ITFジュニアとしてはグランドスラムと同グレードの『世界スーパージュニアテニス』(JA・グレードA)が、大阪・靱公園テニスコート(大阪市西区)で開催され、10月15日には、シングルス準決勝4試合、ダブルス決勝2試合が行われた。
女子シングルス第1シードの齋藤咲良は、第4シードの木下晴結に、6-3 6-1のストレートで勝利した。小学生の頃からよく対戦していた2人だが、最近は対戦するよりも一緒に海外遠征を回ることが多い。今年は初めてとなる顔合わせが、準決勝で実現した。
「粘り強いし、壁みたいに返してくるのはわかっていたけど、今日はあまり自分の感覚が良くなかった。ネットプレーやスライスを使うプレーで取れるポイント2本あっても残りの2本取れへんとか、なかなかゲームが取れなかった。崩せそうで崩せなかった」
試合後、木下がそう語るように、齋藤は粘りはもちろんのこと、木下の回転を多めにかけたボールにも対応し、チャンスがあればベースラインの前でプレーした。
「ラリーでも打ち負けないよう早く構えたり、いいボールを打っても決まったと思わずに構えるように注意していた。自分のプレーに集中できた」と齋藤は語る。
JA(グレードA)初の優勝がかかる決勝へ向けては「自分のテニスで気持ちでも負けずに、最後の1ポイントまで、チャレンジャーとして戦いたい」と意気込みを見せた。
第2シードの石井さやかは、オーストラリアの14歳、第7シードのエマーソン・ジョーンズと対戦し、6-3 6-3で勝利した。「最近は自分が納得して試合が終わるということがなかった」という石井。ITFのW25に出場していた際、緊張やプロ相手の試合で思い通りのプレーができていなかったという。
今回はサービス、リターン等、ゲームの最初のポイントでミスをしないことを考え「前の2大会でできなかったことをちゃんとやり切る」という意識で戦ってきた。
「ジュニアでも決勝進出は久しぶりなので緊張していますが、気合も入っています」と、打って攻めていくことが目標だ。
男子は第3シードの松岡隼、ノーシードの原﨑朝陽と、2人の日本人が準決勝へ進出したが、2人とも惜しくも敗れ、決勝進出はならなかった。
第3シードの松岡隼は、第1シードのジェラルド・カンパナ・リ(韓国)と3時間18分に及ぶロングマッチを戦った。
どのセットもブレークを先行できたのは松岡だが、カンパナ・リはそこから強さを見せる。ブレークバックして振り出しに戻すと、第1セットはカンパナ・リが6-3で、第2セットは松岡がタイブレークでファイナルセットへ持ち込まれた。
これまでと同様に松岡が先にブレークすると、会場の拍手も後押しする、しかし、3−1リードとなった時点で、前日もフルセットを戦っていた松岡が痙攣に見舞われた。
「なんでこのタイミングで…」と思ったという。ストレッチをしながら、時にはアンダーサーブを繰り出し、なんとか戦い続けたが、そこから回復して勝利を収めるにはあまりにも厳しく、3-6 7-6(5) 4-6で敗退した。
原崎はジョナサン・イルワント(USA)に4-6 4-6で敗れる。一昨日からヒザの痛みに悩まされていた中、この日は階段の上り下りでも痛みが出ていたという。それでも「ヒザの痛みは負けた要因にはならない」と言い切り、「一番はお客さんがいっぱいいる中で、自分のテンションを上げていきたかったのに、できなかったこと」と悔やんだ。
松岡と原﨑は、この後、全日本選手権に出場する予定だ。
また、この日はダブルスの男女決勝が行われ、齋藤咲良&リ・ユーユン(TPE)組が石井さやか&木下晴結組に7-6(3) 6-1で勝利し優勝。男子は、アディチャ・ガネサン(USA)&原﨑朝陽組がケビン・イーデングレン(SWE)&ボロディミール・イアクベンコ(UKR)組に6-3 6-3で勝利し優勝した。シングルスで苦杯を味わっていた原﨑にとっては大きな勝利となった。
世界スーパージュニアテニス(JA・グレードA) 10月16日のオーダー・オブ・プレー 男子シングルスドロー 男子ダブルスドロー 女子シングルスドロー 女子ダブルスドロー |
取材・写真/保坂明美