第36回テニス日本リーグの2ndステージが、ブルボン・ビーンズドーム(兵庫)と、横浜国際プール(神奈川)にて開催された。

1月19日(木)~23日(日)は、2ブロックに分かれて行う総当たり戦の残り試合が行われ、男子はマイシン(旧あきやま病院)、三菱電機、女子はノアインドアステージ、島津製作所が全勝で1位通過を果たした。

中でも今季全勝のマイシンが、リーグ戦の”台風の目”となった。

1stステージでは橋本総業HD、イカイを倒し、大金星を挙げる快進撃だ。この理由をマイシンの河内一真は、「色々な歯車が噛み合った」と言う。

「まず1stステージでビーンズドーム(兵庫)で戦えたのが大きかった。コートによって遅いサーフェスと速いサーフェスがあり、イカイと橋本との対戦では、遅いコートで戦えました。そこで粘り強い熊坂が、サーフェスに対応して勝利し、初めて組んだ僕と(川上)倫平のダブルスも思った以上に噛み合いました」と分析する。

2ndステージでは川橋勇太が体調不良で欠場する中、時にはS1、時にはダブルスで活躍した川上も、「大会前に3日間のチーム練習を行い、それがチームとしてどう戦っていくのがベストなのかを見つける大きなきっかけになった」と語った。

川上倫平(左)と河内一真(右)のダブルスも1位通過に貢献した。写真/伊藤功巳

そして、チームがキーマンとするのが熊坂拓哉の存在だ。山形県出身、昨春、亜細亜大を卒業し、プロになったばかりの23歳、日本リーグも初参戦となる。1stステージでイカイの徳田廉太、橋本総業HDの斉藤貴史から勝利し、チームを勢いづかせた。

予選リーグを全勝で終えた熊坂は、デビュー戦となったイカイの徳田戦を振り返る。

「飛んでくるボールが、僕の中では異次元のクオリティやテンポで、今まで受けたボールと一段階違い、慣れるのにまるまる1セットを費やしました。でもだんだん合ってきて、ラリーの中で自分のポイントを作れるようになってきたことによって、相手もプレッシャーを感じたのか、2ndセットとファイナルの10ポイントタイブレークを取ることができました」

また、技術的にも改良を試み、サービスのトスの位置や、身体のひねりを加えることで、相手からコースを読まれにくくなり、パワーが生まれてきたという。フィジカル的な強化もしており、「試合があるからとか関係なく、ウェイトトレーニングをものすごく増やしています」と、春からの海外遠征を見据えている。

シングルス7試合、ダブルス1試合に出場し、全て勝利を収めた熊坂。6−0としたセットも7つある。写真/伊藤功巳

ラリーでの粘り強さが持ち味の熊坂だが、後ろに下がる、回転を多くするといった粘り方ではなく、ベースライン付近でのニュートラルラリーで強みを発揮する。長いラリーで自分からミスをすることはほとんどなく、チャンスとあらばネットにも出るので、相手は策を奪われ、ジリジリと追い込まれる。

その強さはシングルスで戦った7試合のうち、6−0としたセットが合計7つもあることで証明される。これは予選リーグを通してただ一人だ。

「正直この結果は想像していなかった」と、穐山弘明部長は謙遜するが、チームとしてバランスの取れた選手を獲得できたことに喜ぶ。選手兼監督の藤井信太も2ndステージで躍動しており、チーム全体に勢いがあったことは間違いない。

このように予選リーグで旋風を巻き起こしたマイシンだが、決勝トーナメントでは各チームが戦力を把握した上で、お互い策を講じて再び戦うことになる。全てが注目の一戦となることは間違いないだろう。

川橋が体調不良で欠場する中、2ndステージで奮起した監督兼選手の藤井信太。 写真/伊藤功巳

第36回テニス日本リーグ 1st&2ndステージの結果
※青文字が決勝トーナメント進出チーム
決勝トーナメントは、2月18日(金)~20日(日)東京体育館にて開催予定

■男子レッドブロック
1位 マイシン(8勝0敗)
2位 イカイ(7勝1敗)
3位 橋本総業ホールディングス(5勝3敗)
4位 レック興発(5勝3敗)
5位 九州電力(4勝4敗)
6位 山喜(4勝4敗)
7位 JR北海道(1勝7敗)
8位 明治安田生命(1勝7敗)
9位 JR九州(1勝7敗)

■男子ブルーブロック
1位 三菱電機(8勝0敗)
2位 伊予銀行(7勝1敗)
3位 エキスパートパワーシズオカ(6勝2敗)
4位 ノアインドアステージ(5勝3敗)
5位 リコー(4勝4敗)
6位 ルーセントアスリートワークス(3勝5敗)
7位 オーエスジー(2勝6敗)
8位 日本紙通商(1勝7敗)
9位 テニスユニバース(0勝8敗)

■女子レッドブロック
1位 ノアインドアステージ(5勝0敗)
2位 明治安田生命(4勝1敗)
3位 九州電力(3勝2敗)
4位 日本郵政グループ(2勝3敗)
5位 フクシマガリレイ(1勝4敗)
6位 MS&AD三井住友海上(0勝5敗)

■女子ブルーブロック(横浜国際プール)
1位 島津製作所(5勝0敗)
2位 橋本総業ホールディングス(4勝1敗)
3位 リコー(2勝3敗)
4位 テニスユニバース(2勝3敗)
5位 エームサービス(1勝4敗)
6位 リコージャパン(1勝4敗)

日本リーグ公式HP

取材:保坂明美 写真:伊藤功巳