27日、全豪オープン12日目の金曜日は、第1シードのノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)と第4シードのアンディ・マリー(24歳、英国)の準決勝がメインカード。ジュニア以外のシングルスはこのカードのみ。誰もがこの一戦に注目する最高の舞台となった。
試合の序盤はジョコビッチペースで進んだ。やや硬さが見えるマリーに対して、昨年の活躍で全身から自信を感じさせるジョコビッチのプレーに対する集中度には明らかに差があった。ロングラリーの展開はほとんどジョコビッチが取る形となり、第1セットは6-3でジョコビッチが取って先行した。
しかし、第2セットの中盤以降は様相が変わる。試合への集中力を取り戻したマリーが逆襲に転じたのだ。マリーの攻守の切り替えの判断がよくなり、ジョコビッチにミスを強い始める。また、マリーのリターンのレべルが上がったことで、ジョコビッチのサービスにプレスをかけられるようにもなってきていた。第2セットを6-3でマリーが取り返すと、第3セットもお互いにライン際にボールを打ち込んでいく緊張感の高いラリーが続いたが、主導権を握っていたのはマリー。試合はタイブレークまでもつれたが、最後はジョコビッチのリターンがサイドラインを割ってマリーが7-6(7-4)で取って王手をかけた。
本来であれば、マリーは第4セットでさらに畳み掛けて一気に押し切ってしまうべきだった。だが、第3セットだけで88分に及んだ激闘だったこともあってか、あと一押しができなくなっていたマリーは、逆襲に出て来たジョコビッチを止められない。ジョコビッチは1stサービス時に、なんと91%のポイント率を叩き出すプレーを見せて6-1で試合をイーブンに戻した。
最終セットに入り、マリーは再びレベルを上げ、ジョコビッチは第4セットの勢いのまま激しくコートを駆けてボールに食らいついた。マリーは先に5-3とされたが、ジョコビッチのサービングフオーマッチでブレークバックに成功。続くサービスもキープして5-5として流れを引き戻したが、ここまでだった。
6-3 3-6 6-7(4) 6-1 7-5でジョコビッチの勝利。マリーの決勝進出は消え、昨年のウィンブルドン以来、グランドスラム3大会連続でのジョコビッチ対ナダルの決勝が決まった。
「この1年の自分の成長を試したい」。準決勝を前にそう話していたのはマリーだったが、前年の決勝では一方的だったジョコビッチとの差を、マリーは1年で僅差と言えるレベルまで埋めて来た。また、両者は今の男子テニスを象徴するような、スピードと精度、そして最後の最後まで走り続けられる身体能力を見せつけた。前日のラファエル・ナダル(25歳、スペイン)対ロジャー・フェデラー(30歳、スイス)も素晴らしい試合だったが、このジョコビッチ対マリーもまた、全豪史上に残る好試合を演じたと言っていいだろう。
やはり「4強」はただ者ではなかった。