの25本を大きく上回る44本ものミスを強いられた。第2セットは1-4と相手にリードされてからの逆転で、非常に苦しい戦いだった。
「全豪でベスト4。ドロー運も良かったと感じていて、当然勝ちたい。グランドスラムでベスト4というのは、私にとっては2番目にいい成績だから、当然もうひとつという気持ちも出たわ。でも、その分だけナーバスになってしまった。もちろん、相手もすごくいいプレーをしてきた。誰でも試合前には楽勝を期待するものだと思うけれど、今日はそうさせてもらえなかった」とクビトバは振り返った。「グランドスラムに勝った選手は、すべての試合で勝利を期待されるけれど、それはそんなに簡単なことじゃない。今は自分が準決勝に残れたことを喜びたいわ」。ベスト4で満足せず、すぐに次戦へと意識を切り替えられるかどうかが、女王と呼ばれる選手になるための条件なのだとすれば、今のクビトバはそれを急ピッチで学んでいる最中なのだろう。
一方のシャラポワは課題になっているサービスの調子そのものは悪くはなく、数字上でも1stが77%の確率と悪くはない。しかし、ダブルフォールトが4つある。試合ではほとんど感じさせはしなかったが、これは今後の彼女にとってはいい兆しとは言えない。準決勝はウィンブルドンの決勝で敗退した相手のクビトバ。シャラポワにとってはサービスキープは絶対で、プラスαが求められる相手だけに、多少の修正が必要だろう。
「彼女(クビトバ)には2度続けて負けているし、去年の彼女はシーズンを通じてとてもいいプレーをしていたわ。多分、今が彼女のキャリアでは最高の時期なんだと思う。でも、私もそう何度も同じ相手に負けたくないし、彼女との試合を逆に楽しみにしてたわ。準決勝では自分のベストを出せるようにしたい」とシャラポワは闘志を新たにしていた。「私は今までもずっと、自分はどんな時でも戦い抜ける強い人間であろうとしてきたし、ファイターでもあると思っている。すべての対戦相手は自分よりいいプレーをしてくるかもしれないと考え、常に油断せず、自分の出せる力をすべて出す。それが私のすべてよ」。
ベスト4まで来ると、やはり残るべき選手が残っていると感じさせられる。誰が決勝の舞台に立つのか、ますます目が離せなくなって来た今年の全豪だ。