9月4日 「USオープン 6日目」
錦織圭(日清食品)が3回戦で世界王者で、四大大会連続優勝(グランドスラマー)を狙う第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦、第1セットを取り王者を慌てさせたが 7-6(4)、3-6、3-6、2-6で敗れた。
「タフで質の高いバトルだった。
錦織はいつもハイリスクなテニスをする。
何度も対戦してきたから、彼のプレースタイルをよく知っている、
今日の彼のプレーは素晴らしく、あまり時間を与えてくれなかった。
簡単ではなかったが、今日のように素晴らしいプレーを見せた相手にしっかり勝て、私はとても満足している」と勝利した王者ジョコビッチ。
錦織は東京オリンピックでは2-6、0-6でジョコビッチに完敗している。対戦成績でも錦織の2勝17敗だ。
「あの時は最初からジョコビッチに楽に試合をさせてしまった。
(オリンピックでは、あんなスコアで負けたけど)それでもなんとなく自分がやりたいことは頭には入っている。
やりたいことがしっかりできて、自分のプレーが良ければチャンスはある」と錦織は2回戦に勝った後のインタビューで語った。
それを聞いた伊達公子は石橋貴明とのWOWOWオンライン楽屋で
「錦織くんがこう言う発言をするのは選手としてのひらめきと自信があるから。
私もマイアミで94年から96年まで連続で、当時王者のグラフに負け続けていたが、なんとなくグラフに対するプレーのしかたがわかった。
そして有明でのフェド杯でグラフに勝った」。伊達公子vsステフィ・グラフ対戦成績
だから錦織のプレーは期待できると伊達は明言。そしてその通りの素晴らしいバトルが繰りひろげられた。
錦織圭 接戦
挑む姿勢素晴らしかった
惜しかった
<<男子3回戦>>
●錦織圭 76(4) 36 36 26 ◎N・ジョコビッチ(セルビア)
トスに勝ったジョコビッチのサービスキープで試合は始まる。
第2ゲーム、錦織はダブルフォルトなどあり、2本のブレーク・ポイントを握られてしまったがキープした。
「オリンピックでは自分の調子が上がってきている中、コテンパンにやられた。
それだけは避けたいと思うが、また0-2スタートの悪い展開になりそうなところを1-1にでき、
やっとリラックスでき、ちゃんとしたプレーができるようになった」と錦織。
第3ゲーム、ジョコビッチのダブルフォルトなどで3本のブレーク・ポイント。
2本目、ジョコビッチのストレートはアウト、錦織が先にブレークする。
先行した錦織だったが、第8ゲーム、フォアのドロップ・ショットをネット、サーブを落とし、4-4となる。
タイブレーク
4-4までお互いサーブをキープ。
錦織がバックのトップスピン・ロブを決め5-4とミニブレークし、先行。
6-4、やや力を抜いた錦織のクロスのサーブをジョコビッチはクロスに返すがアウト、7-4で錦織が第1セットを取った。
無理に攻め急がす、ストロークエースを狙わず、ラリー戦に持ち込む錦織の頭脳的テニスが功を奏した。
第2セット
錦織サーブの第3ゲーム、スマッシュを決められるなど、15-40とピンチ。
30-40、ネットインを拾い、フォアのクロスパスも拾う錦織だったが、それをジョコビッチはオープンに決めブレークする。
吠えるジョコビッチ。
錦織も前に出てプレッシャーをかけ、15-40とブレーク・バックのチャンス。
惜しいショットが続き、ブレーク・ポイントが5回あったが、ジョコビッチが4回目のデュースの末に3-1とキープ。
第6ゲームでも錦織に15-40とまたチャンス。
しかしまたジョコビッチがしのぎ、4-2キープ。
錦織、40-15からデュースにされたが、4回のデュースの末、攻め勝ち、キープした。(錦織3-4)
3-5錦織のサーブ、40-30からジョコビッチのリターンに崩され、デュース後にセットポイントを握られる。
ジョコビッチの深いリターンはアウトかと思われたが入っている、それを錦織がミス。
ジョコビッチが6-3で取る。
第4ゲームで5回、第6ゲームで2回と合計7回も錦織にブレーク・チャンスがあったがそれをことごとくしのぐジョコビッチのコートカバーの広さ、ディフェンス力は凄い。
それと共にジョコビッチのアグレッシブさが増してきた。
第3セット
2時間が経過した。
第2ゲームで30-40となるが、錦織はナイスキープ、1-1。
第4ゲーム、錦織、3本目のダブルフォルトで15-40とピンチ。
30-40とするが、7回目のショット、バックをネットし、1-3とサーブを落とした。
4-2ジョコビッチ、Tへサービス・エースを決め40-0、
ジョコビッチらしい粘り強さが戻ってきている。
錦織はフォアのクロスパスを決めデュースに持ち込む。
大きな壁に向かって諦めない錦織圭。
こんな展開だったら諦めてしまう人が多いだろう。
デュース3回、なんとジョコビッチがダブルフォルト。
続くポイント、ジョコビッチのフォアはワイドに。
錦織がブレーク・バックした。
凄い根性、偉い、尊敬!!
