有明テニスの森公園で行われている「木下グループジャパンオープン2023」(10月16日(月)〜22日(日))は、21日、シングルス準決勝2試合とダブルス準決勝1試合が行われた。

コロシアムの2試合目には、ツアー初勝利、トップ10選手(T・フリッツ)から初勝利、そして初めてツアーベスト4を果たした望月慎太郎(IMG Academy)が登場し、50位のA・カラツェフと対戦。3-6,4-6で敗れ、決勝進出はならなかった。

どちらのセットもカラツェフの1ブレークだった。第1セットはブレークポイントで雨により中断した少しの隙を生かし、望月のサーブを攻撃してブレークに成功、第2セットもサーブの確率が下がった第5ゲームでブレークを果たし、そのまま押し切った形だ。

望月のチャンスとしては第1セット、3ゲーム目でブレークポイントを握ったのが唯一だった。「もし自分が集中力を失い、そこにつけ込まれるようなことがあれば、観客の声援はすごいことになる」とカラツェフはサービスでそれを凌いだ。

とはいえ望月のパフォーマンスが悪かったわけではない。時にはその俊敏性を生かしてボールに食らいつき、スピードのあるバックハンドでエースを放ち、時には持ち味のボレーを鋭角にコートへ叩き込んだ。

試合後、カラツェフは望月に対して「彼はゲーム性がすでに備わっている。そしてコートに入るときに何をやりたいかということをちゃんと考えて入っている。これは素晴らしいこと」と称えた。

持ち味のネットプレーで応戦した望月慎太郎。写真:伊藤功巳

望月も「ラリー戦になるとチャンスを取れていたし、今日も最初から最後まで自分のプレーを高いレベルでできていたのでポジティブなことしかない」と、やり切った表情で語った。

ウインブルドンで初めてのグランドスラム出場を果たした後、ハードコートで「ボコボコにされて」自信を失いかけていた望月だが「今週は自分を認めてというか、自信を持って試合ができていた。自分をコートで表現できた」という。

これで一気に130位前後までランキングを上昇させる望月だが、「自分が次に準備するのは次の大会の1回戦。チャレンジャーもタフな試合ばかりなので、油断できることは一切ない。そこは自分に期待しすぎず、1試合1試合やっていきたい」と、冷静に次を見据えた。

なお、もう一つの準決勝、B・シェルトンとM・ギロン(いずれもアメリカ)の対戦は、2時間50分に及ぶ大熱戦。6-7(2),7-6(5),6-4でシェルトンが逆転勝利を収め、決勝進出を果たした。

22日(日)は、J・マリー(イギリス)/M・ビーナス(オーストラリア)vs M・パーセル/R・ヒジカタ(ともにオーストラリア)のダブルスの決勝と、A・カラツェフvsB・シェルトンのシングルス決勝がコロシアムにて行われる。

10月22日(日)のオーダー・オブ・プレー

WOWOW生放送

日本人プレーヤー成績
【準決勝】
●望月慎太郎 3-6,4-6 ○A・カラツェフ(50位)
【準々決勝】
○望月慎太郎 7-5,2-6,7-5 ● A・ポピリン(41位、オーストラリア)
【2回戦】
○望月慎太郎 0-6,6-4,7-6(2) ●T・フリッツ(10位、アメリカ)[1]
【1回戦】
日本人選手1回戦】
○望月慎太郎 6-4,7-6(5) ●TM・エチェベリ(31位、アルゼンチン)
⚫︎ダニエル太郎 6-3,4-6,6-7(2) ○B・シェルトン(19位、アメリカ)
⚫︎綿貫陽介 6-7(6),3-6 ○C・ルード(8位、ノルウェー)[2]
⚫︎島袋将 4-6,6-3,3-6 ○C・ガリン(94位、チリ)[Q]
⚫︎西岡良仁 6-7(14),6-4,1-6 ○M・ギロン(79位、アメリカ)[Q]

日本人男子トップ500 ATPランキング
(2023/10/16 付け)
44位 西岡良仁(ミキハウス)
73位 綿貫陽介(フリー)
97位 ダニエル太郎(エイブル)
143位 島袋将(有沢製作所)
215位 望月慎太郎(IMG アカデミー)
261位 清水悠太(三菱電機)
271位 内田海智(富士薬品)
334位 内山靖崇(積水化学工業)
354位 錦織圭(ユニクロ)
258位 野口莉央(明治安田生命)
361位 中川直樹(橋本総業)
467位 高橋悠介(三菱電機)
500位 守屋宏紀(安藤証券)
全日本人 男子ATPランキング(2023/10/16)

取材/保坂明美 写真/鯉沼宣之、伊藤功巳