『第36回テニス日本リーグ』の決勝トーナーメントが東京体育館にて開催され、2月20日(日)は、男女決勝2試合、3・4位決定戦が行われた。

決勝トーナメント結果&対戦表

現在日本リーグの女子は、島津製作所と橋本総業HDの2強といえるほど、戦力として飛び抜けている。2013年からは6年連続で同じ相手と決勝を戦い、熱い攻防を繰り広げてきた。

しかし、2年前、準決勝で橋本は敗退する。澤柳璃子を擁した明治安田生命に、1−2で敗れ、3連覇の夢を阻まれた。

「あの日の敗戦を1日たりとも忘れることはなかった」と、岡村恭香が語ったように、橋本の女子選手たちは、共通したこの思いを胸に新たなスタートを切った。

前回3位の橋本は、予選リーグで島津と同じブロックに入り、直接対決で1−2に敗れ、4勝1敗の2位で決勝トーナメントへ進出する。ファイナルステージのドローは各ブロックの2、3位となった4チームが抽選を行い、どこに入るか決めることになっており、奇しくも準決勝で再び島津と対戦するドローに入った。

2月19日に行われたこの準決勝が正念場だった。S2小堀桃子が加治遥に、S1秋田史帆がWTAランキングを100位台に上げている本玉真唯に勝利、ダブルスも瀬間詠里花・森崎可南子が、桑田寛子・大前綾希子を相手に勝ち、見事なスウィープを果たした。

島津製作所への勝利が、大会の正念場だった。

しかし、あと少しで手に届く勝利ほど、難しいものはない。ノアインドアステージとの決勝は「今日が一番緊張しました」と言うS2小堀の試合からスタートする。第1セットはノアの中塚桃子が緊張感からか先にミスをする展開となり、小堀が6−0で奪取するが、第2セットではゆっくりしたスライスで展開してきた中塚に、ラリーを強いられ、スコアが拮抗する。

「テニスの調子は良くなかったので、苦しい展開になるのはわかっていました。でもそれを受け入れて、試合の中で修正していけたのが良かった」(小堀)

小堀の第2セット終盤の42本のラリーは圧巻だった。

その象徴とも言えるのが、第2セット小堀から5−4、30−30のポイントだろう。取ればマッチポイントというスコアで、無理せず、守りに入らず、実に42本のラリーをものにし、次のポイントで勝利をもぎ取った。

S1対決は、先にリードする秋田と、必死にくらいつき、追い上げるノアの上田らむという戦いに。

「たくさんのエース級選手がいる中、私をチョイスして下さったことに感謝し、覚悟を持ってコートに立った」という秋田が、要所のサービスゲームで集中し、6−4、6−4で勝利と優勝を決めた。

橋本総業の秋田史帆が、チームの優勝を決めた。

島津戦の勝利では秋田が涙を見せ、ノア戦では小堀が涙を見せる。

吉田友佳監督は「社長が練習会を企画してくださるなど、2ndステージの島津戦を糧にして、全員でしっかり準備をしてきました。決勝では2人の緊張が伝わってきましたが、勝つと信じていました」とホッとした表情を浮かべた。

ダブルスの瀬間・森崎も「決勝進出は決まっていたけど、島津のダブルスに勝てたのは、苦しくもあり、一番嬉しかった試合」(瀬間)「1年やってきたことが、結果として現れました」(森崎)と語り、2年前の敗戦、そしてコロナ禍を乗り越えての優勝を喜んだ。

ツアーを優先したい選手は、日本リーグを避けがちではあるが、リーグに出なければ必ずランキングが上がるかと言えばイコールではない。選手にスポンサーがつき、優勝へ向けてチームで進むことの相乗効果もあるだろう。女子の2強時代に風穴を開けるチームの出現を、今後は期待したい。

 

■女子決勝■

橋本総業ホールディングス 2- 0 ノアインドアステージ
S1 ○秋田史歩 6-4 6-4  ●上田らむ
S2 ○小堀桃子6-0 6-4 ●中塚桃子
D 瀬間詠里花・森崎可南子 打ち切り 塩谷夏美・横山菜里

■3位決定戦■

島津製作所 2-0 明治安田生命
S1 ○本玉真唯 6-0 7-5 ●足立真美
S2 ○加治遥 6-1 6-1 ●加藤慧
D 桑田寛子・大前綾希子 打ち切り 田元志歩・米原実令

【総合結果】

優勝 橋本総業ホールディングス

 

準優勝 ノアインドアステージ

3位 島津製作所

4位 明治安田生命

5位 リコー

6位 九州電力

最高殊勲選手 小堀桃子

 

構成/Tennis.jp (保坂明美) 写真/伊藤功巳