パリのローランギャロスで開催中の全仏オープン6日目。女子シングルス2回戦に登場した森田あゆみは、大会第2シードのマリア・シャラポワと対戦し、1-6、1-6のストレートで敗退した。


本来なら昨晩は、会場最大のスタジアムである“コート・フィリップシャトリエ”で試合が行われるはずだった世界2位との対戦。だが、結局は日没順延で本日に繰り越され、コートも第2スタジアムである“コート・スザンヌランラン”へと移されることになってしまった。
それでも「センターでやりたい気持ちもあったが、それ以上にシャラポワ選手とやれることが楽しみだった」という森田は、小細工や奇策を弄することなく、持てる力をすべてぶつけ「打ち勝つ、走り勝つ」つもりで、決戦の舞台へと踏み込んでいった。
だが、斬るか斬られるかの打ち合いでは、3度のグランドスラム優勝を誇る世界2位に、一日の長がある。シャラポワは、森田のボールが少しでも甘くなると唸り声を上げて強打を打ち込み、ラリーの主導権を握っていく。また、ファーストサーブの確率が37%と低調だったこともあり、森田はサービスゲームでも相手に先手を取られてしまう。
「もう少しできるのではとの思いもあっただけに、ショックだった」
そう認めざるをえない、完敗だった。それでも、グランドスラムのスタジアムで真のトップ選手と戦ったのは、なににも変えがたい経験だ。
「早い展開になったときにも打ち負けず、しっかりステップインして打っていく練習が必要だと思います。今は悔しいけれど、モチベーションも上がりました」と、この敗戦を次への糧にすることを誓った。
試合後に森田あゆみの会見があったので、その模様をお伝えする。
――サーブでかなり苦しんだようだったが?
今日はサーブがダメでした。ファーストサーブがあれだけ入らないと、自分のリズムが出てこないのはもちろん、相手に叩かれるところから始まるのでリズムに乗れない。今日のサーブでは、誰とやっても勝てなかったのではと思います。
――日没順延になり、コートが変わったことに関しては?
できればセンターでやりたいという気持ちもありましたが、コートは関係なく、シャラポワ選手とやれるのを楽しみにしていました。今日にずれ込んだのは、特別にどうというのはありませんでした。
――試合前に「相手に飲まれないようにしたい」といっていたが、飲まれたのが苦戦の要因だったか?
初めて大きいコートでプレーしましたが、変な緊張などはなく、精神状態はよかったです。サーブが悪かった理由はまだ分かりませんが、相手のペースが早くて、少しでも自分のボールが浅いとコートに入り打ってきます。ボールのスピード以上にプレッシャーを感じましたし、おちついて打つ時間がありませんでした。スピードについていくので精一杯という感じでした。
――いままでも多くのトップ選手と戦ってきたが、シャラポワが特別なのはどのあたりか?
速いのは予想していましたが、思っていたより、コートに立った時に感じるプレッシャーが凄かったです。ほかの選手は、もう少し考えてしっかり打つ時間をくれるので、自分からクロスやダウンザラインに狙って打つ時間がありますが、今日はその余裕がありませんでした。自分が打ったらすぐ返ってくる感じだったので、どのコースに打つなど考えられず、打ち返すので精一杯でした。その早いペースになるとミスが出てしまったし、自分から展開する余裕はなかったです。
――シャラポワは、一般的にクレーでは守備がよくないイメージがあるが、そのあたりは実際に戦い、どう感じたか?
やはりリーチがあるので、ショットで振っても、もっと角度があるボールが返ってきたりしました。フットワークはよいほうではないと思いますが、リーチがあるので(ボールが)返ってきます。それに、クレーなのにあれだけベースラインからどんどん前に入ってきて、自分のテニスを貫くのは凄いなと思いました。
――次にシャラポワと戦うまでに、どのような部分を鍛えていきたいか?
やはりまずはサーブ。質の高いファーストサーブを入れていくことと、あとは早い展開になったときにも打ち負けず、しっかりステップインして打っていく練習が必要かと思います。速い打ち合いになるとボールの落下点に入れなかったり、自分から下がってしまったりしたので、打ち合いになっても振り遅れず打てるようにならないと厳しいと思います。
――シャラポワ戦に向けた、戦前の作戦は?
速い打ち合いになるのはわかっていたので、自分から引かず、打たれてもしっかり打ち返す。自分が1本良いショットを打っても、相手はリーチが長いので返ってくるというイメージは持っていたので、3~4本は良いショットを打ち続け、打ち合って走り合うのをイメージしていました。もう少しできるかなと思っていたのですが……相手がどんどん中に入ってくるのに対し、自分から先に守りに入ってしまったと思います。
――打ち勝つイメージだったのか?
そうですね。クレーということもあり、スピンやロブを織り交ぜるのもありだとは思うのですが、私もディフェンスがあまりうまいほうではないので、ディフェンスでポイントを取るのは難しいと思っていました。逃げるボールを入れても、さらに畳み掛けられると思ったので、自分から攻めるしかないと思っていました。走りあって打ち勝ちたかったのですが……その前にサーブとリターンで差がついてしまいました。ちょっとショックです。
――ショックということだが、そのあたりの心境をもう少し詳しく教えてください。
正直、もうちょっとできると思っていたし、勝つくらいの気持ちでいかなくては勝てません。せっかくシャラポワ選手とプレーできる機会だったので、自分の力を100%発揮し、自分が最高で相手が多少悪ければ、勝てるチャンスはあると思って試合に挑みました。でも、実際にはやはり力の差を感じ、競うこともできなかったので、悔しい気持ちはあります。その半面、まだまだ力不足なのを感じたので、モチベーションも上がりました。今は複雑な気持ちですが、次にやるときは、最低でも競り合えるテニスを作っていきたいと思います。
――今回のクレーシーズンを振り返って、自分のテニスの状態は?
去年のクレーシーズンは、ポジションを下げてしぶとく打っているだけのことが多かったですが、今年は前にポジションをとり、自分から展開していくことに取り組んできました。それができるようになってきたと思うし、去年よりは良いテニスをしていると思います。調子は上がってきているので、芝のシーズンになっても、よいプレーができるのではと思います。
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全仏オープン2012 男子シングルスドロー
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