オーストラリア・メルボルンで開催中の全豪オープンは、16日に男女シングルス2回戦が行われ、日本の伊藤竜馬は、2006年同大会準優勝者のマルコス・バグダティスと対戦。第1セットを奪う健闘を見せるも、6-3、3-6、2-6、2-6で敗れ3回戦進出は成らなかたった。
大舞台に強く、相手が強いほど燃える伊藤の本領が、第1セットは存分に発揮された。最初のゲームこそダブルフォルートでブレークを献上するが、その後は思い切りの良いフォアの強打を次々叩きこみ、バグダティスをストローク戦で圧倒する。1‐3とリードされたところから、怒とうの5ゲーム連取で第1セットを伊藤が奪取。バグダティス目当てで詰めかけたであろうアリーナを埋める1万人の観衆も、胸のすく伊藤のプレーに、大声援を送りはじめていた。
第2セットも序盤も、伊藤の勢いは止まらない。第3ゲームでは2つのブレークポイントを握る、大きなチャンスを迎えていた。だがここで、バグダティスのサーブが伊藤の流れを断ち切る。「もっと(自分のペースを)上げることも出来たと思うが、相手に合わせてしまった」と悔やむこの局面が、試合の潮目を変え、バグダティスのカウンターにリズムを与えてしまった。伊藤が強打を放っても、逆にカウンターでウィナーを決められる場面が増えていく。3-4からのサービスゲームをブレークされ、第2セットはバグダティスに奪われた。
第3セットに入ると、「久々の日中のプレーで最初は感覚がつかめなかったが、徐々に調子が上がって来た」というバグダティスが本領を発揮し始める。伊藤は最初のゲームでブレークを許すと、以降は流れを引き戻せない。第3セットを落とすと、第4セットもバグダティスの技に上手くいなされた。
「相手が上手かった。自分にネットに出るなどのヒラメキがあれば、違った展開になっていたかもしれない」
手応えを感じつつも、自分に足りないものをそう振り返る伊藤は、今シーズンは新たにドイツ人コーチに師事し、テクニックや戦術面に磨きをかけるつもりだと言う。
※写真は全豪オープンシングルス2回戦で、マルコス・バグダティスと接戦を演じながらも敗退した伊藤竜馬
Photo by Hiroshi Sato