守屋宏紀
全米オープン予選決勝戦で、守屋宏紀がダニエル・コサコフスキーを4-6、7-6(5)、6-3、試合時間3時間35分の激闘の末に破り、本戦出場権を獲得。今年の全仏、全英に続く3回目の挑戦で、念願のグランドスラムへの切符をもぎ取った。

最後は渾身のフォアの逆クロスが、相手のラケットを弾いた。赤く染まりだしたニューヨークの空に打ち上げられたボールがラインを割ると、守屋は両手で静かにガッツポーズを固め、満面の笑みを見せる。全身から喜びを発散し、それでもどこか淡々と、21歳の若武者はグランドスラム初出場の瞬間を噛み締めていた。

試合立ち上がりは、硬さが見られミスも増えた。だが「この舞台でプレッシャーを感じない方がおかしい。全てを受け入れよう」と思うことで、むしろ平常心を取り戻す。前日は速い展開で勝利をつかんだが、この日は丁寧にボールをつなぎ、勝負どころを待つ我慢のテニス。「そういうプランではなかったが、試合の中で自分で考えながらプレーし、手応えを感じた」という冷静さで、第1セットを落としながらも勝機を手元に手繰り寄せた。

第2セットは、互いに長いゲームでブレークを奪い合い、ほとんどのゲームがデュースを繰り返す死闘。99分を要したこのセットをタイブレークの末にもぎ取り、第3セットで先にブレークした時点で、守屋の勝利はほぼ決まった。

3度目の挑戦での本戦出場に、「相手をリスペクトしながらも、倒すということを強く思えるようになった」と自らの成長を実感する。

「ここまで来たら、相手は誰でも良い。自分のプレーがどのくらい通用するのか楽しみという気持ちもあるし、しっかり勝負していきたい」

日本人選手第4の男は、手にした自信と勢いを武器に、世界最高峰の舞台へとまい進する。

※写真はグランドスラム本戦初出場を決めた守屋宏紀