9月28日(木)、有明コロシアムにて開催中の 「東レ パン・パシフィック・オープンテニス」にて、今大会を最後に引退表明をしている土居美咲(ミキハウス)が2回戦を戦い、3-6 1-6 のストレートでM・サッカリ(ギリシャ)に敗退し、現役生活に幕を下ろした。
WTAランキング6位、しかも前週のグアダラハラで優勝し乗り込んだサッカリのテニスは、自信にあふれたそれだった。
序盤こそファーストサービスの確率が悪かったものの、ストロークでは正面向きの体勢からクロス、逆クロスを自在に打ち分け、土居の足をしばしば止めた。第2セットではフォアサイドで外に切れるスライスサービスでエースを連発。マッチポイントではそれが土居への敬意でもあるかのように、回り込みのフォアでダウンザラインへ打ち抜いた。
試合を終えた土居は「出し切りましたね。強い選手だし、すごく重たい球で、こうやって最後の対戦でこんな素晴らしい選手と対戦できたっていうのは、最後のご褒美というか、今まで頑張ってきたご褒美かなと思って。全力を出し切れることを楽しみながら試合してました」と、晴れやかな表情を見せる。
この日も会場には土居の最後の姿を見届けるべく、多くのファンが集まった。ポイント間の声援や拍手、その全てを受け止めて戦い、改めてテニスの魅力を感じたという。
「やっぱりこうやってお客さんと一体になれることで、本当に後押しをしてもらったと感じていますし、これだけたくさんの人と喜びを共有できる、凄く素晴らしいスポーツだなと思います」
2008年のプロ転向から15年、ひたむきにテニスと向き合う人生だった。当初は極度の人見知りで、口数も少ない選手だった。しかし、選手として最後となる記者会見では、さらなるテニスの魅力として「最後まで勝敗がわからないようなところ」を挙げ、これからもテニスの面白さを皆さんに伝えてもらえたら嬉しいです」という。
後身の選手たちがなかなか出てこない現状にも「未来はもっともっと強くなれるポテンシャルのある選手が凄くいると思うので、そこに目を向けて、メディアの皆さんも、ワクワクして見ていただけたらいいなと思います」と、プレスへ向けて積極的に働きかけた。
会見を終えると深く一礼をして後にした。写真/伊藤功巳
今後は「テニスに関わる何かはできたらいいなと思っています。何かやり甲斐のあることを見つけられたら」と、確実なものは決まっていない。159cmという小さな身体で、30位まで駆け上った実績は、後身の希望となっていくだろう。
東レPPOテニス2回戦
○[4]M・サッカリ 6-3 6-1 土居美咲 [Q]●
ダブルス 青山/柴原組、穂積/二宮組、加藤組など参戦
ダブルスドロー日本語版
公式HP 東レPPO
WTA HP WTA500 TOKYO
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取材・保坂明美 撮影/伊藤功巳