有明コロシアム及びショーコートで開催されている東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント(東レPPO)の決勝が、9月25日(日)に開催され、リュドミラ・サムソノワ(30位)とジャン・チンウェン(中国・36位)が対戦した。

リュドミラ・サムソノワ、コイントスを行った石井心菜、ジャン・チンウェン(左から)

8月以降WTA250で2大会優勝し、敗戦は全米の4回戦の1敗のみというサムソノワと、トロントのWTA1000でベスト8に進出し、実力を上げてきている19歳のジャン。緊張感がある中にも、お互いの持ち味とするサービスと、高い打点のストロークでポイントを取り合っていく。

初のツアー決勝進出となったジャン 写真/鯉沼宣之

試合が動いたのは5−5ジャンのサービスゲーム。確率が落ちたサービスをサムソノワが前に入って攻撃し、ポイントを先行する。プレッシャーがさらに増したジャンが、痛恨のダブルフォールトでブレークポイントを献上すると、サムソノワは広角なストロークでブレークを果たす。そのまま次のサービスゲームをキープし、7−5でサムソノワが第1セットを先取した。

第2セットは2−2でサムソノワが先にブレークするも、すぐさまブレークバックを返すジャン。お互いキープを続けて5−5となったジャンのサービスゲームで、サムソノワが値千金のブレークを獲得。一気に勝利へと近づいた。

ウインブルドンに出場できなかった間に練習を積んだことが好調の要因だというサムソノワ 写真/鯉沼宣之

6−5で迎えたサービングフォーザマッチでは、攻撃的なファーストサービスと、回転をかけて相手のバックを狙い、打点をずらすセカンドサービスでジャンに反撃のスキを与えず、ラブゲームでキープし、7−5、7−5で東レPPO初優勝を果たした。

攻撃的なサービスとリターン、さらには勝利によって得た自信で、通算4度目、今季3大会目の優勝を果たしたサムソノワは、ロシア人ということから、ウインブルドンに出られなかった時期に、サーブのフォームを変更したり、フィジカルトレーニングを積んだことが好調の要因だと言う。

「私はWTAの中でもセカンドサービスからのポイント獲得率が高いと思う。コーチに言われ、できるときは120〜150本のサービスを打ってきた。よく練習してきたことが、結果につながっているのはうれしい」と喜ぶ。今年のウインブルドン覇者、リバキナを1回戦で、3回戦ではムグルサをストレートで破り勝ち上がってきた強さを決勝でも証明した。

時間があるときには120〜150本のサービスを打っているというサムソノワ 写真/鯉沼宣之

準優勝となり、ツアー初優勝を果たせなかったジャンだが、19歳とは思えぬサービスとフォアの完成度を持っている。初めてのツアー大会決勝となり、勝負どころでの経験の差がものをいった形となったが、今後ツアーで存在感を見せていく選手となるだろう。

なお、ダブルスはニコール・メリカ・マルチネス(アメリカ)&エレン・ペレス (オーストラリア) と、第2シードのガブリエラ・ダブロウスキー (カナダ) &ジュリアナ・オルモス (メキシコ) の決勝となり、6-4 、6-4でダブロウスキー&オルモスが優勝した。同ペアはチェンナイに続き、2週連続優勝となった。

ダブルス優勝のオルモス(左)とダブロウスキー(右)写真/鯉沼宣之

取材/保坂明美 写真/鯉沼宣之