2月5日(日)、ブルボンビーンズドーム(兵庫県三木市)にて『2023 デビスカップ by Rakuten 日本vsポーランド』ワールドグループ1プレーオフの2日目が行われ、日本が4-0で勝利し、ワールドグループの残留を決めた。

初日のシングルス2試合では、西岡良仁(ミキハウス)とダニエル太郎(エイブル)が、ポーランドに一切の隙を見せない戦いで2勝し、勝利に王手をかけた日本チーム。

第3試合は、全豪オープンダブルス準優勝のヤン・ジェリニスキと、2018年、ダブルスで世界ランキング1位をマークしたウカシュ・クボットとの難敵に、マクラクラン勉(イカイ)と、綿貫陽介(フリー)が立ち向かった。

マクラクラン勉/綿貫陽介 4-6 7-5 7-6(2) ヤン・ジェリニスキ/ウカシュ・クボット

このデ杯で初めてペアを組むことになった綿貫とマクラクラン。初めての試合としては、ポーランドのペアは強敵だった。

「ダブルスはランキング1269位なのですが…」綿貫はことごとく口にした言葉だが、自分はダブルスが苦手ではないのに、数字が表しているのは4桁の数字。しかし、シングルスでは114位と日本の3番手につけており、ビーンズドームとの相性は「兵庫ノアチャレンジャー」で2度優勝するなど特別に良い。添田監督にはその部分と「勉とのコンビネーション、相手にとって何をしてくるかわからない存在」という点で評価され、ダブルスに起用された。

「僕がコートに立った4人の中で一番できることが少なかったと思います」と、綿貫は言うが、サービス、リターンといった1本目において、最も力強さを出してきた。

綿貫陽介 写真:長浜功明

第1セットは、全豪準優勝のジェリニスキがリターンで遅いかかる。ワイドへのサーブをストレートに流し、センターへのサービスは低く深くクロスへ打って食い込ませる。クボット隙あらば前へ出て、ボレーで相手に圧力をかける。少しでも陣形が崩れたら空間をボレーで突く。

日本ペアは4-6で第1セットを落とし、お違いのキープで迎えた第2セット4-4、マクラクランはサービスゲームで3本のダブルフォールトを犯し、崖っぷちへと立たされる。しかし、そこからキープすると、綿貫とマクラクランのプレーが噛み合い出し、それぞれのボールもさらに伸びが増す。

6-5で迎えた第12ゲームでは、マクラクランが絶妙なロブ、綿貫のラッキーなネットインや足元に沈めるリターンで優位に進める。セットポイントでは、マクラクランが前へ出てきたクボットの足元へ1本目、クロスのアングルへ2本目、ストレートへ3本目、そして4本目で相手の中央に放つと、ボールがセンターを抜けていき、歓喜の拍手とともに第2セットを取得した。

時間を追うごとにペアの調和が取れてきたマクラクラン/綿貫 写真:長浜功明

第3セットはタイブレークへと持ち込まれる。ここで鍵となったのが、お互いワンミニブレークで迎え日本ペア3-2のポイント。相手が前の並行陣。日本が後ろの並行陣になったところで、綿貫が浅いロブを柔らかくストレートへ上げる。陣形を崩したところで、クロスへ見事なアングルショットを決め、4-2とリードすると、その勢いまま、7-2でタイブレークを制した。

この試合は、綿貫のサービス、リターンの良さ、そして、緊張の中戦っていたマクラクランに対する添田監督の「声かけ」が勝利へとつながった。

「相手は勉のバック側に100 %といっていいほど、サービスを集めていた。少し外側に立って、相手に違う景色を見せたり、自分が回り込んでフォアで打てるというように、少し考え方を変えてほしいと思い、アドバイスをした」(添田監督)

実際、先の4-2としたポイントは、マクラクランがフォアの回り込みリターンを、サーバーであるクボットの足元へ沈めたところからのポイントだった。

「とても緊張して、ナチュラルなポイントがない中、添田監督が手伝ってくれた。サービスのリズムが悪い時、どうリラックスするか、リターンが全部バックに来ていることなど話しくれて、落ち着かせてくれた。デ杯はいつも以上に緊張するけど、みんなをがっかりさせたくないという思いだった」と、マクラクランは胸の内を明かした。

歓喜に包まれた日本チーム。それぞれが自分にできる役目を最大限に果たした結果となった。

◎内田海智 6-3 6-4 ●マクス・カスニコフスキ

チームの勝利が決定し、第4試合は、内田海智(富士薬品)とマクス・カスニコフスキとの対戦となった。昨年12月、ダブルス出場の可能性を打診された内田は、「試合にも出てきたし、そのための練習もしてきた。だから選ばれなかったのはすごく悔しかった」と胸の内を明かす。

だからこそ、出たからには「自分の持ち味であるパワーテニスを見せたかった」といい、6-2 7-5で勝利を収めた。西岡からも「絶対4−0で締めてくれ」とプレッシャーをかけられ、その流れを止めないプレーを実践した。


内田海智 写真:長浜功明

完全勝利を収めた日本は、ワールドグループ1の残留が決定。9月に24年のデ杯ファイナルズ予選出場をかけた戦いに臨む。

2023 デビスカップ by Rakuten 日本vsポーランド
対戦結果
■2月4日(土) 12:00〜 
第1試合 ◎西岡良仁 6-3 6-2 ●ダニエル・ミハルスキ
第2試合 ◎ダニエル太郎 6-3 6-4 ●カツペル・ズク
■2月5日(日) 11:00〜 
第3試合 ◎綿貫陽介マクラクラン勉 4-6 7-5 7-6(2) ● ヤン・ジェリニスキルカシュ・クボット
第4試合 ◎内田海智 6-2 7-5 マクス・カスニコフスキ
第5試合 開催せず

日本チーム 写真:長浜功明

 🇯🇵日本チーム
西岡良仁(ミキハウス) S33位 D292位
ダニエル太郎(エイブル)S108位 D--位
綿貫陽介(フリー)S114位 D1269位
内田海智(富士薬品)S196位 D183位
マクラクラン勉(イカイ)S--位 D79位
Captain 添田豪(公財日本テニス協会/GODAI)

🇵🇱ポーランドチーム
カツベル・ズク S255位 D391位
ダニエル・ミハルスキ S273位 D1280位
マクス・カスニコフスキ S383位 D759位
ヤン・ジェリニスキ S--位 D15位
ウカシュ・クボット S--位 D251位
Captain マリウシュ・フィルステンベルク

デ杯英語サイト
日本vsポーランド
日本チームの紹介
ポーランドチームの紹介
グループ1プレーオフの対戦

取材:保坂明美 写真:長浜功明