『第36回テニス日本リーグ』の決勝トーナーメントが東京体育館にて開催され、2月19日(土)は、男女準決勝4試合、男子5・7位決定戦、女子5・6位決定戦が行われた。
男子の三菱電機vs橋本総業HDの対戦は、シングルス全員が全日本選手権優勝経験者というレベルの高い対戦に。
S2の三菱電機・高橋悠介と橋本総業・伊藤竜馬の対戦は、スタートダッシュに成功した高橋が6−1でセットを先行するも、伊藤がベテランの落ち着きを見せ、第2セットを6−4でもぎ取りファイナルセット・マッチタイブレークへ。高橋は3本のマッチポイントをものにできず、伊藤は緊張した場面でプレーのレベルを上げ、15-13で接戦をものにした。
S1の三菱・清水悠太と橋本・中川直樹は、第1セットを獲得した中川が、第2セットもショットの幅広さで優位に展開し、1ブレークアップの3−0とリードする。しかし、清水は自分の敗退と同時にチームの敗退も決まる状況の中、ネットアプローチやストレートへの展開などアグレッシブにプレーし、タイブレークをものにすると、そのままの勢いでファイナルセット・マッチタイブレークを10−6で制して1−1とする。
ダブルスは三菱が福田健司・矢多弘樹の第33回MVPペア、橋本は斉藤貴史・田沼諒太の相生学院出身ペア。前日の伊予銀行との対戦では斉藤・田沼はストレートで負けており、相手が社員ペアだからといって決して油断はならない状況だった。
しかし蓋を開けると斉藤・田沼は前日のミスを修正し、サービスとリターン等、1本目のショットの確率を上げてきた。この日が決勝トーナメント初戦(前日は志賀正人・黄賢人が出場)となる福田・矢多は、相手の勢いを受け止めることも交わすこともできない。今大会が最後となる斉藤の気迫溢れるプレーが光り、橋本が決勝進出を決めた。
もう一つの準決勝、イカイ とマイシン(旧あきやま病院)の対戦は、イカイに軍配が上がる。
1stステージでマイシン・熊坂拓哉に敗退したイカイの徳田廉大が、リベンジとばかりにストレートで跳ね除けると、続く今井慎太郎も川橋勇太に6−3、6−1で勝利する。
ダブルスの小ノ澤新・柚木武は、このリーグで抜群の強さを見せる川上倫平・河内一真に敗退するが、ITFツアー経験値の高い選手層で、2013年以来の優勝を目指す。
女子は島津製作所と橋本総業HDが一歩も譲らない接戦を繰り広げた。
WTAツアーや全豪オープン予選決勝に進むなど、着実な成長を見せている島津の本玉真唯が、決勝トーナメントから参戦。S1本玉、S2加治遥、D桑田寛子・大前綾希子という全員プロという布陣を敷き、事実上の決勝と言っても過言ではないこの対戦に、意気込みを見せた。
かたや橋本はS1秋田史帆、S2小堀桃子、D瀬間詠里花・森崎可南子という前日と同じメンバーで臨む。
シングルスは両試合ともにマッチタイブレークへもつれる展開になり、秋田、小堀が接戦を制す。ダブルスも瀬間・森崎が勝利し、決勝進出を決めた。
ノアインドアステージと明治安田生命の対戦は、1−1となったダブルスで、ノアの塩谷夏美・横山菜里が勝ち、決勝へ進出。初優勝を目指す。
前日の試合を翌日の糧に…
男女ともに決勝進出となり、2010年のリビック以来のアベック優勝がかかった橋本総業HDだが、この日の勝利は、”修正できる強み”が生かされたのではないだろうか?
体育館にマットを敷いた東京体育館のサーフェスは、速く、低く弾む独特のもの。今回勝負を決めた試合となった、三菱の福田・矢多、そして島津は18日に試合はしておらず、初めてのサーフェスでの試合にアジャストしきれなかったように感じる。
一方、斉藤・田沼のダブルスや、橋本の女子は、18日の試合で、このサーフェスへの対応や、緊張感の中での試合をすでに経験済みだ。秋田が前日の試合後、サービスの練習をしていた姿は印象的だった。
負ければ先がないトーナメント、ファイナルは10ポイントのタイブレークという戦いでは、こういった小さな感覚の違いが勝敗を左右することもある。前日の違和感を翌日すぐに修正できた橋本が、決勝ではどのような戦いを見せてくれるのだろうか?
なお、決勝トーナメントは無観客での試合となる。各コートの試合は、下記より生配信される。
構成/Tennis.jp (保坂明美) 写真/伊藤功巳