女子テニスの国別対抗戦 「ビリー・ジーン・キング・カップ by Gainbridge(旧フェド杯)日本対コロンビア」の1日目が、11月10日(金)、有明コロシアムにて行われた。

1日目を1-1で終えた両国は、この日、シングルス1、2同士の2試合を行い、2−2として最終戦のダブルス決着へ。青山修子/柴原瑛菜ペアが、カミラ・オソリオ/ユリアナ・リサラソペアに勝利し、3-2で来年のワールドグループファイナル予選ラウンド進出を決めた。

エース対決は、コロンビアのオソリオに軍配

オソリオは日比野のバック側を強襲し、攻撃を封じた。写真:鯉沼宣之

2日目の第1試合は、シングルス1同士の対戦。前日に良いパフォーマンスでそれぞれチームに1勝をもたらした、日比野菜緒とカミラ・オソリオの対戦だ。

立ち上がりはお互い良いスタートを切るも「昨日の本玉との試合よりも攻撃的にした」というオソリオが、日比野のバック側にフォアの逆クロスで強襲する。

「コーチ陣にアドバイスをいただき、バックハンドで勝負していこうと思っていたが、そのバックハンドが精彩を欠いてしまった」と日比野が語るように、勝負にいったバックのストレートはことごとくネットを叩く。有明のコートの特性で、「弾むというより滑ってきた」と日比野が体感したオソリオのフォアは、時には浅く、時には深く、コートに刺さる。日比野はオソリオに良さを封じられ、2−6、0−6でその試合を落とした。

杉山監督は「今日はオソリオ選手が素晴らしかった。日比野選手はいい形で作ってはいて、最後の1ショット2ショットでミスをしたのでスコアは離されましたが、内容自体は離れていなかった。何よりも最後までファイトしてくれたことが、本玉選手に繋がった」と健闘と称えた。

本玉が前日の課題を修正し、2-2の最終決戦へ

本玉は自分のプレーに集中し、ゴンサレスに勝利。写真:鯉沼宣之

第2試合では、コロンビアがユリアナ・リサラソからマリア・エラソゴンサレスにオーダー変更をした。

「相手が変わってびっくりした」という本玉真唯だが、「それでも自分やるべきことは変わらない」と、初日で得た反省点を修正して戦うことに集中した。

具体的にはファーストサービスの確率が悪かったので、リズムが早くならないようにゆっくりしたフォームを心がけること、回り込みフォアやランニングショットの細かい部分の修正だ。「緊張していた」というものの、動きにぎこちなさはなく、勝負所ではむしろ躍動し、6−2、6−2で勝利を収める。

「相手も低い球など色々なことをしてきたが、流れが傾きそうなときも立て直すことができた」と充実の表情を見せた。

杉山監督は「これを負けたらチームが負けるというすごい緊張感の中で戦ったと思うが、持ち前のファイティングスピリッツで自分のやることに徹底できた」と、何が起こるかわからないBJK杯で自分のテニスに集中できたことを評価した。

青山/柴原が勝負を決める!

「チームジャパンにとってこれほど心強いペアが待ってくれているということは、私自身も他の選手も安心して戦える要素となっている」と杉山監督が語るように、青山/柴原のペアは、全豪オープン準優勝、ツアーファイナル出場といった実績を携えて、勝負のかかる大一番を迎えた。

相手のコロンビアもエースのオソリオ、前日シングル2で戦ったリサラソにオーダー変更し、勝負をかける。

第1セットこそ、強いリターンや突き球、時にはスピンロブを放つコロンビアペアに青山のサービスゲームを2つ奪われるが、すぐにブレークバックしゲームを離されることがな買った。柴原のサービスゲームは、青山とのボレーとの組み合わせで盤石にキープし、ワールドクラスのダブルスを見せつけ、7−5、6−2で、日本の勝利を決めた。

「すごく緊張していたというわけではなかったけど、振り返れば、いい緊張感で最後から最後まで戦えたずっとできた。前でやるべきことはできたし、柴原さんも持ち味のサーブ、アグレッシブなショットをたくさん打ってくれて2人でいいプレーができた」と青山が語れば、「最後の試合にかかったのは私は初めてで、ずっとワクワクしながら待っていた。相手もあまり知らなかったので、2人やチームで話しながらいい作戦ができた」と柴原も笑顔を見せた。

来年はワールドグループのファイナル予選を戦うチームジャパン。杉山監督1年目の初陣は、これ以上ない結果で幕を閉じた。それでも「やっとスタート地点に立てた。ここから本当の戦いがスタートする。1年間、選手個々が実力をつけ、去年の今頃よりも格段にみんなのレベルが上がってっている。目指すは世界の頂点なので、まだまだやっていかなければならないことはある」と気を引き締める。

世界のトップを渡り歩いてきた経験と、現役時代から評価されていた杉山氏のコミュニケーション能力によって、フレッシュなエネルギーを醸し出す日本代表選手たち。来年はさらに進化した姿をファンに見せてくれるだろう。

【BJK杯フォーマット】
シングルス4試合、ダブルス1試合の計5試合のうち先に3勝した方が勝利。初日に両国のシングルス1vsシングルス2を2試合、2日目にシングルス1vsシングルス1、シングルス2vsシングルス2、ダブルスの3試合が行われる。試合方式は3セットマッチ。勝利チームが翌年のファイナル予選へ、敗退チームがグループ1へ回る。

【11月10日】
第1試合
本玉真唯 (24歳、124位)4-6,4-6 ○カミラ・オソリオ(21歳、79位)
第2試合
日比野菜緒(28歳、90位) 6-2,6-4 ●ユリアナ・リサラソ(30歳、823位)

【11月11日】
第3試合
●日比野菜緒 2-6,0-6 ○カミラ・オソリオ(21歳、79位)
第4試合
○本玉真唯 6-2,6-2 ●マリア・エラソゴンサレス(26歳、531位)
第5試合
青山修子/柴原瑛菜 7-5,6-2 ●カミラ・オソリオユリアナ・リサラソ

■日本代表メンバー
日比野菜緒(ブラス)
本玉真唯(島津製作所)
坂詰姫野(橋本総業HD)
柴原瑛菜(橋本総業HD)
青山修子(近藤乳業)

■コロンビア代表メンバー
C・オソリオ
M・エラソ ゴンサレス
Y・リサラソ
MP・ペレス-ガルシア
監督:F・ズルアガ

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日本女子ランキング(11/6付け)
◆シングルス
90位 日比野菜緒(ブラス)
124位 本玉真唯(島津製作所)
178位 坂詰姫野(橋本総業HD)
181位 内島萌夏(安藤証券)
259位 加治遥(島津製作所)
269位 細木咲良(原商)
◆女子ダブルス
12位 青山修子(近藤乳業)
14位 柴原瑛菜(橋本総業HD)
27位 加藤未唯(ザイマックス)
48位 穂積絵莉(日本住宅ローン)
49位 二宮真琴(エディオン)
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取材/保坂明美 写真/鯉沼宣之