ATP500「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス」が、有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートにて9月25日~10月1日(本戦)に開催されている。30日はシングルスの準決勝2試合とダブルスの準決勝1試合が行われた。

シングルス準決勝は1試合目は、世界ランク19位のU・アンベールと34位のT・マハツの対戦。

世界ランク19位のアンベール。写真:鯉沼宣之

第1セットはアンベールが先に仕掛けて、走らされたマハツがミスをするケースが目立った。アンベールが「今週から取り組んでいる」ことが、アドサイドからのサービスをサイドライン寄りに立って打ち、左利き特有のワイドサービスにより角度を付けるようにすること。これによりサービスでフリーポイントを取れたり、返球されてもオープンコートに決めることができる。それはこの試合でも効果的で、第1セットを手に入れた。

第2セットに入ると、マハツも自分から打って相手を動かし始めた。苦戦していた左利きのサービスのリターンも徐々に対応できるようになり、初めてブレークに成功。ファイナルセットへ持ち込んだ。

世界ランク34位のマハツ。写真:鯉沼宣之

セット序盤はキープが続く。「(セットを落として)落ち込んでいたので、自分に声をかけて、全てのポイントを100%で打とうとしていたら、調子が上がってきた」というアンベールのショットの精度が上がり、3-2のゲームでブレーク。その勢いのまま6-2で取って決勝進出を決めた。

この試合では両選手のファンがおり、ポイント感には声援が飛ぶ良い雰囲気となっていた。「応援は聞こえていました。素晴らしい雰囲気でした」とアンベール。

ちなみに彼は、ツアー決勝進出6回で6勝。つまり決勝では負けなしということ。脅威の勝率を誇る決勝での彼のパフォーマンスに期待したい。

20歳のフィス。写真:鯉沼宣之

もう1つの準決勝は大熱戦となった。20歳のフィスと21歳のルーネの対決。2人とも攻撃力も守備力もあるため、見ごたえのあるポイントが続きタイブレークへ。フィスは威力のあるサービスや得意の回り込みフォアで先にセットポイントをつかむ。この重要なポイントで、フィスのインのショットをアウトとコースするミスジャッジがあり、ポイントのやり直しに。ここでルーネにサービスエースを奪われたが、集中力は途切れなかった。ルーネのエース級のショットに追いついて逆襲に成功。3度目のセットポイントでは、相手を走らせてボレーで決める形で1時間3分をかけて第1セットを奪取した。

第2セットの2ゲーム目をフィスがブレークして2-0とリードする。ここからルーネは自分のミスを減らしてじっくりとラリーをして相手にミスをさせる戦略を取り2-2に追いつく。フィスは「戦略を変えないといけないと思った。もっと走らないといけなかったけれど、その点は問題なかった」と前日に3時間の試合をしたことを感じさせず、フットワークとサービスで均衡状態を保った。

ベスト4で唯一のシード選手だったルーネ。写真:鯉沼宣之

再びタイブレークに投入。フィスがリードし、6-3でマッチポイントを握る。しかし、ルーネの好プレーで追いつかれて、今度はセットポイントを握られる。「サードセットのこともよぎったけれど、できるだけ集中してベストを尽くした」というフィス。6度目のマッチポイントでは2人が激しく動き回る、この試合を象徴するようなラリーになり、これを制して勝利を手に入れた。

試合時間は2時間23分。試合後に足がつったような様子を見せたフィスは、「身体はすごく疲れている。昨日も今日も長い試合だったから。明日起きてみないと、身体がどうなっているかわからないよ」と疲労を隠せない。しかし、アンベールとのフランス人同士の決勝になったことについて聞かれると、「素晴らしいこと。仲の良い友人だけど、コートに立ったら友人じゃないよ。良い試合にしたいし、楽しみたい」。

パリ五輪でペアを組んでダブルスに出場した2人の対戦成績は、アンベールの3勝0敗。直近の試合は2カ月前のモントリオールになる。2人とも今大会の初出場初優勝を狙う。

明日は4時30分からダブルス決勝、7時以降にシングルス決勝が行われる。

-9月30日(月)の結果-
■シングルス結果■
〇U・アンべール(フランス) 6-3 3-6 6-2 ●T・マハツ(チェコ)
〇A・フィス(フランス)7-6(8) 7-6(10) ●H・ルーネ(デンマーク)[6]

■ダブルス結果■
〇J・キャッシュ/L・グラスプール(イギリス)6-3 6-3 ●A・ミケルセン/A・タビロ(アメリカ/チリ)

構成:Tennis.jp 写真:鯉沼宣之