今夏に開催された「ユニクロ全日本ジュニア選手権」の優勝者とフェアでベストプレーの姿勢で臨んだ選手に与えられる海外合宿が、アメリカのIMGアカデミーで行なわれている。コーチ役を務めるのは錦織圭。合宿2日目を終えたジュニア4名と錦織が、オンライン取材に答えてくれた。
今回参加したジュニアは12歳から18歳と幅広い。錦織は自身が13歳からIMGアカデミーを拠点にしていたこと踏まえ、「若い頃から海外には出てほしいという気持ちがあります。何が良いかというと色々な選手と戦えること。背が高い選手だったり、ズルしてくる選手もたくさんいたりと、なかなか日本では経験できないようなことが、海外ではできます」と話した。
その言葉を裏付けるように、18歳以下優勝の小山ほのりは、「私は女性の中では身長が高い方ですが、海外に来たら高い人ばかりで打ち負けたりする部分がありました。体幹の強化をしたり、自分の武器のサービスとフォアを磨いていきたいと思います」と、日本での身長の高さが海外では武器にならないことを実感した様子。
12歳以下優勝の原口礼も、「海外の選手のボールは軌道も高いし、その面では小さい日本人は不利だと思うので、しっかりスピンをかけたボール磨きたい」と、低い軌道のボールが多いことに気付かされて、世界で戦うために必要なことを感じ取れたようだ。
錦織は様々な選手がいる環境に身を置いたからこそ、「なるべく自分の武器である足を使おうと思っていました。色々なショットを使いながら、パワーよりは想像力でプレーしていたような感じはします」と世界で戦える自分のプレースタイルを確立するに至っている。
プレースタイルについては、「これがいいとか、これがダメというのはテニスにはありません。どんなプレーヤーでも活躍できるのがテニスだと思うので、それぞれに合ったプレーを学んでもらいたい」とジュニアたちにエールを送った。
合宿期間は1週間と短いが、そんな中でも「その子のいいところは伸ばしてあげたいし、プロになるにあたり、これは足りないかなというところは言ってあげたい」と言う。ジュニアにとってこれほど貴重なアドバイスはなかなかないだろう。
参加ジュニアたちも意欲的で、16歳以下優勝の田畑遼は「プロの選手もたくさんいるので、練習をしっかり見て一個でも多く良い所を盗めたらなと思います」。16歳以下優勝の野口紗枝も、「海外の選手のすごいところや、見習うべきところを日本に持って帰りたい」と、見て経験して終わりではなく、この経験を生かして成長していこうという姿勢を見せている。この1週間をどれだけプラスにできるかは、選手次第だ。
織自身は現状について「動かず打ったりは結構できていて、サーブは打てる状態です。ポイントまではまだ行っていない」とのこと。そんな時に、日本のトップジュニアの合宿を見ることは、錦織にとっても楽しい時間になっているようだ。
取材・文/Tennis.jp編集部