「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2025」(2025年8月25日〜31日/有明コロシアム及び有明テニスの森公園)は31日、U12、U14の男女シングルス決勝が行われた。

■U14女子シングルス

U14女子シングルス決勝戦は、第1シードの小野沢菜々と第3シードの奥山し渚が対戦。熱戦の末、小野沢が6-4、6-3のストレートで勝利し、見事優勝を果たした。

第1セットではリードを奪ったものの、一時的にゲームを落とす場面もあったが、「自分のプレーを崩さずに、ラリーを続けて相手を走らせる」という戦略を徹底する。集中力を切らすことなく、6-4でこのセットをものにした。

奥山し渚

第2セットは、最初のゲームを奥山に取られ、流れが悪いと感じたものの、すぐに集中力を取り戻し2-1とリードを奪い返した。終盤の勝負どころでは、「ここで決めきらなければ」という強い思いで、6-3でセットを取り、勝利を掴んだ。

強打やループボールを使い、組み立ててくる1歳年下の奥山に対して小野沢は、奥山の苦手なところ、特にフォアハンドを狙う戦略で試合を進めた。デュースの場面では焦らず我慢することを意識し、相手のミスを誘う粘り強いプレーが、勝利の大きな要因となったようだ。

小野沢菜々

今回の優勝は、小野沢にとって全日本選抜ジュニアに続く2冠目となり、大きな自信になったと語っている。今大会では、初戦でファイナルセットまでもつれるなど苦しい場面も経験したが、コーチの吉田友佳さんからの「しっかり自分のボールで押して、ラリーして勝とう」という言葉に励まされ、最後まで戦い抜くことができたそうだ。

今後の目標については、「国際大会に出場し、海外の試合でも経験を積んでいきたい」という。今回の自信を胸に、小野沢のさらなる飛躍が期待される。

■U14男子シングルス

男子決勝では、第15シードの鈴木晴が、第1シードのオトリエ龍馬を6-3 6-2のストレートで破り、全日本ジュニア初出場にして初優勝を飾った。過去の全国大会では初戦敗退が続いていたという鈴木にとって、まさに飛躍の瞬間となった。

鈴木が優勝に至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。特に大会を通じて印象に残っている試合として、第3シードの五島との対戦と準決勝を挙げている。五島戦ではリードを許す苦しい展開を乗り切り、準決勝ではファイナルセット3-5から7-5と劇的な逆転勝利を収めた。これらの激闘が自信となり、決勝の舞台へとつながったと振り返った。

オトリエ龍馬

決勝の相手であるオトリエとは、過去にRSK全国選抜ジュニアで一度対戦して敗北を喫していた。その雪辱を果たすべく、鈴木は戦略を立てて試合に臨んだ。身長の高いオトリエに対し、「コースを真ん中に絞る」作戦だ。この戦術が功を奏し、相手のミスを誘発。ファーストセットでは相手の速いサーブに苦戦しながらも、粘り強く相手のサービスゲームをブレークし、セカンドセットではニューボールに変わった最初のゲームを落とすものの、その後は自身のペースを取り戻して主導権を握り続けた。

鈴木晴

試合中、終始笑顔でプレーしていた鈴木。これは意識的に楽しむことを心がけていた結果だという。また、今大会は特にサービスが安定しており、サービスゲームをあまり落とさずに進められたことが好調の要因だったと自己分析した。粘り強いテニスができたことで、徐々に調子が上がっていったと感じているようだ。

優勝した瞬間は「あまり実感がなかった」というものの、観客の大きな拍手で勝利を実感したと語った鈴木。当初の目標はベスト8程度だったというが、予想以上の優勝という大きな成果を手にした。今回の優勝は彼にとって大きな節目となり、「プロになるという目標もより現実的なものになったと」語る。この優勝を弾みに、今後も他の大会での優勝を目指していくと力強く語った。

■女子ダブルス結果

大村和花子/奥山し渚[1] 6-4 7-5 大久保莉子/長谷川良菜

■男子ダブルス結果

山崎あさひ/金田歩積[5] 6-2 6-2 宗航平/鈴木晴

取材・写真:保坂明美(Tennis.jp)