2月4日(土)〜5日(日)、ブルボンビーンズドーム(兵庫県三木市)にて『2023 デビスカップ by Rakuten 日本vsポーランド』ワールドグループ1プレーオフが行われ、日本が4-0で勝利。ワールドグループ1の残留を決めた。
いまだに「添田選手」と言ってしまいそうになる。昨年の9月に新監督の発表があり、10月の全日本選手権まで現役生活を全うしていた彼は、フレッシュであり、選手に近い監督だ。
「添田監督も緊張していたと思うし、探り探りだと思う」エースの西岡良仁(ミキハウス)はこう労った。西岡自身がサポートメンバーで日本チームに参加した頃、添田監督は代表メンバーとしてシングルスを戦っており、その無口な背中を見てきた。だからこそ、ランキングが上がり、エースとなる地位に立ったとき、「添田さんのために初陣を戦いたいというのはみんなの考え。その形が今回ベストメンバーという形で実っている」と言い、チームの勝利に貢献した。
ダニエル太郎は「自分がやっていることを信頼できるような言葉が多く、それをリマインドしてくれる。僕がコーチや監督で一番大事だと感じているのは”物事を悪化させないこと”それは100%できていました。僕もこれからのことを考えて、探っていこうかと思っています」と良い刺激を受けている。
また、添田監督はダブルスのマクラクラン勉(イカイ)の勝利に対する思い入れを語った。
「勉はデ杯に対して一番思い入れがある。毎回参加してくれて、気迫のこもったプレーを見せているのですが、悔しい負け方をすることが多かった。そういう意味で、(監督が)僕に変わった試合で勝ってくれたら、また違う考えになるのではないかと思いました。今日は僕の中では一番重い試合でした。勉が決めてくれたら最高だと思っていた」
実際、思いが結実し、ポーランドへの勝利を決めた。
マクラクランは「添田監督は僕をカームダウンして(落ち着かせて)くれた」と試合後に感謝した。
綿貫陽介(フリー)と、内田海智(富士薬品)には、ダブルスの起用を示唆し、良い意味での”競走”を与えた。綿貫には相性の良い神戸でのシングルス起用もオプションとしてあったわけで、ダニエルとの競走も生まれる。
ダブルスに選ばれた綿貫は、自分のやるべきことをやって勝利を収め、選ばれなかった内田は「悔しいけど、それを原動力にして頑張っていきたい」と前向きに捉えた。
「就任発表の後、自分はどういう監督になりたいかと考えた。選手たちと距離を置いた方がいいのかと思ったこともあったけど、それでは自分がなった意味がない。だからオーストラリアでもずっと一緒にいてコミュニケーションをとってきた」
全豪オープンでは選手たちの試合をコートサイドで応援する姿があった。選手の近くで、考えていることを感じる。”デ杯だから””日本代表だから”といった何かを背負う感情ではなく、”見たことのない世界をみんなで見にいこう”というポジティブな感情を刺激する。それが添田監督のやり方だ。
「現役時代と違って、色々な発見がある。彼らのことを考えて行動すると、知らなかった感情や表情が発見できて楽しい」
終わってみれば、チーム全員が勝利を収めた。選手を尊重し、最大限のパフォーマンスを引き出す。日本テニスに新しい風を吹き込む、今後の添田采配に期待したい。
2023 デビスカップ by Rakuten 日本vsポーランド
対戦結果
■2月4日(土) 12:00〜
第1試合 ◎西岡良仁 6-3 6-2 ●ダニエル・ミハルスキ
第2試合 ◎ダニエル太郎 6-3 6-4 ●カツペル・ズク
■2月5日(日) 11:00〜
第3試合 ◎綿貫陽介/マクラクラン勉 4-6 7-5 7-6(2) ● ヤン・ジェリニスキ/ルカシュ・クボット
第4試合 ◎内田海智 6-2 7-5 ●マクス・カスニコフスキ
第5試合 開催せず
🇯🇵日本チーム
西岡良仁(ミキハウス) S33位 D292位
ダニエル太郎(エイブル)S108位 D--位
綿貫陽介(フリー)S114位 D1269位
内田海智(富士薬品)S196位 D183位
マクラクラン勉(イカイ)S--位 D79位
Captain 添田豪(公財日本テニス協会/GODAI)
🇵🇱ポーランドチーム
カツベル・ズク S255位 D391位
ダニエル・ミハルスキ S273位 D1280位
マクス・カスニコフスキ S383位 D759位
ヤン・ジェリニスキ S--位 D15位
ウカシュ・クボット S--位 D251位
Captain マリウシュ・フィルステンベルク
取材:保坂明美 写真:長浜功明