
「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2025」(2025年8月25日〜9月5日/有明コロシアム及び有明テニスの森公園)は5日、U16、U18の男女シングルス決勝と車いす決勝が行われた。
■U16女子シングルス
16歳以下女子シングルス決勝では、第4シードの石井心菜が、第5シードの鈴木美波を6-4、6-4のストレートで破り、初の全日本ジュニア優勝を果たした。

序盤石井は「前日のコロシアムと違い、コートの速さに慣れるのに苦労した」と語り、鈴木の攻撃に押される場面が見られた。しかし、試合の途中で修正し、持ち味である攻撃的なプレースタイルを展開。ファーストセットを6-4で制した。セカンドセットもその勢いを維持し、リターンから主導権を握ることに成功。集中力を切らさず、見事にストレートで勝利を収めた。
ファーストセットで最初にブレイクされた時の心境について問われると、石井は「焦りは少しあったが、徐々に調整していけば良いと考えていた」と冷静に振り返った。まだサーフェスの感覚に慣れていない段階だったため、「ファイナルセットまでもつれても戦い抜く」覚悟だったと明かした。

優勝の鍵となったのは、前日の準決勝での経験だった。2-6、1-5と厳しい状況に追い込まれながらも、驚異的な逆転勝利を収めている。石井は「負けるとは思っていなくて、不思議と落ち着いていた。1点ずつどうしようかと考えていたら5-5になり、セカンドセットを取ることができた。ファイナルでも流れがきて、しっかりラケットを振って、動いてというテニスが最後までできた」と振り返る。この逆転劇は「自分のテニス人生の中でも大きな一勝だった」と評価しており、その勝利が決勝での自信につながったことは間違いない。

大会前に「優勝したいとは言っていたけれど、ドローを見ると結構きつかったし、本当に優勝できるとは思っていなかった」と喜びを滲ませる。16歳にして全日本ジュニア初優勝を果たしたことについて「1ポイント1ポイントへの気持ちの入り方が一番成長できたところ」と、大きな自信になったと述べた。
今後の目標については、ITFジュニア大会に継続して出場し、今年の全豪オープン予選に出場することを目指していると語った。さらに、全てのグランドスラムジュニア大会で活躍し、その後は一般の大会に挑戦。最終的にはグランドスラムで活躍できる選手になるという展望を語った。


■U16男子シングルス
16歳以下男子シングルス決勝は、第2シードの渡邉栞太が第5シードの川上拓真を6-1、6-1で圧倒し、優勝を飾った。

渡邉は大会序盤、調子が上がらず苦戦を強いられた。しかし、徐々に本来の調子を取り戻し、準々決勝、準決勝と勝ち進むにつれてプレーの質が向上した。特にサーブは、以前は「得意とは言えなかった」が、コーチとの練習で強化した結果、今大会では武器と呼べるまでに成長した。このサーブの安定が、準決勝以降の好調の鍵であったと振り返った。

決勝戦では、圧倒的なスコアで勝利を手にした。第1セットは、序盤の1-1から要所でメリハリをつけた攻撃を展開し、主導権を握った。第2セットは「新球に代わってから相手のサーブが良くなった」と苦しむ場面もあったが、自身のサーブゲームが安定していたため「ブレークされる気はしなかった」という。リターンゲームでも自分のペースで試合を進め、相手に反撃の隙を与えなかった。

大会を通して、海外選手との対戦で培った経験からくる自信も、渡邉の強みとなっていた。海外選手と比較しても身体の強さに優位性があると感じており、それがプレーの安定感に繋がったようである。
シングルスに加えダブルスでも優勝を果たし、単複制覇という最高の形で大会を終えた渡邉は、「優勝できてうれしい気持ちでいっぱい」と語った。今後も海外の大会にも積極的に参加し、さらにランキングを上げていきたいと抱負を述べた。


■女子ダブルス結果


北岡美空/山岸美咲 6-3, 6-1 福田いまり/鈴木美波[5]
■男子ダブルス結果


木河瞭/渡邉栞太[1] 6-1 7-5 中本莉空/大垣心太郎[3]
取材・写真:保坂明美(Tennis.jp)


