パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、大会5日目に男女の2回戦を行い、ラファエル・ナダルと李娜の男女前年優勝者がそれぞれ快勝。第4シードのアンディ・マリーは1-6、6-4、6-1、6-2で勝ったが、背中を痛めながらの苦しい戦いとなった。
痛みに顔をしかめ、腰に手をあて、あえぐようにその場にたたずむ……。そのような試合序盤のマリーの姿を見たとき、多くの人が、第4シードの途中棄権を覚悟したはずだ。48位のヤルコ・ニエミネン相手に、第1セットはほとんどなにもできないまま、37分で失った。
「第1セットが終わった時、棄権することも考えた」
マリーは試合後、そう打ち明ける。今大会前から背中を痛めていたマリーだが、今回の痛みは新規のもの。試合前の練習時から痛みを感じ始め、試合そのものを棄権することも考えたという。
だが、テニスにおいて最も難しいことのひとつは、ケガをし満足に動けない選手を相手に、普段通りのプレーをすることだといわれている。この時のニエミネンも、その法則に縛られたひとりだった。おりしも威力を増し始めた風の影響もあったか、ミスを重ねだすニエミネン。相手のミスに助けられるうちに腰の痛みも徐々に和らぎ、2時間27分を擁しながらも、結局はマリーが3-1で勝利した。
それでも「勝ったなんて信じられない」と、試合後もマリーの表情は冴えない。「次の試合までに医者やトレーナーに見てもらい、可能な限り回復に努める」と、患部の状態が悪いことを伺わせた。
全仏最多優勝の記録に挑むナダルは、6-2、6-2、6-0でデニス・イストミンに快勝。前哨戦3大会を制するなど好調を維持するナダルは、「昨年は、家(スペイン、マヨルカ島)に帰ることもできずパリに入ったので、精神的に疲れていた。今年は家に帰ることもできたので、ハッピーだし気分も良い」と、昨年よりプレーを楽しんでいる様子だ。
2連覇を狙う李娜も、地元フランスのステファニー・フォレ・ガコンを6-0、6-2で簡単に退ける。初戦も6-2、6-1で圧勝した李娜は、2試合でわずか110分しか要さない安定感を見せ3回戦へと進出した。