今日は、一昨年新星出版社から発売された〝いちばんやさしいダブルスの基本レッスン”の中で書いたコラムを紹介させて頂きます。
少々長めですが、時間があったら読んでみて下さい。
今の気持ちを正直に書きました。
タイトル:願い
日本の経済状況が各世代の特徴を左右する。戦後を経験した僕の両親の世代は、とにかくがむしゃらに働いた。僕の青春時代は「アメリカン・ドリーム」に魅せられ、日本が世界に向けて憧れと夢を描き、バブルも味わったおいしい世代だった。
そして現世代の子供達は生まれたときから「不況」と顔合わせだったためか、驚くほど冷静で賢く、現実的でごまかしがきかない。
Ishii Tennis Academyを立ち上げた当初、ほぼ毎日この世代の子達と接していたわけだが、僕は彼らとの距離を埋められず、大苦戦していた。
言われたことをスマートにやりこなし、それ以下でもそれ以上でもない彼らに、冗談を言っても反応ないし、熱く語っても冷ややかな空気は変えられず、腑に落ちない空虚感と物足りなさで焦りを感じながらも、僕は僕の全てで色々考え、色々やってみた。
とにかく自分達の安全地帯から踏み出す勇気を持って、「自分はここまでだから」とリミットを決めつけず、格好悪くてもいいから、できなくてもいいから、気持ちだけでも、泥んこになりながら、ぶつかってきてほしかったんだ。そう、「挑戦」することに、臆病にならないでほしかった。
みっともないことを承知で告白するが、アカデミー生達に想いが伝わらず、いっぱいいっぱいになってしまい、ミーティング中に彼らの前で涙が溢れ出、終止がつかなかったことが一度だけある。
ショックを受けているアカデミー生達とコーチがいて、僕が鼻をすする音だけが部屋中に響きわたり、自分の力不足と情けなさで、もうだめなんじゃないかと、どうにも止められず、その場をどう切り上げるかも見えなかった。その時にリーダー的な存在のアカデミー生が立ち上がり、大きな声で「ありがとうございましたー!」と頭を下げたんだ。びっくりしたと同時にあいつに救われた。
若い世代だけではない。僕だって毎年自分に活を入れている。
仕事も家庭もある程度うまい具合に落ち着いてくると、その状態を失いたくないがために、保守的になるのは人間のさが。
でもそんなぬるま湯につかっている自分に後ろめたさをどこか感じながら時間がすぎるのも、嫌なんだ。
今の自分の許容範囲を超えていると思うことに、自分を放り投げ、溺れそうになりながらも必死に泳ぎ続けてみることは、怖いことだ。
だけど「怖い」と思っている自分がもっと嫌だから、僕は毎年どんなに小さなことでも、苦手を克服したり、チャレンジすることに体当たりで挑み、日々の積み重ねが、たどり着きたい場所に導いてくれると、信じている。
年をとればとるほど、背中を押してくれる人などいなくなる。やるか、やらないか。「無理だ」と思ったら無理なんだ。また、いくつもの落とし穴があり、「頑張っているから」と満足してしまったらお終いなんだということも、痛感した。
この世で最も強いもの。それは「好き」な気持ちだ。それでもどんなに努力しても結果が伴わないと、それさえも見え隠れし、ぼやけているように感じてしまうが、最後、不安や疑いなど全ての感情をフィルターにかけても、「好き」はひっかかり残るんだ。
だから絶対に諦めないでほしい。Impossible is nothing(不可能なんてありえない)というキャッチフレーズを以前目にしたことがある。そんな勝気なセリフを、僕はいつか絶対口にしてみたい。
人生、やった分だけしか返ってこないから、めちゃくちゃ熱くなってほしい。こんな時代だからこそ、〝情熱”をみせつけてほしい。
コメント
感動しました。
ありがとうございます。
負けてばかりの娘の試合に正直、親の私が折れそうになります。そう、好きな事が出来る 素晴らしいことですよね。
これからも、頑張ってください。
感動しました。
ありがとうございます。
負けてばかりの娘の試合に正直、親の私が折れそうになります。そう、好きな事が出来る 素晴らしいことですよね。
これからも、頑張ってください。
どこにもいる母さんへ
コメントありがとうございます。
僕も負けっぱなしで、悔しい気持ちでいっぱいですが
そのぶん勝った時の気持ちは最高なのではないでしょうか!
頑張って行きましょう!!