男子のATPチャレンジャー大会『兵庫ノアチャレンジャー』が、ブルボンビーンズドームにて開催され、11月19日はシングル決勝が行われた。

第5シードの島袋将(有沢製作所)と、ノーシードのドゥジェ・アイデュコビッチ(クロアチア)の対戦は、日本でのチャレンジャー初優勝に意気込む島袋が、立ち上がりの3ゲーム連取からスタートした。しかし前週の愛媛で左足太ももの軽い肉離れが、第2ゲームのサービスの着地時に悪化した影響で、その後の動きに影響が出る。

第1セットを4−6で落とした後、メディカルタイムアウトで回復を試みるも、持ち味のフットワークは戻ることなく、第2セットを2−6とされ、優勝は叶わなかった。

サービスの着地時に左足大腿の痛みを悪化させた島袋。

アイデュコビッチは、サーブで島袋を押し込み、粘り強さと攻撃性を併せ持つストロークで、しぶとくカウンターショットを狙った。島袋は「途中から相手がペースを落としてきて、打ち合うべきか、攻撃的に行くか対応に迷いが出た。決断、判断の部分で誤ってしまったのが良くなかった」と、心情を明かした。

アイデュコビッチは、途中から打ち合いの展開へと持ち込んだ

それでも「(怪我を)言い訳にはしたくない。その中でもどう戦っていくかというのはツアーを回る上で必要なこと」と、敗戦からの課題を見出した。

今年の1月、264位でスタートしたランキングを、2つのチャレンジャー優勝、そしてグランドスラム出場によって、155位(最高位135位)まで引き上げた、激動の1年間だった。「自分でも頑張ったと思います。去年の自分と比べても、結果としても、テニス自体も大きく変わってきている」と手応えを感じるものになった。

2016年プロ入りし、大卒選手として初めてグランドスラムへ出場することで、日本テニス界に大きなインパクトを与えてくれた。この7年間の道のりは、彼にとっては順当な歩みだったのだろうか?

「大学を卒業してプロになった選手が、ウインブルドンの予選を上がり、本戦を戦い、USオープンにも出場した。まず、それを達成できたっていう意味ではすごく良かった。でも、もっと気持ち的にタフに行かないといけない場面で引いてしまったり、まだまだテニス選手として強くない自分がいるのは事実。やっぱりグランドスラムのトップに食い込んでいくようなプレーヤーになって、初めて順当だと自信を持って言えるのかと思う」

現状に満足せず、さらなる上を目指す島袋の2024年に期待したい。

■兵庫ノアチャレンジャー
男子決勝
○ドゥジェ・アイデュコビッチ(CRO)6-4,6-2 ●島袋将[5](有沢製作所)

兵庫ノアチャレンジャー
11月12日(日)〜19日(日)
本戦13日〜
会場:ブルボンビーンズドーム
カテゴリー:ATPチャレンジャー
ライブ配信:チャレンジャーTV
ライブスコア:ATP SCORES

取材・写真/保坂明美