3-4錦織、40-30からクロスを惜しくもアウト。
デュース後に残念ながらサーブを落とす。(錦織3-5)
5-3、ジョコビッチのサービング・フォ・ザ・セット、
40-15のセットポイントは凌いだが、続くポイント、錦織のバックがロングになりジョコビッチが6-3で取る
第4セット
試合時間は3時間を越えた。
2-2錦織のサーブ、26回も続くラリー戦、ジョコビッチのボールはラインをわずかにかするオンライン。
がっかりしたか?ミスも重なり、0-40。
30-40としたが、5本目のフォアをロング、錦織はサーブ落とす。(錦織2-3)
ジョコビッチ、15で4-2キープ。最後のサーブはCDでもアウトに見えるが!!!
錦織2-4、第7ゲーム、バックのダウン・ザ・ラインを決められ、30-40とピンチ。
7本目をネット、サーブを落とす。
5-2、ジョコビッチのサービング・フォ・ザ・マッチ、
錦織は体よじりクロスリターン・エースを決め、0-15。
凄い攻防が続き、30-40とブレーク・ポイントを握り粘る。
諦めていない錦織はマッチポイントを2回しのぎ、4回のデュースに持ち込む。
3回目のマッチポイント、錦織のリターンはネット。
敗れてしまったが内容の濃い試合だった。錦織vsジョコビッチ 試合データー
しかし錦織の挑戦する姿は立派だった。
コートを去る錦織に大きな拍手が鳴りやまなかった。
錦織圭記者会見
「やりづらさはありましたけど、同時にいい感触もつかめたので、
次やる時は怖さが減るかな」
「いつも何もできず簡単に負けてしまうというのが続いていたので、
それは若干克服できたのかな」
ジョコビッチ記者会見(錦織戦については最初から約3分間)
賞金総額$57,500,000(約65億円)
シングルス賞金(男女同額)
優勝:$2,500,000(約3億円)
1回戦:$75,000(約800万円)
賞金ブレークダウン
会場:USTA Billie Jean King ナショナルテニスセンター
NY現地時刻(時差-13時間)
本戦:8/30 - 9/12,2021
大会日程
◎N・ジョコビッチ(セルビア) 67(4) 63 63 62 ●錦織圭
<<2回戦>>
◎錦織圭 76(3) 63 67(5) 26 63 ●M・マクドナルド(米)
<<1回戦>>
◎錦織圭 6-1 6-1 5-7 6-3 ●S・カルゾ(伊)
◎J・ソック(米) 67(5) 62 64 62 ●西岡良仁
◎F・バグニス(アルゼンチン) 63 63 63 ●ダニエル太郎
◎8]C・ルード(ノルウェー) 63 62 62 ●杉田祐一
男子ドローnet版
男子ドローPDF
記事:塚越亘 塚越景子 写真:H.Sato/TJapan