ロンドン郊外で開催中のウィンブルドン選手権は、7月4日に男子準々決勝4試合が行われ、トップハーフではノバク・ジョコビッチがフロリアン・マイヤーを、ロジャー・フェデラーはミハイル・ユーズニーをそれぞれストレートで下し、ベスト4進出を決めた。これで男子トップハーフは、第1シードのジョコビッチと、第3シードのフェデラーが順当に勝ち上がり準決勝で対決。両者は先の全仏準決勝でも対戦しており、その時はジョコビッチがストレートで勝っている。
過去の戦績が、フェデラーを精神的に優位に立たせた大きな要因だったろうか。準々決勝を戦ったユーズニーとは、これまで13回対戦して敗戦は一度もなし。この日も立ち上がりから、フェデラーのプレーは自信と確信に満ちていた。最初のゲームをラブゲームでキープすると、第2ゲームを5度のデュースの末にブレークする。これで試合の主導権を握ったフェデラーは、いずれのセットでも最初のゲームをブレークする必勝パターンで、3セットを連取。6-1、6-2、6-2でユーズニーを下し、3年ぶりとなるウィンブルドン準決勝進出を決めた。
準決勝でフェデラーの挑戦を受けるジョコビッチの王政は、ちょうど1年前のこの日から始まった。昨年のウィンブルドンで優勝したジョコビッチは、2011年7月4日に1位の座についたのである。
その記念すべき“一周年”を、ジョコビッチはこれ以上ない形で自ら祝福する。立ち上がりこそ、今大会初めてプレーするナンバー1コートの日差しや風に戸惑いブレークを許すが、その環境に慣れるにも5ゲームあれば十分だった。第6ゲームをブレークバックすると、5ゲーム連取で第1セットを先取。
対戦相手のマイヤーは、スライスやダイビングボレーを放つトリッキーな選手ではあるが、ジョコビッチの強烈なストロークと軽快なフットワークを乱すには遠く及ばない。スコアは、6-4、6-1、6-4、試合時間1時間44分の快勝で、3年連続の準決勝へと力強く歩みを進めた。
2日後に行われるジョコビッチとフェデラーの対戦は、両者にとって、実に27回目を数える。対戦成績ではフェデラーが14勝12敗とリードするが、最近はジョコビッチが3連勝中と優勢。だが、これが芝では初の対戦とあり、フェデラーは「僕は芝が好きだし、このコートではまだ良い選手だということを証明するチャンス」と自信をのぞかせる。対するジョコビッチも「僕は芝でも、とても心地よくプレーできるようになった」と、前年優勝者のプライドを見せた。奇しくも今大会では、フェデラーが最終的に優勝すれば、1位の座をジョコビッチから簒奪することに。様々な地位と誇りをかけ、7月6日に新旧王者は、センターコートで対峙する。
※写真は3年連続となる4強入りを決めたジョコビッチ(上段)と、3年ぶりに4強入りを決めたフェデラー(下段)