
広島県福山市の竹ケ端運動公園庭球場及び、こざかなくんスポーツパークびんごにて開催された、2025年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)は、8月4日、個人戦のシングルスおよびダブルスの決勝が行われた。
■男子シングルス決勝■
男子シングルス決勝は、第1シードの義基耀(四日市工)と、1年生にして決勝進出を果たした奈良恒輝(湘南工大附)の対戦となった。
第1セットは序盤から両者一歩も譲らない緊迫したラリーが続き、義基のバックハンドと、奈良のフォアハンドが光る展開となった。一進一退の攻防の中、少ないチャンスをものにした義基が6-4で奪取する。続く第2セットは集中力を高めた奈良が5-4とし、ファイナルセットへもつれる展開かと思わせたが、金山敦思監督から「負けてるときも勝ってるときも、とにかくラリー戦に持ち込み、攻める展開を増やそう」というアドバイスを胸に最後までラケットを振り続けた義基が7-5と逆転し、ストレートで優勝を飾った。
第1シードでの優勝に「さすがに128ドローということで、最初は緊張もしていたし、1セットマッチで不安もあったのですが、先生のアドバイスから自分のプレーにつなげることができた。4回戦まで調子良く進んだことで自信がつき”いける”と思えた」と喜びの表情を見せた。

一方、準優勝となった奈良だが、1年生での決勝進出は堂々たるもの。「相手のグッドショットを一旦ニュートラルに戻して自分の展開に持ち込みたかったのですが、それができなかった。最後は少し体力的にも厳しかった」と悔やむも、「人生初の団体戦など、今までに味わったことのない緊張感が味わえて、今後につながるものでした」と前を向く。奈良は8月末から盛田正明テニスファンドの支援を受け、アメリカのIMGアカデミーにテニス留学をする予定だ。

また、義基も2年生での優勝だ。「リードされると気分が沈んでしまっていたが、今大会は常に前向きに取り組めました」と大きな自信を得て、来年また成長した姿を見せてくれることだろう。
優勝:義基耀(四日市工)
準優勝:奈良恒輝(湘南工大附)
○義基耀(四日市工)6-4 7-5 奈良恒輝(湘南工大附)●


■男子ダブルス決勝■
男子ダブルス決勝は、昨年の同大会で準優勝だった岡橋優希/中前孝至朗(神村学園山梨)が、松村怜/名雪楽工(湘南工大附)を6-4 6-2のストレートで下し、悲願のインターハイ初優勝を果たした。昨年は先にリードしていたにもかかわらず、相手の勢いに飲まれて逆転勝利を許したという。「今年こそは」との思いで最後まで強気に戦った結果が、全国優勝へとつながった。今後は全日本ジュニア、そして国スポにも2人で参戦予定だという。「どちらも優勝できるよう頑張りたい」と意欲を見せた。

■コメント
中前孝至朗
「去年は準優勝でしたが、今年は優勝できてうれしいですし、優希とペアを3年間組んでもらって去年のリベンジもできました。今大会は1回戦から結構苦しい場面もありましたが、それをくぐりぬけてここまでたどり着いたので本当にうれしいです。試合中は気持ちは前向きに頭は冷静に2人で声を掛け合いました、自分は結構緊張していたのですが、ペアに助けられて思い切っていけるようになりだんだん良くなっていきました。最後はぶつかっていく気持ちでいけたと思います」
岡橋優希
「ペアの孝至朗に助けてもらってここまで勝ち上がれたので、決勝は自分がしっかり引っ張るんだっていう強い気持ちを持ってプレーできたので良かったのと、3年間ずっと助けてもらってばかりだったので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。また、自分が落ちそうなときに応援のメンバーが『前向きに、前向きに』と声をかけてくれたので、自分たちも乗っていけたと思います。最低でも優勝、最高でも優勝くらいの気持ちで戦ってきたので、少しホッとしたというのが正直なところです」
優勝:岡橋優希/中前孝至朗(神村学園山梨)
準優勝:松村怜/名雪楽工(湘南工大附)
○岡橋優希/中前孝至朗(神村学園山梨)6-4 6-2 ●37松村怜/名雪楽工(湘南工大附)


写真・文:保坂明美(Tennis.jp)


