全豪オープンも29日に最終日を迎え、いよいよ男子シングルス決勝だ。第1シードと第2シードの対決。波乱の予感もあった全豪だったが、やはりノバク・ジョコビッチ(24歳、セルビア)とラファエル・ナダル(25歳、スペイン)は強かった。


両者の対戦成績はナダルから16勝13敗。ただし、昨年6度あった対戦はナダルが6連敗。しかもハード、クレー、芝と全てのサーフェスで敗れている。
全豪の場合、男子の準決勝は木曜日と金曜日に分割されて実施されており、ナダルには丸2日のインターバルがあり、ジョコビッチは中1日となっている。両者ともに準決勝では激戦を戦ったが、4時間50分のロングマッチを戦ったジョコビッチには回復のための時間が少ない形になった。
「僕たちはこういうスケジュールには慣れている」とジョコビッチは話しているものの、「できる限りのことをして、最善の状態で決勝を戦いたいと思っている。ラファはフィットしているみたいだし、僕はこの大会に勝ちたい」とし、「決勝をしっかりと戦うには、身体の回復がまず重要だ」とも話している。対ナダルで6連勝していることに対しても、「すでに新しい状況が始まっている」とまったく楽観はしていないようで、「もし、すべてがうまく運べば、僕が勝てると信じている」と彼自身も気持ちを新たにしているようだ。
さらに、ナダルとフェデラーの試合を見ていたというジョコビッチは、「ラファはロジャーを相手に信じられないようなプレーを続けて逆転した。それができたのは彼がチャンピオンであり、過去にテニスという競技をした選手の中でも最高の選手の一人であり、決して諦めないファイティングスピリットを持っていて、ほとんど弱点がないから。決勝でも闘志を燃やして来るだろうね。でも僕も同じ気持ちだ」とも話している。
一方、ナダルは、ジョコビッチ対マリーの準決勝について「第3セットの始めぐらいまで見ていて、夕食に行ったんだ。戻って来たらまだやっていて、第4セットの4-1だった。その後は最後まで見たよ。すごい試合だったね」と話しながら、かなり細かく見ていたようで、二人のプレーを分析しつつ、「テレビで見ていても素晴らしい試合だった。感動的だったよ」と続けた。翌日の土曜日に彼が2時間に及ぶ練習を精力的にこなしたのは、彼らの影響もあったのかもしれない。
しかし、「相手が誰であろうと、グランドスラムの決勝で戦う相手は、現時点で最高の選手」というのがナダルらしいところ。ジョコビッチ相手だからと特別視はしていないと強調しつつも、「僕にとっては大きなテストになる」とも話している。
ナダルは自分のテニスをさらに攻撃的に改良中とのことだが、まだ完成には数ヶ月が必要と語っていて、「今は今できるプレーを全力でやるだけ」と付け加えた。
昨年の連敗ではジョコビッチに完全にプレーの傾向を読まれ、ラリーでまったく主導権が握れなかったことが敗因だったが、それに対する準備はまだ完全ではないという。
状況的にはどちらに有利とも言いがたいが、確実なのは両者ともに全力で戦える状況でなければ、絶対に勝てない相手と戦うということだけ。激闘を期待しよう。