2月4日(土)、ブルボンビーンズドーム(兵庫県三木市)にて『2023 デビスカップ by Rakuten 日本vsポーランド』ワールドグループ1プレーオフの初日が行われた。

◎西岡良仁(ミキハウス)6-3 6-2 ●ダニエル・ミハルスキ

「添田豪監督の初陣には絶対に出たかった」という思いで日本チームのエースとして出場した世界ランキング33位の西岡良仁(ミキハウス)は、第1試合に登場し、ポーランドのNo.2、世界ランキング273位のダニエル・ミハルスキと対戦した。

立ち上がりは多少の固さが見られた西岡だったが、「それは自分に課した緊張感」と話す。

デ杯ではランキングが離れている相手と対戦することほど危険なことはない。「負けることはないだろうと思うときにアップセットが起きるのがデ杯」と、気を引き締めて臨んだ。

第1セット、第3ゲームで先にブレークポイントを握られたのは西岡だ。相手は思い切りぶつかればいいだけ。それも「想定内」とセーブし、3−2の第6ゲームでブレークを果たして第1セットを6−3とリードした。

このセットを含め、西岡が勝利の要因として挙げたのがリターンだ。「通常のポジションでのリターンのタイミングがいつもより合わなかったので、少し下がって確実に返すようにした。ラリー戦にすれば、(ポイントの)取得率が上がると思ったので、それに切り替えてからは自分のペースになった」

彼はサービスのスピードガン表示で相手の速度を見て、巧みに位置を変化させている。自分の中で相手のサービス速度がこのくらいの速度なら、この場所で返すという自分なりの決まりがある。しかし、スピードガンがなかったこと、気温も低く、ボールが飛ばない、コートが遅いという環境でどう合わせていくかを模索した。

「少し前で取ることが多くなり、もっと食い込ませたかったのに合わなかった。だったら自分が走ることになっても、下がって打ち切ったほうがいい」

その方針変更によって流れを掴んだ西岡。第2セットも6-2で獲得し、勝利を収める。今年の好調をしっかりと日本のファンにアピールする戦いとなった。

◎ダニエル太郎(エイブル)6-3 6-4 ●カツペル・ズク

2試合目は日本のNo.2、108位のダニエル太郎(エイブル)とポーランドのエース、255位のカツペル・ズクという対戦順となった。

スコア以上に拮抗した試合というものがあるが、この試合は、スコア以上にダニエルの強さが引き立つ試合となった。

放ったサービスエースは13本。獲得したポイントの約2割をサービスエースで終わらせ、サービスから3本目で終わらせるポイントも数多かった。第2セットの後半には、ズクが前に出てプレッシャーをかける頻度も高くなったが、第1ゲームのブレークを生かし、そのまま勝ち抜けた。

「緊張はしたけど、久しぶりにベストメンバーで出るということが僕にとって心強かった。いつどういうプレーするのかわからない相手から、課題と思っているテニスでうまく押せた」とダニエルは自信を見せた。

また、自身がテニスにおいて、そして人生において「課題」と挙げる、自分の内面との向き合い方もうまくなってきたという。

「自分が考えているのは『全て受け止める』ことの大切さ。自分の中の考えとか、感情に気づける精神力がついてきた。向き合うことでつらい時もあるので、できたりできなかったりということを繰り返している。その中で、今日は添田監督の存在感、静かな監督に押されない感じが好きで、それに支えられているということを気づけた。だからフィジカルやテクニックに集中できた」

ランキング下位であろうと、デ杯においては何か起きるかわからないという怖さの中、初日のシングルス2試合を、ポーランドに一切の隙を見せない戦いで2勝し、勝利に王手をかけた日本チーム。明日は全豪オープンダブルス準優勝のヤン・ジェリニスキと、2018年にはダブルスで世界ランキング1位をマークしたウカシュ・クボットとのダブルスに、マクラクラン勉(イカイ)と、綿貫陽介(フリー)が立ち向かう。

「明日の朝は、また違う日」と、ダニエルが言うとおり、気持ちを新たに日本チームは勝利に向かう。

■添田豪監督のコメント
「今日は2人とも素晴らしいプレーで、誰が相手であろうと実力を信頼していたので、プレーや勝つことに対して、何の心配もなかった。今はうれしい気持ちと、まだまだ終わってないという気持ちが入り混じっている。アドバイス送る側になって、どうすべきか色々考えることもあったけど、最悪なのは伝えることで悪い方向に行ってしまうこと。無理せず、思ったことを言って、思わなかったことは言わないという考え。チームは今考えられる、ベストメンバーで、チームの中での競争もあった。水曜の時点でチームの中での緊張感、終わってポーランドと戦う上での緊張感というところがあり、それがいい力になったのかと思います」

2023 デビスカップ by Rakuten 日本vsポーランド
■2月4日(土) 12:00〜 
第1試合 西岡良仁 vs ダニエル・ミハルスキ
第2試合 ダニエル太郎 vs カツペル・ズク
■2月5日(日) 11:00〜 
第3試合 綿貫陽介マクラクラン勉 vs ヤン・ジェリニスキルカシュ・クボット
第4試合 西岡良仁 vs カツペル・ズク
第5試合 ダニエル太郎 vs ダニエル・ミハルスキ

※キャプテンの意向でオーダー変更可能 
観戦のチケット情報はこちらから

🇯🇵日本チーム
西岡良仁(ミキハウス) S33位 D292位
ダニエル太郎(エイブル)S108位 D--位
綿貫陽介(フリー)S114位 D1269位
内田海智(富士薬品)S196位 D183位
マクラクラン勉(イカイ)S--位 D79位
Captain 添田豪(公財日本テニス協会/GODAI)
🇵🇱ポーランドチーム
カツベル・ズク S255位 D391位
ダニエル・ミハルスキ S273位 D1280位
マクス・カスニコフスキ S383位 D759位
ヤン・ジェリニスキ S--位 D15位
ウカシュ・クボット S--位 D251位
Captain マリウシュ・フィルステンベルク

デ杯英語サイト
日本vsポーランド
日本チームの紹介
ポーランドチームの紹介
グループ1プレーオフの対戦

取材:保坂明美 写真:W.Tsukagoshi/Canon EOS90D