男子の国別対抗戦「デビスカップ ワールドグループ1部 コロンビア戦」が、9月14日・15日に東京の有明コロシアムで開催されている。1日目となる9月14日には、シングルス2試合が行なわれた。チケットが完売し観客でいっぱいになった有明コロシアムで西岡良仁と錦織圭が勝利を挙げて、日本が2勝0敗で1日目を終えた。
1試合目は、日本のエースとして登場した西岡が、コロンビアのアドリア・ソリアノバレラに6-2、6-4のストレートで勝利して1勝目を日本にもたらした。
世界ランク54位の西岡にとって、460位のソリアノバレラはランキング差がある相手ではあったが、「デ杯はあなどれない」と気を引き締めて試合に臨んだ。試合開始が2時で、まだコートに厳しい日差しが注がれており、「常にフルで動いたら先にバテそうだったので、要所要所を見てどこで頑張るかが、かなり大事」と、試合序盤でリードを奪い、その後はしっかりとサービスゲームをキープして第1セットを先取した。
第2セットは、相手の緊張もほぐれてキープが続く。サービスとフォアハンドを軸にプレーをしようとしている相手に対して、バックハンドの高い打点で打たせるなど、相手に気持ちよくプレーさせず、4-4のゲームでブレークに成功。暑さという懸念事項がある中で、実力差を見せつけて、しっかりと勝ち切った。
西岡を見て、「日本を背負って戦っている、背中の大きさを感じた」と言う先輩の錦織が2016年イギリス戦以来のデ杯のシングルスに登場。観客のいる中で有明でプレーするのは、2018年ジャパンオープン以来となる。
今回のデ杯出場に関しては、育ってきている若手が出た方がいいのかなど、葛藤があったと言う。しかし、「自分の調子が上がって来て、日本を勝たせることに力になれたらうれしいですし、話をもらった時に出たいと思った」と出場を決意した。
現在のランキングは205位で、相手のニコラス・メヒアの237位とランキングは近い。メヒアはサービスが良く、ストロークも安定していたが、8月のモントリオールの大会でチチパスに勝利してから、「感覚が良くなり、攻める自信が出てきた」と言う状態の錦織とのレベルの差は明らかだった。
錦織は先手を取って攻撃するストロークを披露しつつ、ネットを絡めるプレーを随所に見せる。無理をすることなく各セット1ブレークして6-4、6―4で勝利した。本人は「理想はもう少しリターンを入れて攻めていきたかった」とプレーレベルに満足はしていないものの、「久しぶりの日本での試合ですし、お客さんも入っていて緊張感はありました。その中でちゃんと勝ててよかったです」
錦織のプレーを久々に生で見られたことはテニスファンにとって待ち望んだ瞬間だった。同時に、「復帰してからセンターコートの満員の中で試合をすることもなかった」錦織にとっても、「こういう場でもう1回試合がしたい」という思いが、ケガしている時のモチベーションになったと言うほど、求めていた環境でのプレーだった。
満員のセンターコートは錦織の心に何かをプラスしてくれただろう。プレーに関しては「期待値は自分の中で高くて、いい流れになってきていると思う」と言う。心技体が揃った錦織を見られる日は、遠くなさそうだ。
1日目を終えて添田豪監督は「2人の頼もしさを感じました」と満足そうにコメント。コロンビアのアレファンドロ・ファジャ監督は、「デ杯はまだ終わっていない。ダブルスに勝って、ニコ(メヒア)がチャンスを持ってきてくれるかもしれない。可能性はあると思っている」と難しい状況ながら諦めてはいない。
■14日の結果(1日目)
第1試合 〇西岡良仁(世界ランク単54位)6-2 6-4 ●アドリア・ソリアノバレラ(単460位)
第2試合 〇錦織圭(単205位)6-4 6-4 ●ニコラス・メヒア(単237位)
■15日の試合予定(2日目)
第3試合 錦織圭/綿貫陽介(単338位、複453位)vsニコラス・バリエントス/クリスティアン・ロドリゲス (複53位/複107位)
第4試合 西岡良仁vsニコラス・メヒア
第5試合 錦織圭vsアドリア・ソリアノバレラ
※2日目のメンバーは、試合前での変更も可能。試合数、試合形式を変更する場合もある
取材・文/赤松恵珠子 写真/鯉沼宣之