北海道・札幌市にて2週にわたり開催されるITFワールドテニスツアーM25「UCHIYAMA CUP」が、平岸庭球場(北海道札幌市)にて開催。WEEK2の10日は、シングルス準決勝2試合、ダブルス決勝の1試合、計3試合が行われた。

「昨日ほとんど負けている身(望月勇希にファイナル0-5から挽回し勝利)だったので、コートに立ててありがたいという気持ちで戦いました」という第1シードの野口莉央(明治安田生命)は、ノーシードの齋藤惠佑(富士住建)と対戦。第1セット、野口は、齋藤のストレートへの早い展開で押され、1−6でセットを落とす。

齋藤惠佑はスタートダッシュに成功するも、野口の安定したプレーに行手を阻まれた。写真/UCHIYAMA CUP 長浜功明

しかし、「サービスキープがなかったので、セカンドセットは、まずファーストサーブを入らなくてもいいからいいコースに打つことを考えていた」という野口が、サービスのコース、精度を高め、持ち前の安定感と要所を見極める試合巧者ぶりを発揮し始める。これまで何度も見せてきた怒涛の挽回劇を繰り広げると、6−3、6−0で逆転し、決勝へ進出した。

「ラリーで負けないようにし、2週間の最後の試合なので、良い形で締めくくりたいと思います」という野口は、2週連続優勝を目指す。

粘りを見せた今井だったが、伊藤の緩急をつけたプレーに敗退。写真/UCHIYAMA CUP 長浜功明

もう一つの準決勝は、第2シードの今井慎太郎と、第6シードの伊藤竜馬の対戦。お互いフォアの強打を持ち味とする2人が、一歩も引かないラリー戦を繰り広げる。第1セットは今井、第2セットは伊藤が取り、セットオールに。ファイナルセットもタイブレークへともつれる拮抗した展開となる中、伊藤がラリー戦でミスを誘い、7―6(4)で試合を制した。

一発のエースを狙うというよりも、高さの変化をつけるなどしてラリー戦で打ち勝った伊藤竜馬。写真/UCHIYAMA CUP 長浜功明

「8月からインターバルや、午前午後とトレーニングをしっかりやってきたので、2週間の大会でもこれだけ動けていると思います。体だけでなく、試合勘も少しずつ戻っているので、客観的に試合を見られるようになってきました。今井選手は低いボールを打つのがすごくうまいので、第3セットでは、高いボールや回転などをミックスさせ、パワーポジションを少しでも外して打たせることを考えました」と体力、テニス面において自信を見せる。

「絶対勝ちたかった」と、勝利への執念を燃やした伊藤は「明日の決勝はもうやるしかありません。お互いきついなかでもいい試合ができればと思います」と、2017年の柏フューチャーズ以来のITF大会優勝を目指す。

ダブルスは河野優平/楠原悠介(伊予銀行)が、磯村志/末岡大和(やすいそ庭球部/トップラン)を7−5、4−6、10ー6(※ファイナルセットマッチタイブレーク)で倒して優勝。楠原は昨年の同大会(※JTA)に続きUCHIYAMA CUP大会2勝目を飾った。

WEEK2から出場した河野優平/楠原悠介がダブルス優勝。写真/UCHIYAMA CUP 長浜功明

ダブルス準優勝の磯村志/末岡大和。写真/UCHIYAMA CUP 長浜功明

【試合結果】
2022年9月10日(土)10:00〜 札幌市平岸庭球場
男子シングルス準決勝2試合/男子ダブルス決勝1試合

・男子シングルス準決勝
野口莉央(明治安田生命)[1] 1-6 6-3 6-0齋藤惠佑(富士住建)
伊藤竜馬(橋本総業ホールディングス)[6]  5-7 6-2 7-6(4) 今井慎太郎(イカイ)[2]

・男子ダブルス決勝
河野優平/楠原悠介(伊予銀行)7-5 4-6 10-6磯村志/末岡大和(やすいそ庭球部/トップラン)

【9月11日(日)のオーダー・オブ・プレー】
札幌市平岸庭球場 11:00〜Aコート
・男子シングルス決勝

野口莉央(明治安田生命)[1] vs伊藤竜馬(橋本総業ホールディングス)[6]

※[ ]はシード順位 Qは予選から勝ち上がり、WCは主催者推薦枠

取材/保坂明美 写真/長浜功明