彼と共にツアーを回り数々の経験をしましたが、この数年は連勝を重ね続け、彼の負けを目前で観ることがなくなっていました。
セミファイナルの結果は、36・63・67(5)で敗退です。本当に数年ぶりに観た光景でした。
相手がマッチポイントで打った、少しフレームショット気味のバックハンドのダウンザラインが、ライン上にボールが吸い込まれていくように落ちていったショットが頭から離れません。
コンピューターでスコアを付けていましたが、不覚にも気づかない間に「Delete」キーを押していました・・・
今までを思い起こせば、首の皮1枚・・・という時もありました。今回は、残念ながら土がつきました。本人のブログにも記載してある通り、これで勝つことが、もしあったとするならば、彼はこれらから10年以上は負けること無い、左団扇の何の刺激もない世界にどっぷりつかるところだったでしょう。
そうは問屋がおろさないが如く、「世界」とは、そんなに甘くはないと言うことを、良く理解させていただきました。
試合終了後は、私に対して、「コーチ悪い(多分、ごめんの意味)・・・」の一言。何が悪いのか?正々堂々と戦って、それでも負けて何が悪い?と思っていました。逆に、こちらこそ「慎吾悪いね・・・」と思っていたほどでした。
また、コートから出ると各国の報道のインタビューが待ち構えています。勝っても、負けても、報道陣に毅然たる態度で、威風堂々とした対応している国枝選手を誇りに思いました。
ホテルに帰ってからも、Yahoo・MSNニュースにも「5連覇の夢潰える・・・」などの記事がありました。勝ってニュースになる選手は「一流」、負けてニュースになるのは「超一流」の証し・・・
早速、私達は現在進行形の中で動いているわけですから、今後の事をすぐに考えはじめました。過去からの経緯を見つめ直し、今の現状を分析することを話し始めました。
やってきたことは、正しかったのか?これを続けていけば必ず結果は出るのだろうか?このような事を考える中で、初めは「二元論」的発想をしていました。要は、白か黒です。
しかし、選手もコーチも双方の可能性を消し去ることがないように、決め付けを止めて少しでもスポーツを行っていることで、豊かな方向へ進むべき判断をしなければならないと気づきました。
敗北を認知するまでは、今にしがみついていたのではないかと疑われます。それではいけなかったことが見えてきました。そして、新たな方向へ進んでいくことが、新たなものを見つけ出す手段であることが判断でき、迷っている場合ではなく、初心に帰って新たなチャレンジ精神を持つことが何よりも大切なのではないか?というところに辿り着きました。
何も知らなかった時、何もかも面倒くさがらずに地道にやっていたことを等閑にしていないか?
この観点で、大切な「初心」をもう一度リストアップして、良いと感じたものは実行していきたいと思います。
「案ずるより産むがやすし」
今から胸を張って始めていきたいと思います。
因みに、全て終わったような全文ですが、明日はダブルスの決勝戦があります。
引き続き、応援のほどお願い致します。
コメント
実に見ごたえのある試合だったろうね。
ファイナルの3ゲームまで見ていたけれど、寝てしまった僕。
丸山さん、いつかまた教えてくださいね。
はじめまして いつもお二人のご活躍に感動を頂いております。
今回の記事、真の勇者の心にまた大感激!
これからも楽しみに応援しています
(ぜひ一度生観戦してみたいです!)
ダブルス優勝おめでとうございます!
> 「コーチ悪い(多分、ごめんの意味)・・・」
このあたりで涙腺がやられました。
今回のブログはそのまま人生論ですね。テニスって奥深いです。きっと今回の負けで国枝選手は次のステップに上がるでしょう。これからどんなテニスをするか俄然楽しみです。応援しています。
このブログをポストしてくれてありがとうございます。とても心に響きました。
負けたときに次をどうするか、その姿勢ひとつとっても本当にプロなんだなあ感動しました。誰のせいにもせず言い訳もせずただ反省する国枝選手のテニスに対する真摯さが伝わってきて涙腺に来ました。自分は失敗したときどんな態度で次へ向かうだろうかと考えさせられました。ダブルス優勝おめでとうございます。