錦織圭(日清食品)が遂にウィンブルドンでベスト8に。
4回戦で、E・グルビス(ラトビア)に4-6、7-6(5)、7-6(10)、6-1と逆転勝利を飾った。
日本男子では1995年の松岡修造以来23年ぶり、2人目のベスト8に進出。同時に4大大会すべてで8強以上の成績を残した唯一の日本男子となった。

2008年、今から10年前、18歳の錦織圭は初めてグランドスラム大会の本戦に出場。しかし初グランドスラム・デビューは、3セット目に左腹筋肉離れで棄権だった。
ウィンブルドンには9回出場し、3回が棄権。最高成績は2014年2016年の16強。
「なかなかこの壁を破れなかった。1つのゴールとしてはうれしい気持ちもある」と錦織。
「でも、まだまだ優勝するためにはここからタフな戦いが続く」と「優勝」という言葉を発した。
もちろんそれを目指しているからである。

準々決勝は元世界No.1のN・ジョコビッチ(セルビア)と11日(水曜日)に対戦。対戦成績は2勝13敗と大きく負け越。現在12連敗中だ。
準優勝した2014年USオープン準決勝での勝利を最後に4年近く勝てていない。
錦織「ツアーの中ではベストプレーヤーの一人、自分にとってはビッグチャレンジで対戦するのが楽しい」と。

一方のジョコビッチは「(ケイは)大一番で力を発揮する選手。(錦織がグルビスに逆転勝ちした試合を見ていて)精神面の強さがある。今回の芝では(初対戦なので、対戦成績は関係なく)今までとは全く別の話」と錦織のテニスを警戒していた。

試合の様子

グルビスに手こずるが勝利


グルビスは予選から勝ち上がり、3回戦では21歳、世界3位のA・ズベレフ(ドイツ)を破り勝ち上がってきた。ラウンドを勝ち進むごとに調子を上げている元10位の実力者だ。

第1セット

キリオス戦であれほどさえていた錦織のリターンが不発。第5ゲームをブレークされ、4-6で取られた。

第2セット

右肘を気にするしぐさを見せ、トレーナーからの治療を求めた。第7ゲーム終了後には痛み止めを飲む。

そしてタイブレークに突入。

1-1のリターン。
「守っていても苦労していたので、ちょっと攻めようかなと」錦織。攻撃的なリターンからネットに出てスマッシュを決めた。ようやく反撃の糸口を掴む。

錦織「ジュースコートで、あれだけワイドにフラットに打てる選手は少ない。反対側(アド・コート)もシュート回転?スピードも異常に速くて、むちゃくちゃ苦労した」と言うように、
それまでグルビスのサービスゲームでは第1セットではわずかに2ポイント。第2セットでも4ポイントしか取れていなかった。
しかしそのリターンをきっかけに劣勢から少ない好機をモノにし、流れを引き寄せた。

第3セット

最初のゲームと第5ゲームでブレーク・チャンスを掴む錦織。キープされるが段々とリターンができるようになる。

6-6、このセットもタイブレークになる。

4-2とリード、錦織のサーブ。
ラリー戦、真ん中からフォアのストレート。グルビスは動きの逆をつかれ転倒し、左脚を痛めた。
5-2となったが、グルビスはトレーナーを呼び治療のためにコートから消える(10分弱コートにいなかった)。

「あの場面は苦しかった。ここで(インジャリータイムを)取るのかと思った」と錦織。
(再開後は5-2と絶対に優位ながら)ダブルフォルトしたり、エースを取られたり5-5に。
6-5、7-6、9-8とセットポイントも握るが取れず。逆に7-8、9-10でセットポイントも握られる。

23回のラリー戦、グルビスのフォアはワイド、10-10と追いつく。
フォアのクロスのパッシング・ショットを決め11-10。

ネットに出た錦織、グルビスのショットはネット、苦しみながらも12-10で取り切った。
「このセットが勝負の鍵になる。どうしても取りたい」という執念が勝った。

第4セット

ここからは錦織のペース、第2ゲームではこの日初のブレーク。
一気に5-0と突き放し、6-1。3時間半の死闘の末に見事勝利した。

松岡修造以来のウィンブルドン8強

https://tennis.jp/tournament/ウィンブルドン2018【試合結果・詳細】

記事:塚越亘/塚越景子/協力:内田暁 photo/H.Sato/TJapan