パリのローランギャロスで開催中の全仏オープンは、現地時間7日に女子準決勝を行ない、第21シードのサラ・エラニが、第6シードのサマンサ・ストーサーを7-5、1-6、6-3で破り決勝へと進出した。
フォアの逆クロスを豪快に相手コートに突き刺すと、ラケットを放り投げ、コート中央に大の字になり倒れこむ。客席から沸き起こる拍手と大声援を全身に浴びながら、25歳の小柄なイタリア人は「言葉にならない。信じられない」と声を上ずらせた。
これまでのグランドスラムでは、ベスト8が最高成績。世界24位の地点からの決勝進出は奇跡に近い快進撃だが、世界6位から奪った勝利は、堅実にポイントを積み重ね、現実主義に則って試合を運んだ末に得たものだ。
雨の影響で開始が一時間遅れた試合は、上空の雲が凄まじい勢いでコートを横切る強風の中で行われた。「風の影響で、コートの片方からはプレーしやすく、反対のサイドはやり辛かった」(エラニ)という難しい状況下だったが、その悪条件を味方につけたのは、欧州のクレーで育ったエラニである。高いボールや左右に切れるショットを織り交ぜ、パワーとボールのスピードで勝るストーサーをかき乱す。そして、どんなボールにも唸り声を上げながら諦めずに食らいつき、体制を崩しながらでも相手コートにねじ込んでいった。第1セットを奪い、第2セットを失った後はバスルームブレークを取り気持ちを切り替えるなど、精神戦でも相手を揺さぶる。そして第3セットは、再び第1セットと同じような展開に持ち込んだ。良いプレーをしながらもポイントを取れない事実に、ストーサーは徐々に苛立ちをつのらせていった。
ストーサーには、2週間前の対戦も含め過去5試合全てで破れているエラニだが、「(直近の)ローマの対戦で敗れたのは、相手というより、自分の問題だった。だから今日の試合では、自分のプレー、特にリターンとサーブに集中していた」というように、ファーストサーブの確率は85%と高く、そして相手の跳ねるサーブを早いタイミングで叩いて果敢に攻めた。
今大会は初戦からフルセットを戦い、ここまでの総試合時間は、準決勝進出4選手の中で圧倒的に長い。自分のテニスを貫く精神力としぶとさで、イタリアの先輩フランチェスカ・スキアボーネが2年前に成した快挙の再現を狙う。
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