10月7日(日) 楽天ジャパン・オープン 最終日。
2016年2月の全米室内選手権(メンフィス)以来2年8ヶ月ぶりのツアー優勝を狙った錦織圭(日清食品)だったが、予選勝ち上がりの22歳、ダニル・メドベージェフ(ロシア)に2-6、4-6で敗れてしまった。
ダブルス決勝では、マクラクラン勉/シュトルフ(ドイツ)組が見事優勝を飾った。
負けることをおそれるな
勝つことをおそれるな
杉田祐一との1回戦以外は完璧なテニスで勝ち上がってきた錦織。
久しぶりの優勝を目撃できるのではと信じていたのだが。
ベッカーをそしてイワニスビッチを世界一に育てたボブ・ブレットの言葉を思い出す。
「負けることをおそれるな」
「勝つことをおそれるな」
相反する禅問答のような言葉だ。
勝負では負けそうになり、ビクビクしてしまう。
勝てそうになり、ドキドキする。
何を恐れている?
何が怖いのか?
逃げずにそれをきちっとみて、立ち向かえ、というボブの言葉だ。
実際には、どうしたら良いのか?
まずは、それらの状況を想定して、その時の気持ちなどを書きだしたり、言ったりして整理。
技術的に対処できるものは練習でそれを磨く。
勝負の場では迷わない。心をクリーンにしておく。などなどだ。
「決勝で緊張しなかったことがないし、決勝でたぶん今まででぐっすり寝られたことがあんまりないので、(この決勝も)緊張はすると思う」前日錦織は決勝のことをこう言っていた。
その言葉を聞き、錦織は緊張の現実を受け入れ、きちっと対処していると思ったのだが。
メドベージェフは予選が始まった9月29日(土)からの8日間で7試合している。
1回戦では第4シードのシュワルツマン(アルゼンチン)、準々決勝では第6シードのラオニッチ(カナダ)、準決勝ではシャポバルフ(カナダ)などにストレートで勝ち上がってきた。試合数も多く疲れも溜まっていたはずだ。
「特別な作戦はない。良いサーブを打つことだけに集中した」とメドベージェフ。
明確な気持ちを持っていたのはメドベージェフ、勝つことを怖れなかった。
ダニル・メドベージェフ 1996.02.11生れ 198cm
「前回優勝したアメリカではアメリカ人を、初優勝のオーストラリアではオーストラリア人と地元期待の選手を破って優勝してきたので、この日本でもそれを期待したい」と錦織との決勝戦、コートに入る前のインタビューでは語っていた。
1月ATP250シドニーでは予選から勝ち上がり、地元豪州のデミノーを1-6、6-4、7-5で優勝。
8月ATP250ウインストンセーラムでは地元アメリカのジョンソンを6-4、6-4で破り優勝している。
今年8月に結婚「その時は57位。だから結婚は大成功」と笑顔。
今回の優勝で自己最高の22位になり、ロシアのNo.1プレーヤーになった。
勝負は怖い
1ポイントが勝ち負けを左右する
メドベージェフのサーブで試合が始る。
ラリー戦が10回続く、錦織はフォアでダウン・ザ・ラインに決めた。
チャレンジされるが見事にオンライン。最初のポイントを良い形で取った錦織。
30-30では12回続いたラリー、最後はバッククロスでオープンに決めた。
30-40と錦織はブレーク・チャンスをいきなり掴んだ。
セカンド・サーブ、勝負をかけた錦織はフォアに回り込みリターンでプレッシャーをかけようとしたが、アウト。
2度のデュースに末にメドベージェフがキープした。
錦織のプレーは冴えている。良い出だしだ。
しかし、なんと錦織が掴んだブレーク・チャンスは試合を通じてこの1回だけだった。
このブレーク・チャンスを錦織が取っていたら、試合は違う形で進んで行ったのではないだろうかと悔やまれる。
その後、メドベージェフのサービスゲームでは1ポイントも取れずにサービスをキープされ。
第2セットでも、第5ゲームの最初の1ポイントを取っただけで、サーブをキープされた。
他方錦織は、第1セットの1-2で迎えた第4ゲーム。
ダブルフォルト、当たり損ねのフォア、バックの凡ミスなどでラブで落とす。
「いつも入るショットがなかなか入らなかった」
今までの完璧なテニスに比べ、ミスが多い。
第8ゲームも30-40からダブルフォルトでセットを落とす。
第2セットはそれでも立ち直りを見せて戦う。
「タイブレークまでいけば、、、、。ファイナル・セットまでいけば、、、、」と望みをつなぐ。
4-5、錦織のサーブ。
プレッシャーがかかるゲームは15-40とマッチポイントを握られる。
フォアのショットはフレームショット気味で大きくアウト。敗退してしまった。
「皆さん応援ありがとうございました。」と錦織が言うと大きな拍手が起こる。
いつまでも続く拍手を遮り「悔しい負けになりましたけど、こうやって楽天オープンに決勝まで来られたことは楽しかった一週間でもありましたし、まだまだ三大会ありますので、残りのシーズンを頑張りたいと思います。」
チャレンジを続ける錦織、次の大会はもう始まっているATP1000上海マスターズ。
錦織は第8シード。1回戦はなく、2回戦が初戦。ウー・イービン(中国)とリー・ジェ(中国)の勝者と対戦する。
シード通り勝ち進むと、準々決勝で第1シードのR・フェデラー(スイス)と対戦になる。ドロー
頑張れ錦織圭!
マクラクラン勉/シュトルフ組
見事優勝
<<ダブルス決勝>>
◎4]マクラクラン勉/シュトルフ 64 75 ●3]KLAASEN/VENUS
マッチポイントを豪快なサービスエースを決めたシュトルフ。
優勝スピーチで「愛しています!」と日本語で観客に感謝。
「二人で組んで初めての優勝。
トロフィーを掲げるのは感慨深い」とマクラクラン勉。
ダブルスドロー
$1,928,580 ATP500 Japan Open
会場:武蔵野の森総合スポーツプラザ
オーダー・オブ・プレー
ライブスコア
<<決勝>>
◎Q]D.MEDVEDEV(RUS) 62 64 ●3]錦織圭
<<準決勝>>
◎Q]D.MEDVEDEV(RUS) 63 63 ●D.SHAPOVALOV(CAN)
◎3]錦織圭 76(2) 61 ●8]R.GASQUET(FRA)
<<準々決勝>>
◎D.SHAPOVALOV(CAN) 46 76(7) 64 ●J.STRUFF(GER)
◎Q]D. MEDVEDEV(RUS) 76(4) 63 ●6]M.RAONIC(CAN)
◎3]錦織圭 63 63 ●5]S.TSITSIPAS(GRE)
◎8]R.GASQUET(FRA) 76(6) 76(4) ●2]K.ANDERSON(RSA)
<<2回戦>>
◎3]錦織圭 63 75 ●B. PAIRE(FRA)
◎6]M.RAONIC(CAN) 63 76(2) ●Q]綿貫陽介
<<1回戦>>
◎3]錦織圭 64 61 ●W]杉田祐一
◎Q]綿貫陽介 67(7) 64 61 ●R.HAASE(NED)
◎N.KYRGIOS(AUS) 75 76(3) ●W]西岡良仁
◎5]S.TSITSIPAS(GRE) 61 63 ●ダニエル太郎
シングルスドローnet版
シングルスドローPDF
綿貫陽介予選突破
予選ドロー
2019年楽天ジャパンオープンは東京・有明で開催
記事塚越亘/塚越景子 写真/伊藤功巳/鯉沼宣之/TennisJapan