現役プロの内山靖崇が主催する『Uchiyama Cup』のシングルス決勝が行われた。

第1シードの島袋将(有沢製作所)と白石光(早稲田大学)の対戦は、早稲田大学テニス部OBと、現役大学生との顔合わせ。互いにキープが続く中、試合が動いたのは2度の雨による中断後の第6ゲーム。「お互いそうだったとは思うけど、雨の直後で正直足元に不安があった」という白石の動きが鈍り、珍しくストロークのミスでポイントを失う。

一方の島袋は「再開直後の白石のサービスゲームだったので、ブレークするならここだろうと思ってプレッシャーをかけていった」と言うように、ネットアプローチを仕掛け、フォアボレーのウイナーで白石のサービスゲームをブレークした。

準優勝の白石光。長浜功明/Uchiyama Cup

島袋リードの5−2で再び雨により中断となる。雷もありインドアコートへ移動し、約3時間後に試合が再開された。白石はここで離されないよう、サービスゲームをキープし5−3に。次のゲームを島袋はこう振り返る。

「インドアへ移動し、風など気にすることなくサービスを打てるようになってはいたが、白石の粘り強さはわかっていたし、色々なことをやってくるので、安心はしていなかった。第1セット5−3、15−30までいったところを我慢してキープできたのが大きかった」このゲームをキープした島袋が第1セットを先取した。

勢いに乗った島袋が第2セットのファーストゲームをブレークスタート。ボールを思い切り叩けるようになった島袋が、その後のサービスゲームを危なげなくキープし、『Uchiyama Cup』初代シングルス王者に輝いた。

最後の握手を交わした時に「将さんに冗談で『まだまだだな』と言われました」と白石は笑う。敗れはしたが、大学卒業後にはプロへ進むことを考えている彼にとって、同じ大学の先輩でプロになった島袋は”指標”でもある。

「将さんはこの大会で一番戦いたい相手だった。自分の何が通用して何が足りないのかということも理解することができたと思う」と、現在の立ち位置を確認できたことに満足感を示した。

特にインドアになってからのサービスキープにスキを見せなかった島袋。長浜功明/Uchiyama Cup

島袋は「2回戦で足首を痛め、コンディションは万全ではなかったが、優勝して終わりたいという目標があったので、最後まで戦えたことにとても満足しているし、今後に繋げていきたいと思っている。(第1シードとして)勝たないといけないというプレッシャーを自分にかけながら優勝できたこと、初代の王者になれたことはうれしい」と率直な思いを語る。

ツアー転戦の中で磨いた技術とパワーを、国内大会で発揮したこの1週間は、今後にもつながる優勝となったことは間違いない。

優勝した島袋(左)と白石光。長浜功明/Uchiyama Cup

 

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記事:保坂明美 写真:長浜功明/Uchiyama Cup