11月1日(日) 第95回 三菱 全日本テニス選手権 。今年は新型コロナウイルス感染予防のため32ドローのシングルスのみ、無観客で行われた。

錦織圭に次ぐプレーヤーとして期待され、盛田正明元日本テニス協会会長が設立した基金でフロリダのIMGテニスアカデミーに留学していた23歳の中川直樹(橋本総業)が全日本という名のついたタイトルを初めて手にした。

「ジュニア時代から全日本のタイトルは一つもなかったので、素直に嬉しい、ほっとした」と中川。
決勝では41年ぶりの学生優勝を狙った今村昌倫(慶大4年)を6-1、6-2で破った。

初の全日本チャンピオン
中川直樹

準優勝今村昌倫 優勝中川直樹

<<男子決勝>>
◎中川直樹(橋本総業)61 62 ●W]今村昌倫(慶大)

中川のサーブで始まるが、15-40、いきなりサーブを落とす。

今村は21歳、昨年の全日本学生チャンピオン。この全日本には主催者推薦で出場。
2回戦では2017年チャンピオン、第4シードの高橋悠介(三菱電機)をストレートで破り、準決勝では第8シードの山崎純平(日清紡)に逆転勝ちなどをして、大学生として16年ぶりに決勝に進んできた。

この試合の前に行われた女子決勝は格上の日比野菜緒(ブラス)が秋田史帆(橋本総業)に敗れている。
「何が起きるかわからないのがテニス」中川にとっては嫌なオープニングゲームだったが、しっかりとそして大胆に攻める。

5-1、サービング・フォ・ザ・セットではサービス・エースを4本決め、6-1で取った。

第2セットでも、気を緩めることなく、競り合いになるがリードする。
5-2、サービング・フォ・ザ・チャンピオンシップでは縺れるが、2度目のデュースでTにこの日9本目のサービス・エースを決めるなと、落ち着いたプレーで今村を圧倒した。

プロを目指すと慶大4年の今村昌倫

「決勝までいけるとは思わなかったが、敗戦は悔しい。
今大会通じて成長できたと思う。
これからはプロを目指してやっていきたい。」と準優勝の今村。

中川直樹(橋本総業)

中川、2014年USオープンジュニアダブルスで優勝、18歳でプロ転向。
しかし転向直後に右ひじ痛で、1年間試合ができなかった。
復帰したが、18年5月には、今度は右手首故障そして手術と苦しい時期を過ごしている。

その時は「そのまま終わってしまうのかな?」と不安に襲われたと言う。
そんな時でも回りのサーポトを受け「今は感謝しかない」と言う。

中川直樹優勝
西岡良仁 陰の立て役者

「直樹全日本優勝!!
映像見れなくで残念やけど盛田ファンドの後輩として嬉しいわー!
ヨーロッパ3週間の遠征が懐かしい。
こっから更に伸びていって欲しい。」西岡良仁

西岡良仁(ミキハウス)は中川を弟のように可愛がっている。
ツアーが再開される前は柏のhatドームで良く一緒に練習とトレーニングをしていた。
西岡がイタリアンオープンに行く時はヒッティングパートナーとして同伴させた。
そこで中川はしっかり練習、世界のトッププレーヤー達が集まるワールドツアーを久しぶりに体で感じる。

その後、中川は一人でポルトガルのITF大会を連戦した。中川直樹 全仏オープンJR覇者破りポルトガル8強
その試合直後に中川は帰国、14日間の隔離管理システムを受けながらギリギリで全日本に出場できた。ポルトガルからの帰国が何か起こり遅れていたら、全日本の優勝もなかった。

中川優勝の陰の立て役者西岡は今週、ATP1000 パリマスターズ 本戦でプレーする。
1回戦の対戦相手は56位、スペインの Pablo
Andujar
だ。パリマスターズ ドローnet版
中川の優勝は西岡に刺激を与えたことだろう。活躍が期待される。(西岡の全日本最高成績は2013年準優勝)

橋本総業 全日本アベック優勝

秋田史帆、中川直樹共

二人共に橋本総業所属のプレーヤー、12月からは実業団テニス対抗戦 日本リーグ が、東京体育館と横浜国際プールのテニス会場で始まる。

橋本総業社長を囲み中川直樹、秋田史帆の祝勝会

第95回 三菱 全日本テニス選手権
優勝賞金:320万円
準優勝:160万円
4強:80万円
8強:20万円
1回戦:6.4万円

<<男子決勝>>
◎中川直樹(橋本総業)61 62 ●W]今村昌倫(慶大)

<<準決勝>>
◎W]今村昌倫(慶大)36 62 63 ●8]山﨑純平(日清紡)
◎中川直樹(橋本総業)75 64 ●2]今井慎太郎(イカイ)

<<準々決勝>>
◎8]山﨑純平(日清紡)75 61 ●1]清水悠太(三菱電機)
◎W]今村昌倫(慶大) 62 75 ●W]上杉海斗(江崎グリコ)
◎中川直樹(橋本総業)46 75 62 ●3]内田海智(富士薬品)
◎2]今井慎太郎(イカイ) 63 64 ●田島尚輝(やまやC)
男子シングルスドロー
女子シングルスドロー

中川直樹、狙っていた全日本、優勝決めた!

記事:塚越亘/塚越景子 写真:鯉沼宣之/伊藤功己/TennisJapan