日本テニスの誇りと名誉をかけて戦う「大正製薬リポビタンPresents 全日本選手権97th」が、有明コロシアムおよびインドアコート(東京都・有明)にて10月22日(土)より開催されている。10月29日(土)には、女子シングルス決勝と、男子準決勝2試合が行われた。
日本リーグでは同じチームメイトとして戦う、橋本総業ホールディングス所属の第1シード坂詰姫野と、第5シード小堀桃子の対戦は、緊張感のあるラリーからスタートする。
フォアハンドで展開し、オープンコートを制す坂詰と、バックの広角なストロークから、カウンター、ボレーで締めくくる小堀とのラリーは、どちらに転ぶかわからない、白熱した展開となる。
その中で上回ったのが、坂詰のサービスだった。「サービス、リターンといった1本目のショットはだいじにしている」と言うとおり、窮地に陥っても、小堀のボディに食い込ませるサービスを放ち、ミスを誘って切り抜ける。お互い1ブレークずつの展開から、第8ゲームで坂詰が小堀のサービスゲームを再度ブレーク。次のサービスをキープし、第1セットを6−3で獲得する。
第2セットは坂詰が1ー1の第3ゲームで早くもブレークを果たす。小堀もスライスサービスでコートの外に追い出して展開する形で主導権を握り、ラブゲームでキープするなど、離されないようについていった。
5−3坂詰で迎えたマッチポイントは合計6本あった。
「意識しないようにしていても緊張感がどうしてもあった」という。それでもその感覚は優勝を目の前にした者にしか感じることのできない特権だ。
小堀のストロークがラインを割った瞬間、涙と共にコートに倒れ込む坂詰。その後はコーチの吉田友佳プロの元に駆け寄り、歓喜の抱擁を交わした。
今年は2月から4月頃まで勝てない時期が続き、苦しい思いをしていた坂詰。その状態から抜け出すために、意を決して一人で初めてのアメリカに飛び立ち、北米の6万ドル、10万ドルを中心にツアーを回る。
「そこにいる人の人柄だったり、新鮮さがあり、日常生活でもリラックスしてできました」と、快適に過ごせていたという。すぐに良い結果が出たわけではないが、次第に形になり、8月にはグランビーのWTAで本戦入りを果たした。
「2万5千ドルに出ていたら、もっと勝てたかもしれませんが、上のレベルの大会で、予選を上がって本戦に出られた時には、その時何が良かったのかを考え、本戦で強い相手に負けたときには、何が良くなかったのかを考えました。高いレベルで得た学びを生かしていることが、今につながっていると思います」と自信を見せる。
そして、「これはあくまでも通過点。グランドスラムを目指し、もう1度頑張っていきたい」とその先を見据えた。
■全日本選手権 試合は『Japan テニスLIVE』で視聴可能。 男女シングルスは64ドロー、トップ16シードの選手は2回戦からの出場となる。 男女シングルスの優勝賞金は400万円。 副賞として優勝者と準優勝者には日本航空の往復チケットなどが贈られる。 <<女子シングルス 決勝結果>> [1]○坂詰姫野(橋本総業HD)6-3 6-3 [5]●小堀桃子(橋本総業HD)) 女子本戦ドロー 女子予選ドロー <<男子シングルス 準決勝>> [1]○今井慎太郎(イカイ)6-1 7-5 [8]●片山翔(伊予銀行) [4]○関口周一(Team REC)6-4 6-4 [12]●伊藤竜馬(橋本総業HD) 男子本戦ドロー 予選ドロー 10月30日(日)の試合予定 11:00〜 有明コロシアム <<男子シングルス 決勝>> [1]今井慎太郎(イカイ)vs [4]関口周一(Team REC) 男子本戦ドロー 男子予選ドロー <<女子ダブルス 決勝>> 小堀桃子&瀬間詠里花(橋本総業ホールディングス)vs 今西美晴&大前綾希子(EMシステムズ/島津製作所) 女子ダブルスドロー <<男子ダブルス 決勝>> 上杉海斗&松井俊英(江崎グリコ/APF) [1] vs 仁木拓人&柚木武(三菱電機/イカイ) [4] 男子ダブルスドロー 賞金ブレークダウンなど オーダー・オブ・プレー、ドローなど 決勝は NHKBS1で放送予定 10月30日男子決勝 |
記事:保坂明美 写真:鯉沼宣之/伊藤功巳